Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「原子力 明るい未来のエネルギー」

2015-08-23 | Weblog
双葉町が町内にある原子力PRの看板を撤去することを決めた。
「原子力 明るい未来のエネルギー」という、有名なアーチである。
町域の大半は帰還困難区域で、除染もはぼ手付かずのままであり、先が見通せない中、帰還を諦める町民が増えているという。
小学生のころ、この標語を考案したのが、大沼勇治さんである。
彼はこのPRの看板を撤去に反対し、「原発推進の歴史や事故の記憶を消すことになる」と訴えている。
「標語の考案者じゃなければ、黙っていた。でも、標語の誤りを訂正できるのは作った自分しかいない。看板は原発とともに歩んだ双葉の歴史を象徴するものとして残すべきだ」という発言が、いろいろな媒体で記事になっている。
大沼さんは原発事故後、標語を作った張本人としての責任を感じ、講演やインターネットで「脱原発」を訴えてきた。双葉町に一時帰宅するたび、この看板の前に立ち、一部の言葉を他の言葉に、例えば「原子力」を「脱原発」に、置き換えた写真を撮るパフォーマンスでも知られている。
一度は原発のおかげで豊かになったはずの町が、原発事故を境に一変した。
大沼さんも原発事故の後には、テレビに映された自分が考えた標語に、「恥ずかしく忌わしい」と感じ、「原発推進は間違っていた」と確信したという。
「町や国、東電は撤去したいのだろうが、過ちが忘れられてしまう。歴史の否定は町そのものの否定につながる。過去の失敗から学ぶことはたくさんある」。
看板撤去に提示された費用は四百十万円。さらに増額されるという。大沼さんの撤去反対を受けて町は看板を倉庫に保管することを提唱しているが、この場所にあってこそ存在意義がある、と私も思う。倉庫にしまい込んで隠蔽されてしまうことも避けたいのだ。

私は1月、立入禁止地区を訪れ、初めてこのアーチの前に立った。その時に撮影したのがこの写真である。
新作『バートルビーズ』には、このアーチをモデルとした場面が登場する。
大沼さんにも台本を読んでいただき、了承していただいた。心より感謝します。
十九世紀のアメリカを舞台にした小説から触発された劇に、なぜこのアーチが登場するのか。
それはぜひ劇場でご確認下さい。
そしてこのアーチを舞台美術としてどのように表現するのか、ご覧いただきたい。
おそらくこれは演劇史上初の、恐ろしくシンプルな仕掛けである。

『バートルビーズ』
詳しい内容はブログのこの記事で。
http://blog.goo.ne.jp/sakate2008/e/0a9790c0e840b5d41f25e7528c90e4c0
……………………………………

『バートルビーズ』
~ハーマン・メルヴィル『バートルビー』より~ 

作・演出○坂手洋二

アメリカの国民作家ハーマン・メルヴィルの『白鯨』と並ぶもう一つの代表作、『バートルビー』(Bartleby 1853)の、新展開。

できれば私たち、そうしないほうがいいのですが。
逃避か、拒否か、怠惰か、絶望か。彼の選択には、いかなる言葉もあてはまらない。
永遠の謎を湛えた人物像が、混沌の現代日本のどこかに佇み、あなたが気づくのを待っている。

8月24日(月)~9月9日(水)

平日19:00/日曜日14:00
但し26日(水)・9月5日(土)・8日(火)14:00の部あり
29日(土)・9月9日(水)14:00の部のみ
9月2日(水)休演

会場 = 下北沢ザ・スズナリ

一般前売3,300円 ペア前売6,000円 当日3,600円
U-25(25歳以下)/ 大学・専門学生 2,500円 
高校生以下1,500円
※学生、U-25は、前日までに電話またはメールでご予約の上、
当日受付にて要証明書提示。


円城寺あや  
都築香弥子
中山マリ 
鴨川てんし 
川中健次郎 
猪熊恒和 
大西孝洋  
杉山英之 
武山尚史 
樋尾麻衣子
松岡洋子 
田中結佳 
宗像祥子 
長谷川千紗 
秋定史枝 
川崎理沙 
宇原智茂 
根兵さやか 

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○久寿田義晴
美術○じょん万次郎
音楽○太田惠資
擬闘○佐藤正行
衣裳○ぴんくぱんだー・卯月
衣裳協力○小林巨和
舞台協力○森下紀彦
演出助手○山田真実
文芸助手○清水弥生・久保志乃ぶ
美術助手○福田陽子
イラスト○三田晴代
宣伝意匠○高崎勝也
協力○浅井企画 オフィス・ミヤモト
制作○近藤順子 鈴木菜子 
Company Staff○古元道広 桐畑理佳 鈴木陽介 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ

★ゲストと坂手洋二によるアフタートークも開催されます

8月25日(火)19:00の部 池澤夏樹(詩人・評論家・作家)
8月26日(水)19:00の部 巽孝之(慶應義塾大学文学部教授、日本アメリカ文学会第15代会長)・Samuel Malissa(イエール大学東アジア学科大学院博士課程)
9月7日(月)19:00の部  大和田俊之(慶應義塾大学教授)
※本公演の前売券をお持ちの方、ご予約の方はご入場頂けます。


劇団HP
http://rinkogun.com/
詳細はこちら
http://rinkogun.com/Bartlebies.html
オンラインチケットの連絡先
http://rinkogun.com/Ticket.html
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