
ロンドンでオリジナル版『KYOTO』を観る。
戯曲の翻訳は第三稿に入っている段階だが、帰国して全体を読み返し、あらためて内容の濃さと、周到さ、そして自由さに、唸る。
上演を観てわかったことは、言うまでもなく、当たり前のことだが、これは、演劇というものは、ChatGPTにはできないものだ、ということだ。
上演そのものは生身のことだからもちろんそうだが、この題材をこの形でやろうと考えついて実現させていった人たちは、国際会議に集まったあらゆる国々を代表して来た登場人物たちと同様に、世界中から集まった人たちであり、この時代にこの場所に揃ったという偶然が、一つの出来事を作っている。
劇中人物たちが「京都議定書」の締結に真摯に向かったように、このスタッフ・キャストが結集して初めて、この劇は成立したのだ。
国際会議も演劇も、人間という先の読めない生きものが向き合ってはじめて、実現に向けて動き出すのである。
燐光群による翻訳版は
6月27日〜7月13日
下北沢ザ・スズナリ
上演詳細はまもなく発表します。
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1997年12月、先進国の排出する温室効果ガスの削減について、初めて法的拘束力を持つ数値目標が設定された「京都議定書」。
満場一致で採択された気候変動枠組条約締約国会議(COP3)の開催地が京都であったことから、「京都」の名を冠しています。
『KYOTO』は、その決定に至る国際会議と周辺を描きます。
RSC(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)と、『ジャングル』で世界的成功をおさめたグッドチャンス社が、共同製作しています。
作者は、ジョー・マーフィーとジョー・ロバートソン。(「ダブル・ジョー」と称されているようです)
演出は、映画監督としても知られるスティーブン・ダルドリーと『ブライマ・フェイシィ』を演出したジャスティン・マーティンの共同。
本年度 オリヴィエ賞 作品賞・助演男優賞にノミネートされました。
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