八月五日に座高円寺2で行われた日本劇作家協会公開講座・リーディング「SHINSAI Theaters for Japan in Tokyo」の一部の写真等を紹介したい。これは『血の問題』。作・坂手洋二、演出・前川知大、出演・菊池明明+安井順平。奥秋圭さん撮影。もともとのテキストは燐光群昨年秋の公演『たった一人の戦争』の一場面そのままだ。観た人にSFサスペンチタッチとも言われたが、出てくる情報というかデータはすべて、誘拐の話以外は昨年4月頃にじっさいにあったことだ。前川さんが演出、俳優二人も丁寧に集中して演じてくれ、独立した短篇として面白くできていた。リーディングなのに御覧のように動いたり歩いたりする。例えリーディングであっても、俳優はただ字面を読めばいいということではない、最低限「いったいここで何が起きているのか」「自分は、相手は、何者なのか」を認識して読まなければならない(これがわからない人が巷のリーディング出演者では意外と多いのである)。この短篇はまさに、男の側が、「いったいここで何が起きているのか」「自分は、相手は、何者なのか」を探り、認識していくというストーリーだから、そこをきちんと踏まえてくれたので、リーディングの特性がうまく生きたという次第だ。厳しい世界だが微かに漂うユーモアも表現されている。最後に二人の関係というか仕組みがわかるのだが、女性にだけ譜面台を用意した点など、前川演出は冴えている。
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