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“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

特定秘密保護法 12月10日施行の方針

2014-10-14 | Weblog
政府は14日の閣議で、国の機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法をめぐり、特定秘密の指定や解除の在り方を定めた運用基準と、法施行日を12月10日とする政令を決定。

首相が九月二十九日に行った所信表明演説では、「特定秘密保護法」の文字はなく、さいきん話題にならないと思っていたが、世耕官房副長官が「ことし12月12日までに施行するという取り決めになっている。今のところ施行期日は12月10日とする方向で調整中」と発言していた。
「国民にしっかり説明責任を果たして理解を深めていきたい」「パブリックコメントで頂いたご意見もきっちり集約する」と言っていたが、どこまで信用できるか疑問視されていた。

「特定秘密保護法」は、(1)防衛(2)外交(3)スパイ活動防止(4)テロ防止の4分野で、漏えいすれば国の安全保障に著しい支障を与える恐れがある情報を政府が「特定秘密」に指定。漏らした公務員や民間人には最高10年の懲役を科すとしている。

安倍首相は十月三日の衆院予算委員会で、集団的自衛権を行使するかどうかの判断基準になる「新三要件」のうち「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」の「明白な危険」の範囲に関し「明白な危険とは、まさに明白だ」と、トートロジーの言説を述べているが、これが本人の言う「丁寧な説明」だろうか。
そして六日午前、安倍首相は衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使容認に関連し、行使に必要となる武力行使の新三要件を満たしたとの判断に至った「根拠」となる情報が、特定秘密保護法に基づく「特定秘密」に指定され、「政府の監視機関に提供されない可能性がある」との考えを示した。そもそもその監視機関に市民の立場を代表する者も、専門家である第三者もいないわけだが。

「国会や国民に適切に公開し、理解を得ることは極めて重要」「監視機関=独立公文書管理監に十分な検証に必要な権限を付与する」と誤魔化すような言説を弄したが、大臣が特定秘密を公開できない理由を管理監に説明するだけでは、政府が恣意的に秘密指定できる仕組みは変わらぬまま、集団的自衛権の行使に踏み切った根拠を国民は知ることができないことになると、批判を集めていた。
つまり、実質的には大臣にさえ特定秘密を公開させる強制力はなく、国民の知る権利が侵されることへの歯止めにはならない。
もう、「やりっ放し」になることをはじめから想定しているのである。
報道ではごてごてしてわかりにくいが、「国民には非公開になる」、と明瞭に宣言したに等しい。

首相は先の訪米での国連総会一般討論演説で、持論の「積極的平和主義」について「人間を中心に据えた社会の発展に骨身を惜しまなかったわれわれが獲得した確信と、自信の、おのずからなる発展の上に立つ」と説明。海外で自衛隊の活動を拡大する方針を国外では言明しなかった。
五月の国内会見のように赤ちゃんを抱いた母子の絵を掲げ「船に乗っているお母さんや多くの日本人を守ることができない」「邦人輸送中の米輸送艦を守る」と言って、反応をみればよかったのだ。
これからは、こうした見当違いがどんどん大手を振っていくことになるというのか。

国連自由権規約委員会は7月末、基本的人権が日本で守られているかどうかを審査し、死刑廃止の検討、従軍慰安婦問題について国家責任を認めた公式謝罪など、およそ20点を勧告したが、安倍政権が七月に集団的自衛権の行使容認を閣議決定して12月に施行する計画について、「国民の知る権利を保障する国際条約と適合するよう、あらゆる措置をとるべきだ」としていた。
このことをもっと重く受け止めるべきだ。
特定秘密保護法は日本に於ける夥しい人権軽視を決定づけるものとして、国際的にも「おかしい」と注視されている法案だということだが、その方針はまったく是正されていないのである。

そしてこの14日午前の閣議での、特定秘密保護法の運用基準と施行期日などを定める政令決定に至る。
時事通信等によれば、運用基準は特定秘密の指定や解除のルール、監視体制を具体的に定める内容で、「国民の知る権利の尊重」や5年後の見直し規定を盛り込んだ。
同法の運用基準については「必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って特定秘密として指定する」と明記。
情報の意図的な隠蔽を防ぐため内部通報制度を盛り込むものである。
内閣府の独立公文書管理監と各行政機関の長の下に通報の受付窓口を設け、不適切な秘密指定があれば指定の解除・見直しを行う。
閣僚ら行政機関の長が指定する特定秘密の対象について、防衛、外交分野などの55の細目を設定して具体化。自衛隊の電波や衛星を活用して収集した情報や画像の収集・警戒監視活動、自衛隊の潜水艦や航空機、武器・弾薬の性能、外国政府や国際機関から提供された情報などを盛り込んだ。
政令では秘密指定できる行政機関について、内閣官房や国家安全保障会議(日本版NSC)、外務、防衛両省、原子力規制委員会など19機関とした。

政府側の恣意的な判断と裁量で「指定範囲」が広がるおそれがあるのは、いうまでもない。
国民の「知る権利」、「報道の自由」は、守られるのか。
廃案を求めると共に、厳しく監視していかなければならない。

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