東電福1原発3号機で18日、建屋内の床を水が勢いよく排水口に流れているのが見つかった。地下水に漏れ出た汚染水のベクレル値は過去最悪を連日更新している。
青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場の敷地に、火山噴火に伴う火砕流が3万2千年前と1万5千年前の2回到達した可能性が高いことがわかった。3万2千年前と1万5千年前だから、一万五千年周期としたら、次はそろそろではないか。火砕流が及ぶ可能性の強い場所に、原発も再処理工場も作られるべきではない。
私たちは放射能汚染の危機の上に立つ。
「原発推進の動きを止める」ことが、この国の緊急にして最大の課題である。
そのことは、わかる。
同時にこの国の右傾化、戦争のできる国になろうとする動きは、これまでにないものになっている。これも様々な方向から包囲されている。
政府は今月7日、日本の領海の範囲を設定する基点となっている約400の離島のうち、所有者不明の約280の島を国有化する方針を決めた。6月をめどに所有者などの調査を終え、国有財産台帳に登録するという。離島を「重要国土」と位置づけて、領土・領海を守る姿勢を明確にするとともに、海洋資源の管理や安全保障体制を強化する狙いだ。この離島国有化は、「日本の国有財産として登録することで、管理を強めていくというメッセージを発信していく」ということだ。
石原都知事が尖閣諸島を都の立場で購入しようとしたことは記憶に新しいが、「国土の防衛」というきな臭い言葉が生々しい響きを伴い、ある種の勢力がむしろ何かの「危機的状況」を待ち望むかのように、周到に用意されようとしている。
政府は、外交・安全保障政策の司令塔として発足した国家安全保障会議(NSC)の事務局となる「国家安全保障局」を設置。府省庁間の調整や企画立案、情報分析を担う。外交・安全保障政策の官邸主導が加速化している。
「戦争のしやすい仕組み」が整えられているのだ。
下村文相は小中学校での「道徳」教科化、政府見解などを書かせる教科書検定基準の改定などの動きに加え、選択科目の高校日本史の必修化、規範意識や社会制度などを高校生に教える新科目として「公共」の導入を目指すことなどを明らかにしている。
国家主義を教育の中で強めていく構えだ。
この国全体が、まるで「戦争」の「準備」をしようとしているかのようだ。
「原発」と「戦争」、この国の未来を見つめるにあたって、二つの問題は切り離せないもののように思われる。
名護市長選で500億円の「名護振興基金」を作る構想を表明していた自民党の石破茂幹事長は、米軍普天間飛行場の同市辺野古への移設反対を訴える稲嶺進氏の再選を受け、「稲嶺市長から言及がない以上、どうするか申し上げることは適切ではない」などと述べ、見直す考えを示した。
稲嶺進市長はもともと市長選で再選されれば市長の権限を使い、辺野古に代替基地を建設する計画の実現を阻止すると表明していた。
その上での勝利だから、民意は明らかだ。
500億円の振興基金構想をちらつかせ、推進派の敗北が決まればゼロベースで見直す石破幹事長のやり方は、「末松ビジョンを実現するためだった。今度の市長さんがどうするかは承知していない」と公言してはばからない菅義偉官房長官同様に、あからさまな選挙への利益誘導の介入であり、国家が自ら臆面もなく選挙違反していたというわけだ。
小野寺防衛相は「地方選挙なので辺野古移設問題に直結するとは考えない」「埋め立て権限は沖縄県が持っている。法令に基づいて対応すれば認める方向に進んでいくのではないか」と、移設作業を選挙結果と切り離して進める方針を示している。
もともと「基地の場所は政府が決める」と発言していた石破幹事長ではある。
政府は選挙結果をまるごと無視、代替施設の設計などに関する入札公告を21日にも実施するという。護岸工事の設計や辺野古沿岸部の海底のボーリング調査などを行う業者を3月中にも選定する方針らしい。
菅官房長官は「市長の権限は限定されているので支障は生じないだろう」と、現行計画に変更はないとの見方を示した。
沖縄県議会は仲井真弘多知事の名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認が県外移設を求める公約に違反しているとして、辞職要求の決議を賛成多数で可決した。しかし仲井真知事は「今さらどうこうできない」と開き直っている。
2月からは米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイを使った日米共同統合防災訓練が予定されている。南海トラフ巨大地震を想定し、高知県や福岡県の自衛隊施設にオスプレイが飛来する。
オスプレイの本土訓練は、「沖縄の基地負担軽減策」としてではなく、「新たな戦時体制」に向けて拡大されようとしているのだ。
選挙結果を無視して、どこに民主主義があるのか。しかも「戦争」に向けての動きである。
政府は、民意を無視して「戦争」「基地」を押しつける。
「原発」はどうか。
南相馬市では、「脱原発」の桜井市長が再選された。
では東京は?
東京都知事選挙をめぐって脱原発候補の一本化を目指していた市民団体や環境団体のリーダーたちが、宇都宮健児元日弁連会長でなく、細川護煕元首相を応援することに決めた。
「原発を止めるためには選挙に勝てる候補者でなければならない」「苦渋の選択だが、脱原発候補を当選させるにはこれしか方法がない」というのだ。
「細川一本化」を表明したのは「脱原発都知事を実現する会」。瀬戸内寂聴(作家)、柳田眞(たんぽぽ舎)、村上達也(東海村・前村長)、木村結(東電株主代表訴訟)、吉岡達也(ピースボート)、村田光平(元在駐スイス大使)等、脱原発運動をリードしてきた人々、湯川れい子、広瀬隆、宮台真司、村上達也前東海村村長らも応援している。 代表世話人は鎌田慧(ルポライター)、河合弘之(弁護士・脱原発弁護団全国連絡会)。
「実現する会」は脱原発候補の一本化を目指して今月15日に細川、宇都宮両陣営と交渉したのだという。宇都宮氏側は「オープンな場で討論し、有権者に判断していただきたい」、細川氏側も「いかなる政党、団体からも支援を受けない。ただしそれぞれの立場で脱原発の志を理解し応援してもらえれば幸い」と回答があり交渉は決裂、一本化には至らなかったとしている。
しかしこの「実現する会」は、なぜ細川氏支持を決めたのか。
報道によれば、理由は以下の二つだという。
・細川氏の脱原発政策はいまだ明らかではないが、陣営は「再稼働反対」、「原発ゼロ」「脱原発を優先する」としている。
・宇都宮氏は脱原発を政策としているが、他の政策と並列させており、優先度が低い。
宇都宮氏の「優先度」をどこで判断しているのかわからないが、いまだ明らかではない細川氏の「脱原発政策」のほうが信用できるというのが、私にはまったく理解できない。
そもそも「原発ゼロ」と「脱原発を優先する」は、全然意味が違う。「ゼロ」なら、わかる。しかし「優先する」は? 細川氏は「現政権の原発政策は犯罪的」「都知事選に日本の存亡がかかっている」という強い危機感から立候補を決意したと称しているようだが、いざとなったらどうなのか。「優先する」というのは、他の項目よりも優先するという意味なのかもしれないが、言葉としては不透明だ。「優先度」というコトバ自体が曖昧さを孕んでいる。場合によっては「はっきり決められない場合もある」ということではないのか?
「脱原発」を問う選挙で敗北すれば安倍政権が揺らぐというのは、わかる。都知事選の結果で原発再稼働の動きを止められればいいとも、思う。
しかし地方選挙である都知事選で「脱原発」候補者が勝っても、安倍政権は暖簾に腕押しで、知らぬ顔を決め込むかもしれない。
現状、「基地」の問題で名護市長選の結果を無視しているように、だ。
民主党は細川氏支持を打ち出したが、最大の支持基盤・連合東京は、自民・公明とともに舛添要一氏支持を決めた。連合会長が東電労組出身だからだという。
「細川一本化」の人達が言うのは、そんな「原子力ムラ」の擁護者よりは、保守勢力の中の脱原発派の方が信用できるという理屈だ。
前回は宇都宮氏を応援した人たちも細川氏支持に回っている。
「脱原発」の一点に賭ける。それはそれで理解できない考え方ではない。
だがそれが、ほんとうに「脱原発」に絞れているのかどうか。
「脱原発」票が割れ、結果として原発推進派が当選する事態は困る。候補者の一本化を強く求める。それもわかる。
だがどうしてその候補者が、細川氏なのか。
なぜ細川氏なら当選しそうなのか。宇都宮氏を囲いこんでいる印象の共産党への反発なのか。「元首相」のほうが格上なのか。無意識の権威主義におもねて「殿様」だからいいというのか。倒錯したポピュリズムではないのか。……そういう疑念も湧いてくる。
細川氏の背後にいる小泉純一郎氏に多くの批判を持つ人たちも、「一本化」に賛成している。
小泉氏は自民党を離党しているわけではない。
秘密保護法や靖国参拝に反対しているわけではない。村山談話を支持しているわけでもない。
かつて郵政民営化の動きや「自民党をぶっ壊す」という言説は、「反自民党」の人たちの支援も受けて、彼の施策を成功させた。
彼はもっともアメリカの言いなりになった総理大臣である。アーミテージ=ナイの指示にとことん従って、日本国内の反対勢力を黙らせてきた。自民党よりアメリカの言うことを聞いてきたのである。
しかし彼は自民党である。自民党の青年部リーダーである息子は未来の総理大臣と目されている。
そもそも安倍首相も小泉氏の門下生である。
「脱原発」の人々が、自民党の人間の力を借りて自民党に勝つ、その理屈は本当に通るのか。
国会選挙が当分行われない現状の中で都知事選は「千載一遇のチャンス」、それはわかる。しかし「保守勢力の分裂」に乗じるつもりが、いいようにされてしまうのではないかという疑念が、湧かないのか。
自民党はなぜ裏切り者の桝添を担いだ? オリンピックを睨んだら最強であるはずの、比例区だから議員を辞めても選挙をしなくてすむことが有利な橋本聖子とかではなく。他にも候補適任者はいたはずだ。
細川氏の選対責任者だという馬渡龍治氏は、自民党内の中軸の存在ではないが、自民党である。私はこの人の存在を知らなかった。鳩山邦夫議員の秘書を長く務め、派閥としては麻生太郎も支持する平成研究会。ウィキペディアによれば、衆議院選挙に初当選したのは2005年9月の総選挙。愛知3区から出馬、地区では民主党の近藤昭一前職に敗れるが比例東海ブロックで復活。当選したのはその一回だけである。
「反原発」候補の選対に入るからといって、馬渡氏は自民党の中でもリベラルというわけではなさそうだ。選択的夫婦別姓制度導入に反対、外国人参政権に反対、人権擁護法案に反対、国籍法改正に反対、慰安婦に対する日本政府の謝罪を求めるアメリカ合衆国下院121号決議に反対、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書の批准に慎重姿勢を示しているという。反原発の発言をしているという情報はない。
また、北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟の元幹事であり、「安倍派」の創生「日本」、価値観外交を推進する議員の会、小泉チルドレンの83会、伝統と創造の会、正しい日本を創る会、男系による皇位継承の維持を主張している日本会議国会議員懇談会、自民党拉致問題対策特命委員会、『国籍法改正案を検証する会合』に賛同する議員の会、等に属していた。
チャンネル桜の動画などにも出ているという馬渡氏はブログなどで、「日本軍が慰安婦にした事実はない」「集団的自衛権の行使はあたりまえ」「オスプレイは必要」「憲法を改正し自衛隊は「日本軍」とすべき」「村山談話を否定」「憲法改正は自民党の使命」「不法に日本に滞在している中国や韓国の女がぞろぞろでてくる。当局がすべて捕まえて、強制送還すべき」と言い、安倍内閣の支持率上昇を喜び、「新しい歴史教科書」を支持しているようだ。
安倍政権打倒を目指す陣営の選対が、どうしてタカ派の安倍シンパなのだ。
細川氏が勝ってもべつだん安倍首相は困りはしないという可能性も強いのだ。出来レースの可能性は強い。
細川氏が都知事に就任しても「時間がかかる」として、「即ゼロ」に持ち込めない可能性もある。
原発のリスクは双方向で高い。じつは自民党の一部には、原発を止めるという選択肢も「あり」なのかもしれない。原発を止めることに気を散らされているうちに、彼らの真の狙いである憲法改悪に向けての動きを許してしまうことになっては、かなわない。
原発を止めるのは正しい。
しかし代償に、平和国家としては世界的信用を失いつつあるこの国に止めを刺すような右傾化を許すことになるかもしれないというのが、私の危惧するところである。
細川氏はあす22日に公約を発表するという。
それまでに、「脱原発都知事を実現する会」の皆さんは、私の心配が杞憂に終わるだけの、はっきりとした言質、決して自民党的ではない公約を、引き出せるのだろうか。
原発の「即ゼロ」公約を、確実にできるだろうか。
確かに緊急の問題である「脱原発」だが、それに目を眩まされることなく、自分たちが擁立する候補者に対して、しっかりとした要求をし、確実な約束を引き出すことを、期待する。
「勝手連」だからそこまで責任がとれないと言うだろうか?
そんなことでは困る。「苦汁の決断」に酔っている場合ではない。
「原発」と「戦争」、二つの問題を切り離さないことが肝腎だ。
青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場の敷地に、火山噴火に伴う火砕流が3万2千年前と1万5千年前の2回到達した可能性が高いことがわかった。3万2千年前と1万5千年前だから、一万五千年周期としたら、次はそろそろではないか。火砕流が及ぶ可能性の強い場所に、原発も再処理工場も作られるべきではない。
私たちは放射能汚染の危機の上に立つ。
「原発推進の動きを止める」ことが、この国の緊急にして最大の課題である。
そのことは、わかる。
同時にこの国の右傾化、戦争のできる国になろうとする動きは、これまでにないものになっている。これも様々な方向から包囲されている。
政府は今月7日、日本の領海の範囲を設定する基点となっている約400の離島のうち、所有者不明の約280の島を国有化する方針を決めた。6月をめどに所有者などの調査を終え、国有財産台帳に登録するという。離島を「重要国土」と位置づけて、領土・領海を守る姿勢を明確にするとともに、海洋資源の管理や安全保障体制を強化する狙いだ。この離島国有化は、「日本の国有財産として登録することで、管理を強めていくというメッセージを発信していく」ということだ。
石原都知事が尖閣諸島を都の立場で購入しようとしたことは記憶に新しいが、「国土の防衛」というきな臭い言葉が生々しい響きを伴い、ある種の勢力がむしろ何かの「危機的状況」を待ち望むかのように、周到に用意されようとしている。
政府は、外交・安全保障政策の司令塔として発足した国家安全保障会議(NSC)の事務局となる「国家安全保障局」を設置。府省庁間の調整や企画立案、情報分析を担う。外交・安全保障政策の官邸主導が加速化している。
「戦争のしやすい仕組み」が整えられているのだ。
下村文相は小中学校での「道徳」教科化、政府見解などを書かせる教科書検定基準の改定などの動きに加え、選択科目の高校日本史の必修化、規範意識や社会制度などを高校生に教える新科目として「公共」の導入を目指すことなどを明らかにしている。
国家主義を教育の中で強めていく構えだ。
この国全体が、まるで「戦争」の「準備」をしようとしているかのようだ。
「原発」と「戦争」、この国の未来を見つめるにあたって、二つの問題は切り離せないもののように思われる。
名護市長選で500億円の「名護振興基金」を作る構想を表明していた自民党の石破茂幹事長は、米軍普天間飛行場の同市辺野古への移設反対を訴える稲嶺進氏の再選を受け、「稲嶺市長から言及がない以上、どうするか申し上げることは適切ではない」などと述べ、見直す考えを示した。
稲嶺進市長はもともと市長選で再選されれば市長の権限を使い、辺野古に代替基地を建設する計画の実現を阻止すると表明していた。
その上での勝利だから、民意は明らかだ。
500億円の振興基金構想をちらつかせ、推進派の敗北が決まればゼロベースで見直す石破幹事長のやり方は、「末松ビジョンを実現するためだった。今度の市長さんがどうするかは承知していない」と公言してはばからない菅義偉官房長官同様に、あからさまな選挙への利益誘導の介入であり、国家が自ら臆面もなく選挙違反していたというわけだ。
小野寺防衛相は「地方選挙なので辺野古移設問題に直結するとは考えない」「埋め立て権限は沖縄県が持っている。法令に基づいて対応すれば認める方向に進んでいくのではないか」と、移設作業を選挙結果と切り離して進める方針を示している。
もともと「基地の場所は政府が決める」と発言していた石破幹事長ではある。
政府は選挙結果をまるごと無視、代替施設の設計などに関する入札公告を21日にも実施するという。護岸工事の設計や辺野古沿岸部の海底のボーリング調査などを行う業者を3月中にも選定する方針らしい。
菅官房長官は「市長の権限は限定されているので支障は生じないだろう」と、現行計画に変更はないとの見方を示した。
沖縄県議会は仲井真弘多知事の名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認が県外移設を求める公約に違反しているとして、辞職要求の決議を賛成多数で可決した。しかし仲井真知事は「今さらどうこうできない」と開き直っている。
2月からは米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイを使った日米共同統合防災訓練が予定されている。南海トラフ巨大地震を想定し、高知県や福岡県の自衛隊施設にオスプレイが飛来する。
オスプレイの本土訓練は、「沖縄の基地負担軽減策」としてではなく、「新たな戦時体制」に向けて拡大されようとしているのだ。
選挙結果を無視して、どこに民主主義があるのか。しかも「戦争」に向けての動きである。
政府は、民意を無視して「戦争」「基地」を押しつける。
「原発」はどうか。
南相馬市では、「脱原発」の桜井市長が再選された。
では東京は?
東京都知事選挙をめぐって脱原発候補の一本化を目指していた市民団体や環境団体のリーダーたちが、宇都宮健児元日弁連会長でなく、細川護煕元首相を応援することに決めた。
「原発を止めるためには選挙に勝てる候補者でなければならない」「苦渋の選択だが、脱原発候補を当選させるにはこれしか方法がない」というのだ。
「細川一本化」を表明したのは「脱原発都知事を実現する会」。瀬戸内寂聴(作家)、柳田眞(たんぽぽ舎)、村上達也(東海村・前村長)、木村結(東電株主代表訴訟)、吉岡達也(ピースボート)、村田光平(元在駐スイス大使)等、脱原発運動をリードしてきた人々、湯川れい子、広瀬隆、宮台真司、村上達也前東海村村長らも応援している。 代表世話人は鎌田慧(ルポライター)、河合弘之(弁護士・脱原発弁護団全国連絡会)。
「実現する会」は脱原発候補の一本化を目指して今月15日に細川、宇都宮両陣営と交渉したのだという。宇都宮氏側は「オープンな場で討論し、有権者に判断していただきたい」、細川氏側も「いかなる政党、団体からも支援を受けない。ただしそれぞれの立場で脱原発の志を理解し応援してもらえれば幸い」と回答があり交渉は決裂、一本化には至らなかったとしている。
しかしこの「実現する会」は、なぜ細川氏支持を決めたのか。
報道によれば、理由は以下の二つだという。
・細川氏の脱原発政策はいまだ明らかではないが、陣営は「再稼働反対」、「原発ゼロ」「脱原発を優先する」としている。
・宇都宮氏は脱原発を政策としているが、他の政策と並列させており、優先度が低い。
宇都宮氏の「優先度」をどこで判断しているのかわからないが、いまだ明らかではない細川氏の「脱原発政策」のほうが信用できるというのが、私にはまったく理解できない。
そもそも「原発ゼロ」と「脱原発を優先する」は、全然意味が違う。「ゼロ」なら、わかる。しかし「優先する」は? 細川氏は「現政権の原発政策は犯罪的」「都知事選に日本の存亡がかかっている」という強い危機感から立候補を決意したと称しているようだが、いざとなったらどうなのか。「優先する」というのは、他の項目よりも優先するという意味なのかもしれないが、言葉としては不透明だ。「優先度」というコトバ自体が曖昧さを孕んでいる。場合によっては「はっきり決められない場合もある」ということではないのか?
「脱原発」を問う選挙で敗北すれば安倍政権が揺らぐというのは、わかる。都知事選の結果で原発再稼働の動きを止められればいいとも、思う。
しかし地方選挙である都知事選で「脱原発」候補者が勝っても、安倍政権は暖簾に腕押しで、知らぬ顔を決め込むかもしれない。
現状、「基地」の問題で名護市長選の結果を無視しているように、だ。
民主党は細川氏支持を打ち出したが、最大の支持基盤・連合東京は、自民・公明とともに舛添要一氏支持を決めた。連合会長が東電労組出身だからだという。
「細川一本化」の人達が言うのは、そんな「原子力ムラ」の擁護者よりは、保守勢力の中の脱原発派の方が信用できるという理屈だ。
前回は宇都宮氏を応援した人たちも細川氏支持に回っている。
「脱原発」の一点に賭ける。それはそれで理解できない考え方ではない。
だがそれが、ほんとうに「脱原発」に絞れているのかどうか。
「脱原発」票が割れ、結果として原発推進派が当選する事態は困る。候補者の一本化を強く求める。それもわかる。
だがどうしてその候補者が、細川氏なのか。
なぜ細川氏なら当選しそうなのか。宇都宮氏を囲いこんでいる印象の共産党への反発なのか。「元首相」のほうが格上なのか。無意識の権威主義におもねて「殿様」だからいいというのか。倒錯したポピュリズムではないのか。……そういう疑念も湧いてくる。
細川氏の背後にいる小泉純一郎氏に多くの批判を持つ人たちも、「一本化」に賛成している。
小泉氏は自民党を離党しているわけではない。
秘密保護法や靖国参拝に反対しているわけではない。村山談話を支持しているわけでもない。
かつて郵政民営化の動きや「自民党をぶっ壊す」という言説は、「反自民党」の人たちの支援も受けて、彼の施策を成功させた。
彼はもっともアメリカの言いなりになった総理大臣である。アーミテージ=ナイの指示にとことん従って、日本国内の反対勢力を黙らせてきた。自民党よりアメリカの言うことを聞いてきたのである。
しかし彼は自民党である。自民党の青年部リーダーである息子は未来の総理大臣と目されている。
そもそも安倍首相も小泉氏の門下生である。
「脱原発」の人々が、自民党の人間の力を借りて自民党に勝つ、その理屈は本当に通るのか。
国会選挙が当分行われない現状の中で都知事選は「千載一遇のチャンス」、それはわかる。しかし「保守勢力の分裂」に乗じるつもりが、いいようにされてしまうのではないかという疑念が、湧かないのか。
自民党はなぜ裏切り者の桝添を担いだ? オリンピックを睨んだら最強であるはずの、比例区だから議員を辞めても選挙をしなくてすむことが有利な橋本聖子とかではなく。他にも候補適任者はいたはずだ。
細川氏の選対責任者だという馬渡龍治氏は、自民党内の中軸の存在ではないが、自民党である。私はこの人の存在を知らなかった。鳩山邦夫議員の秘書を長く務め、派閥としては麻生太郎も支持する平成研究会。ウィキペディアによれば、衆議院選挙に初当選したのは2005年9月の総選挙。愛知3区から出馬、地区では民主党の近藤昭一前職に敗れるが比例東海ブロックで復活。当選したのはその一回だけである。
「反原発」候補の選対に入るからといって、馬渡氏は自民党の中でもリベラルというわけではなさそうだ。選択的夫婦別姓制度導入に反対、外国人参政権に反対、人権擁護法案に反対、国籍法改正に反対、慰安婦に対する日本政府の謝罪を求めるアメリカ合衆国下院121号決議に反対、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書の批准に慎重姿勢を示しているという。反原発の発言をしているという情報はない。
また、北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟の元幹事であり、「安倍派」の創生「日本」、価値観外交を推進する議員の会、小泉チルドレンの83会、伝統と創造の会、正しい日本を創る会、男系による皇位継承の維持を主張している日本会議国会議員懇談会、自民党拉致問題対策特命委員会、『国籍法改正案を検証する会合』に賛同する議員の会、等に属していた。
チャンネル桜の動画などにも出ているという馬渡氏はブログなどで、「日本軍が慰安婦にした事実はない」「集団的自衛権の行使はあたりまえ」「オスプレイは必要」「憲法を改正し自衛隊は「日本軍」とすべき」「村山談話を否定」「憲法改正は自民党の使命」「不法に日本に滞在している中国や韓国の女がぞろぞろでてくる。当局がすべて捕まえて、強制送還すべき」と言い、安倍内閣の支持率上昇を喜び、「新しい歴史教科書」を支持しているようだ。
安倍政権打倒を目指す陣営の選対が、どうしてタカ派の安倍シンパなのだ。
細川氏が勝ってもべつだん安倍首相は困りはしないという可能性も強いのだ。出来レースの可能性は強い。
細川氏が都知事に就任しても「時間がかかる」として、「即ゼロ」に持ち込めない可能性もある。
原発のリスクは双方向で高い。じつは自民党の一部には、原発を止めるという選択肢も「あり」なのかもしれない。原発を止めることに気を散らされているうちに、彼らの真の狙いである憲法改悪に向けての動きを許してしまうことになっては、かなわない。
原発を止めるのは正しい。
しかし代償に、平和国家としては世界的信用を失いつつあるこの国に止めを刺すような右傾化を許すことになるかもしれないというのが、私の危惧するところである。
細川氏はあす22日に公約を発表するという。
それまでに、「脱原発都知事を実現する会」の皆さんは、私の心配が杞憂に終わるだけの、はっきりとした言質、決して自民党的ではない公約を、引き出せるのだろうか。
原発の「即ゼロ」公約を、確実にできるだろうか。
確かに緊急の問題である「脱原発」だが、それに目を眩まされることなく、自分たちが擁立する候補者に対して、しっかりとした要求をし、確実な約束を引き出すことを、期待する。
「勝手連」だからそこまで責任がとれないと言うだろうか?
そんなことでは困る。「苦汁の決断」に酔っている場合ではない。
「原発」と「戦争」、二つの問題を切り離さないことが肝腎だ。
お名前は、新聞の劇評等で存じておりますが、申し訳ありません、演劇全般が苦手なものでして、作品は未見です。折があれば、観劇したいと思います。
レアと申します。
今回のこの記事を、わたしの拙ブログに転載してもよいでしょうか?
先日の、有名無名の脱原発を目指している方々による細川氏の支援発表を読み、自分なりに悶々と考えていましたがまとまらず、
今日、洋二さんのこの記事を、すべての行にうんうんと頷きながら読ませていただいた次第です。
どうかよろしくお願いします。
貴ブログの読者登録をさせていただきました。よろしくお願いします。