Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

高知の漁民の被爆は、あまりにも知られていない

2023-12-19 | Weblog

今回、『わが友、第五福竜丸』を上演して感じたことは、第五福竜丸同様の被害に遭った多くの高知の漁民の被爆は、あまりにも知られていないということだ。私自身、高知のビキニ訴訟に触れるまで、その実態を把握できていなかった。

被災漁民の一人を演じた鴨川てんしは、まさにはまり役であった(写真 撮影・姫田蘭)。土佐・幡多ゼミナールの山下正寿先生が「室戸の会ニュース」関係者、ご支援の方に送られたメッセージで、「特に、被災漁民は、表情・しぐさ・動きがそっくりでした」と記してくださったことには、感激した。被災漁民とは、鴨川さんの役である。じっさい、違和感なくこの世界に入ってくる演技だった。鴨川さんは讃岐の出身だが、同じ四国でも土佐とは違う。稽古の過程で少しずつその差異を明確にしていった。多くの漁師たちの話を聞いてこられた山下先生からお墨付きをいただいたことは、ほんとうにありがたく、嬉しい。

鴨川さんは、燐光群に来る以前にいた劇団「空間演技」で、「肥前松浦」ものの劇世界を、多く体験されている。土着の人間、自分たちの暮らしと土地にこだわる真情を、若い頃から演じてきた。そうした蓄積も役に立っているのだと思う。漁師の若き日を演じるときの見栄の張り方、とぼけ方のリアリティーが、とくにそうだったはずだ。今年、「空間演技」の作・演出家であった岡部耕大氏が亡くなった。特定の地域にこだわった創作の多さ。アングラとか新劇を越えて、そういう世界観の演劇が続けられていたことは、記憶されるべきだと思う。

 

燐光群『わが友、第五福竜丸』上演情報です。

https://rinkogun.com/portfolio/20231117_wagatomo_dai5fukuryumaru/

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