Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

いよいよNIDA(オーストラリア国立演劇大学)公演

2014-08-10 | Weblog
シドニーに入った日、移動だけということではあったが、まだ諸々することあり。そもそも今回の旅、劇場から直帰して雑務・仕事していること多し。
着後もろもろ一段落つけ、ジェーンたちの誘いで皆と中華でも食べに行こうかとなったところで、急遽私は今回の会場となるNIDA(国立演劇大学)の現CEO代行・ジュリアに会いに行くことに。というのは、ジュリアは八年前私がNIDA演劇科のその年の卒業公演の演出を任されたとき、会長(当時はオーブリー)の秘書で、たいへんお世話になった人だからだ。Sonnyも同行。ご挨拶、ちょっとした打ち合わせ。懐かしい。当時の先生方はけっこう入れ替わっていて、知っている人は少なくなっている様子。
懐かしい町並みで晩メシ、と、あまり考えず入ったヌードル屋で、よせばいいのにラーメンを頼んだ。汁物がいいと思ったからだ。ところが、なぜか化学調味料を大量に溶かした豚骨スープで、ゆるゆるの麺、はっきりと失敗だった。
ともあれその日もノンアルコールで寝る。

翌朝8時から照明先行で仕込み。NIDAは学校なので、ただでさえいろいろとルールのあるオーストラリア劇場界の中で、さらにいろいろと制約あり。
「サンダルで劇場内に来ないでください」と劇場の人に注意された者がいたが、これが雪駄という「Japanese traditional working shoes for theater」であると説明しても理解不能であろう。
昔からそうだが、それにしてもピカピカの劇場である。国立の演劇大学さえない当方としては、溜息が出るばかりだ。

昔よく行った大学斜め前のスポーツバーに寄る。すっかりお洒落に生まれ変わり、学生街の感じではなくなっていたが、もっと早い時間だと違うのかもしれない。昔は学生向けの安い定食なんかもあったはずだぞ。定食といってもステーキとボテトとかだが。
坂を上がったところが今回の宿のあるRandwick。昔もよくブラプラしたしよくお世話になった12時まで開いているスーパーにも寄る。私が今劇場で使っている懐中電灯はここで買ったLEDものだが、時々調子が悪いので買い換えようと思っていたもののさすがに同機種のものは置いておらず、プラスチックのものを買う。

NIDAという学校の校舎の中には過去の学内上演作品の写真が多く飾られていた記憶があるが、PARADE THEATERの前のたいへん目立つところに私の携わった卒業公演『屋根裏(The Attic)』の写真も飾ってあり、おお、と思った。「アンカーパーソン」のBayleaが目立っている。
その斜め上には33年前、Mattの卒業公演の写真での勇姿も。なんというか、写真の中の身体の動きでもうMattだとわかる。

ブログにつけた写真は、SonnyとBaylea。(くっついてるけど別に恋人どうしじゃありません)
二人は、その『The Attic』に出演していて、私も今回が八年ぶりの「学校」なのである。

Sonnyは「松葉杖の男」を演じた。
演劇という表現には、「演じることによって知ることができる」という領域がある。この公演によってSonnyがそこに一歩近づけたという印象を持ったと、当時のメモにある。「松葉杖の男」は開演前に観客に場内案内をすることになっている。それ自体が仕掛けみたいなものだが、これはなかなか面白いのである。そういえば韓国の国立劇場版『屋根裏』で演出したとき同じ役をやってもらったのは、後に『息もできない』以降、韓国映画界でがんがん活躍することになるチョン・マンシクであった。
Sonnyは自分自身を活かし自分の魅力を知ることに、八年間を有効に使ってきたようだ。「どの角度から見ても大丈夫」な俳優になってきている。彼の持ち前の明るさ暖かさを、彼自身が冷静に知っている。

Bayleaは当時、自分から「アンカーパーソン」をやりたいと言った。本当に真面目でいろいろなことができる人だということは当時からわかっていたが、素朴さという持ち味で勝負できるところも強みだと当時のメモにある。「アンカーパーソン」という役の面白さを理解していることじたいにそうとう読解力があると思った。
八年の間に自分を鍛え上げ、さらにキャパシティーの広がった俳優になってると思う。そして彼女には大人の魅力が加わっている! かっこいいのだ。

今回、『カウラの班長会議』に出てくれている五人の豪俳優で、NIDA出身でないのはJaneだけである。
S.Jは卒業したてである。初め送られてきたバイオグラフィーの写真を見て、その「スーパーモデルかよ」と思わされる艶やかさにびっくりしたのだが、会ってみると本人は本当に初々しい「卒業したて」であった。多くの同郷の先輩たちと一緒なのは心強かっただろうし、本当に皆からよいアドバイスをもらったようだ。

そんなこんなで講師側であった私も含めた五人は、まさにNIDAへの里帰り公演である(S.Jは卒業直後にすぐ戻ってきた、ともなるのだが)。

もちろんJaneもシドニー演劇界で活躍する女優であり、シドニーのお客様は首を長くして待っていたはずである。
当地で彼女と演劇活動をしている、『CVR』の共同演出者の一人、Irvinとも再会できる。
楽しみだ。

そろそろ劇場に移る。
日曜日の今日、開演は5時。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« キャンベラ(2) | トップ | 『カウラの班長会議』日豪全... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
もう一度 (百枝 明彦)
2014-08-10 10:52:29
『カウラの班長会議』、観たくなりました。
オーストラリアで。


神戸公演の翌日、ばったりBayleaさんとお会いしましたよ~。ちょっとお話出来て、とても好印象でした。

お疲れ様でした。
また次の公演も楽しみにしております。
ありがとうございました。
返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事