劇場入り。重い原稿を仕上げてから。今回はきわめてシンプルな舞台である。だが、劇場に入ると驚かれると思う。……未明に吉本隆明氏の訃報。もう三十年以上前、十代の頃は片っ端から読んでいた。吉本氏の洗礼を受けたのは私の世代が最後くらいではないか。その後角川文庫が三部作を出したりしたから、そうでもないかもしれないが。呆れるほど多くの諸先輩が彼の引用、受け売り、孫引きをしていた。『共同幻想論』がなぜ全共闘世代のバイブルと呼ばれたか、一読しただけではさっぱりわからなかった。いろいろと疑問も多かったがやはり三部作は読み応えがあった。「情況」というコトバの位相を変えた人でもある。そして私は『島尾敏雄論』から入ったが、戦後文学のすぐれた案内人でもあった。マルチと言うより、文学と思想の繋ぎ方に独自の存在感があった人だが、『マス・イメージ論』『「反核」異論』辺りからズレてきてしまったと思う。だが、当時は、彼がズレてゆくというまさにそのことの中に、「現実」を読み取ろうとした気がする。その手法がおそらく「吉本流」でもあったはずなのだが。
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