読売新聞が「劇場の事業収入は7割、寄席は6割減少…公演中止など影響」と、記事を載せてくれた。減少理由はもちろん、コロナ禍による公演中止などの影響である。演劇や音楽などを手掛ける芸術関連団体の2020年の事業収入が、前年に比べて軒並み半減したのである。文化芸術推進フォーラムの中間報告に基づく。同フォーラムは同日、超党派の国会議員らで組織する文化芸術振興議員連盟に窮状を訴え、詳細な実態調査と長期支援を要望した。外国人芸術家の入国制限の緩和なども求めた、という。
外国人芸術家の入国制限の緩和を求めるなら、日本から海外に出ていく人間への規制も緩和してほしい。出ていくとき2週間、帰国して2週間、延べ一ヶ月のロスがあるのでは、海外に行けない。
私と劇団&グッドフェローズは、国際合作の企画を複数持っているし、海外に取材に行かないとできない仕事もある。新たに誘われている話もある。思いがけない国での、拙作の海外版上演の話も出ている。
海外に行きやすくしていただきたい。
写真は、マサチューセッツ工科大学(MIT)演劇学科の、 「演劇の翻訳と文化の伝達」Zoomリーディング企画で、拙作『ブラインド・タッチ』をリーディングしてくれたときのクレジット。
朝日新聞デジタルに久しぶりに書きました。
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いろいろ書いているんだけど、けっきょくは、最近、野田秀樹さんが言われているように、演劇はライブでなきゃ、ということなんかに帰結してます。
個人的には徳島の高校演劇のことに触れて写真も出せたのが、なんだか嬉しい。
写真は、全国高等学校演劇研究大会で、 徳島市立高校と徳島県立城東高校が上演した「ブレーメン」(提供 : 徳島県高等学校演劇協議会)
新聞媒体なので、安倍前首相の写真も出せてしまっている。アンダーコントロールじゃないだろ、というのは、言い続けないとなあ。
『たたかう女』は岡本麗さん出演の一人芝居。
このアーカイブのカテゴリーでは、「現代劇 ドラマ 喜劇 舞台:日本 SF・近未来 日本語」としています。
あの店が復活している、らしい。
私は贔屓にしているラーメン屋はとくにないラーメン音痴の人間だが、唯一の例外がここである。それだって、滅多に行かない。一年に一度か二度だろう。
以前にも紹介したが、店主さんが勝手に気まぐれな長期休みを取るので、なかなか開いているときに行けない。
中はカウンターだけで密なので、最近の感覚としては避けたい。
で、一昨年から結構長く休んでいる感じだったが、なんと昨年、入居しているビルじたいの工事が始まった。
ついに終わったか。と、思ってしまった。
しかし、先日、たまたま通りかかると、新装なった店構えと、真新しいシャッター、そこに「春休み」の貼り紙、そして恒例の、数カ国語で書かれたアルバイト募集の貼り紙が(しかも現語数が増えている気がする)。
終わっていなかったのだ。
まだ営業しているのを見たことがないので確とした認定はできないが、あの店が復活している、らしい、と推測する。
必要があって、DVDで映画「悪魔をやっつけろ」を観た。
何の必要かまだ明かせないのが残念だが、まあこうして観たことはバラせる程度の秘密保持度なので、もう少しだけお待ち下さい。
それにしても、この「超ジャンル映画」、かなり面白い。ハードボイルド風の体裁で宣伝されているが、コメディなのである。事前情報無しで御覧になることをお薦めする。
1953年。白黒。1 時間 29 分。
監督 : ジョン・ヒューストン。脚本トルーマン・カポーティ。
出演 : ハンフリー・ボガート, ジェニファー・ジョーンズ, ジーナ・ロロブリジー ダ。
三十年前に同題の宮沢りえ主演のドラマもあるというが、そちらはチェックしておりません。
「石川真生展:醜くも美しい人の一生、私は人間が好きだ。」
沖縄県立美術館で開催中。
前期:3月 5日(金)~4月25日(日)
後期:4月27日(火)~6月 6日(日)
という。
観たい。
私は観られるのだろうか。
というか、東京開催も期待したい。
石川真生さんの写真は、真生さんの精神、肉体、そのものである。
『沖縄ミルクプラントの最后』を書くにあたっては、キャンプ・キンザー内のミルクプラント営業中の取材は間に合わず、工場跡を訪ね、組合関係の資料を当たり、関係者のインタビューをするしかなかった。真生さんの写真から伝わってくるミルクプラントの空気に、牽引された。伊良波のJEFでお話ししたのが最初だったと思う。もう四半世紀前になる。
https://okimu.jp/exhibition/ishikawamao/
伴一彦さんの「人生脚本」を、最後まで読む。
途中まで読んでいて、ついついこちらの事情で目の前のことに追われ止まりぎみで、続きを読むなら一気に、と思い、しばらく我慢して、今朝になった。予想通り、再び読み始めると、あっという間に読了。
「人生脚本」というのは、一種の反語で、人生は脚本で書いたとおりにはならない、ということを示すタイトルである。
そして、シナリオや戯曲といった「脚本」では書けないことをこそ、手練れの脚本家である伴さんが「小説」として書こうとした、「反脚本」の物語であること。
脚本に書けないドラマ、で、あることは、段落が変わるごとに、次は誰を中心としたシークェンスかを、わざと主語を略するなどして、あえて、ぼかして始まる筆致に、確信犯として、現れている。主観のボカシによって、あえて物語の中心人物や進行の主体が溶解した世界を描き、人間の意識の集合としての社会の持つ曖昧さを、言葉の世界で編みだそうとしている、ような気がする。「脚本」では書けないこと、シェイクスピアが「言葉、言葉、言葉……」と呟くしかなかったように、言葉の限界と、だからこそその言葉に縛られた私たちの意識の世界を、描いている。物語的には強引すぎるところがあるようにも思うのだが、言葉で紡ぐ世界にはこんなこともできるのだよ、という作者の確信犯としての策略、なのかもしれない。
ミステリだけど、青春小説である。荒井晴彦さんとはまた違う、青春期の宿題を引き継がざるを得ない人たちの物語である。
これから読む方には予備知識がない方がいいと思われるので、内容については、これ以上は触れません。
「人生脚本」というタイトルだけ聞いて、伴さんの前作「追憶映画館 テアトル茜橋の奇跡」のようなアンソロジーを一瞬、想像したが、ミステリである。ミステリであることじたいを、利用しているし、だからこそ、幅広い読者層に開かれている。
光文社刊。定価(本体1,600円+税)。
http://suiseidou.cool.coocan.jp
このサイトを管理しているのは岡野宏文さんで、元「新劇」編集長、現在はフリーライター・編集者として活動されている。
岡野さんは私が岸田國士戯曲賞をいただいたときの「しんげき」編集長で(当時雑誌名がかな表記に変わっていた)、受賞グラビアの撮影のため、カメラマンの谷古宇正彦さんとご一緒に私の永福町のアパートまで来られたことがある。あまりに殺風景な部屋で驚かれたのを覚えている。副賞の壁掛け時計は、今も私の居間にあるのだが、これは岡野さんと永福町商店街の店で選んだものである。
昨日は、今年度の岸田國士戯曲賞の選考会で、結果は「該当作なし」とのこと。受賞作がないのは、私が審査員だった2007年以来という。私が受賞する前の何年かも隔年で「該当作なし」が続いていて、とても遠い賞のように感じていたことを、思い出した。
千葉の友人からは大山千枚田という日本酒をいただいていた。
あまりにもあっという間に呑んでしまったのである。
お恥ずかしい限りである。
日本で唯一、雨水のみで耕作を行っている天水田、千葉県指定名勝の「鴨川大山千枚田」の棚田米(コシヒカリ)を全量仕込みしたお酒ということだった。
淡麗ながらも力強いコクと旨み、というのは、ほんとうにそうでした。
あんまり酒飲みのように思われてしまうのもなんなんだが、居酒屋というものになかなか行けずにいる。誕生日の日に、ほんの短い時間だが、居酒屋の掘りごたつの席というものに、座った。もう一年ぶりくらいではないか掘りごたつは、と、感慨深かった。口に何かを運ぶ際以外は、ずっとマスクはしたままであった。もう、なんとか一刻も早く、今の状況を抜け出したいと思う。
南国の友から黒糖の宝物が届く。
ありがとうございます。
お湯割りを奨められたが我流でまずはロックでいただきます。
旬の黒砂糖も一かけいただく。信じがたい滋味。
コロナ禍過ぎし日、近々、かならずそちらに行かせていただきます。
いろいろなことをおもいだします。
大切なことは、人と人の間にしか、ない。
今年の私の誕生日が、過ぎました。
じかに、あるいは、電話で、メールで、Facebookで、Messengerで、LINEで、御祝いをくださった皆様、本当にありがとうございます。
この日付は、私以外の多くの人たちにとっても、特別な日です。とくに、今年のこの日は、その思いが、深いです。
思いはさまざまですが、これからの時間を、大切に生きていこうと思います。
仕上げる原稿もあり、午前中はZoom会議、午後は懐かしい赤坂見附で打ち合わせ、歩いて衆議院議員会館まで行き、文化芸術支援の会議、そして、We Need Culture の皆さんと久しぶりにお話し、と、じっとしていられない日でした。
そんな中、「ファインダー越しの3.11」(安田 菜津紀 渋谷 敦志 佐藤 慧 著)を、きょう(もう昨日ですが)、読ませていただきました。著者の一人、佐藤 慧さんに、昨年末、いただいたのです。なぜか、きょう読むと決めていました。感想は、まだ言葉になりません。すぐにはまとめることができないのです。ただただ、あらためて、出会いと、人の繋がりに感謝です。
十年という区切りには、意味は感じない、それは確かです。ただ、同じ日付けですが、震災のあの日から十年経って、今までとまた違う感想が、生まれてくる日でした。
あらためて、皆さんに、感謝です。
「ENGEKI:Japanese Theatre in the New Millennium 6」が刊行されました。
6年前から、劇作家協会が文化庁の助成を得て、出版事業として刊行している「英訳戯曲集」です。
今回、収録された戯曲は、
古川健『治天の君』 (翻訳 Daniel Gallimore)
詩森ろば『アンネの日』(翻訳 ボイド眞理子)
前田司郎『うん、さようなら』(翻訳 小川彩 )
です。
今回の編集委員は、土田英生、前川知大、ボイド眞理子、小川彩(オガワアヤ)、私、でした。
以前に“HALF A CENTURY OF JAPANESE THEATER”として十年にわたって刊行していた英訳出版事業が、復活した形です。
この「英訳戯曲集」の有効な海外贈呈先について、ご推薦・ご紹介の対象がありましたら、坂手ないし劇作家協会(office@jpwa.jp)に伝えていただければと思います。
今後も事業は継続すると思いますが、編集委員はそろそろ交代の時期です。
………
“HALF A CENTURY OF JAPANESE THEATER”のバックナンバーについては、以下を御覧ください。
http://www.jpwa.org/main/books/english
3月7日、下北沢「劇」小劇場で、日本演出者協会の〈若手演出家コンクール〉公開審査が行われた。
毎年この時期に最終審査会をするのが恒例になっているが、今年は3月2日から 5日までの期間、一般公開公演を行ない、6・7日に審査員・関係者のみの上演を行った。ライブ配信はありだが、最後の二日間は無観客での開催。最優秀賞が決定する最終夜の公開審査会も、ネット上のみでの「公開」となった。
さて、今回は、20回目を迎えるこのコンクールで、おそらく初めてと言っていいほどの接戦、大激戦ということであった。最優秀と最下位の得点差が、わずか五点。私は第一回から数回は審査員を務めたが、その後3月のこの時期は自分の仕事と重なっていることが多くてなかなか参加できず、何年か前に一度復帰したが、ここ十年以上のことは、よくわかっていないのである。
「今回は(審査が)割れますよ」と関係者が言っていたのは、一つ一つの演出・作品の方向性が、著しく違うからであろう。それぞれ強烈な個性の持ち主であった。
殊にシルクロード能楽会「「道成寺」疫病譚 」には驚かされた。今井尋也さんは、演出家であるだけでなく、伝統芸能の小鼓演奏家・能役者であり、渡仏し、現代演劇、コンテンポラリーダンス等も学んできている。多彩なジャンル・音楽の融合で、コンクール参加作品とは思えない、きちんとした各界出演者の競演による、贅沢な作品だった。プロが多く出ているので、発声が圧倒的。個人的にはホーメイの倍音が有効だと思った。
最優秀賞は、三上陽永さん(ぽこぽこクラブ)。前回受賞を逃した悔しさをバネに挑んだというだけあって、受賞が決まると、男泣きであった。受賞作「見てないで降りてこいよ」が、3月10日〜14日、東京・オメガ東京にて上演される。コンクールは上演時間は一時間以内のルールなので、そちらでの上演はオリジナルのロングバージョンということなのかもしれない。私はこの演目の前半を観ていて、かつての男性ばかりの人気劇団〈カクスコ〉を思い出した。人間の駄目さをこそ魅力にしようという目線は共通しているだろう。
映像作家でもある伏木啓さん(愛知県)の「The Other Side – Mar. 2021」は、演劇というよりもクオリティーの高いインスタレーション・ダンスの混合であり、昭和史の複数の「事件」から現在への変遷は、震災の記憶と現在に繋がる。劇中登場するアナログラジオのチューニング・ノイズに対し、「言語」や「存在」というものがデジタル的に「ある」「ない」という認識など、私と関心事が重なるところも多い。うつろうものたちと生命に対する、豊かな考察であった。
個人的には、くによし組・國吉咲貴さんの「おもんぱかるアルパカ」を推した。コロナ禍下、取り囲まれて抜け出せそうで抜け出せない状況を、霧=ミストとして象徴的に描いているともいえるが、それさえも内的状況に過ぎないかもしれないという揺らぎの感覚、独自の演劇観を構築できている、と思った。実は細かく考えられているのだ。いっけん小さな世界に見えるかもしれないが、表現、演劇とは何か、俳優の相互性に何を求めるか、という問いに向き合うものであった。鵜山仁さんもこの作品を推した。
最終審査員は以下のメンバーであった。→ 鵜山仁(文学座) 加藤ちか(舞台美術家) 坂手洋二(燐光群) シライケイタ(劇団温泉ドラゴン) 日澤雄介(劇団チョコレートケーキ) 平塚直隆(オイスターズ) 山口宏子(朝日新聞記者) 流山児祥(日本演出者協会理事長)わかぎゑふ(玉造小劇店・リリパットアーミーⅡ)
終了後、打ち上げなどはなかったが、水以外の飲食ナシで、受賞者たちと少しばかりは語り合う時間を持てた。こんな御時世では、豊かなことである。
協会のスタッフの皆さんの尽力にも頭が下がる。候補者、各公演の出演者・スタッフの皆さんも、おつかれさまでした。豊かな時間を、ありがとう。
ノートパソコン抱えて喫茶店ジプシーの今日、コロナ禍下でもう注文できなくなる午後7時になろうかというとき、お店の方が私のテーブルに何かを置いた。
はっと見ると、「チーズケーキ、サービスです。売り切ってしまえなかったので」ということである。
この店は考えてみると私の家から至近のカフェで、さいきんできたのだが、実は初めて入った。(至近といっても徒歩十分の距離だが)
ありがたいことである。
うまい。
本体もしっかりしているが、クリームに入っているスライスアーモンドがすごい存在感を示している。
この思わぬ頂き物をコロナ禍のおかげとは思わないことにしよう。
いつか、こんなこともあったなと、思い起こせる日が来ることを、願う。