東京新聞によると、復興庁は13日、東京電力福島第一原発の処理水に含まれる放射性物質トリチウムの安全性をPRする目的で作成したチラシを発表。チラシには、トリチウムが自治体の広報で使われる「ゆるキャラ」のようなかわいらしいデザインのキャラクターで登場しているという。
復興庁の担当者はトリチウムをキャラクターとして表現した理由を「親しみやすさという意味が大きい。『善』でも『悪』でもない中間的な感じを目指した」と説明しているという!
被害を生み出す可能性のあるものを、親しみやすくして、どうするのだ?
「『善』でも『悪』でもない中間的な感じ」というのは、ちょっと頭が痛くなるが、物質そのものに罪がないということと、その危険性をクリアしないで放出することとは、まったく意味が違う。
チラシでは「トリチウムが雨水や海水、水道水、人間の体の中にも存在する」と説明。そりゃそうだ。存在はする。
「人間の体内で蓄積されずに水と一緒に排出される」「海洋放出の際に濃度を大幅に薄めるため、海水中の濃度は基本的に水道水と同レベルになる」などと紹介しているという。いやいや、薄めればいくらでも濃度は落ちるだろうが、なくなるわけじゃない。
汚染水を処理水と言い換えることもひどいが、それが子供たち向けであることは、もっと罪深い。
「飲んでも大丈夫」という麻生副総理の発言が、どれだけ多くの人を傷つけているか。
本当に安全と言われる処理ができるまでは、海洋放出は許されない。
どんなに薄めようが、たいへんな蓄積が予想される。
この災厄と向き合うことは、絶望的に長い期間、続くのである。