A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記514 「没後100年 青木繁展――よみがえる神話と芸術」

2011-06-09 23:35:03 | 書物
タイトル:没後100年 青木繁展――よみがえる神話と芸術
編集:森山秀子、植野健造、貝塚健、山野英嗣
コーディネイト:高市純行、藍畑啓二(毎日新聞社
翻訳:小川紀久子、マーサ・マクリントク、ルシー・マクレリー
デザイン:高岡健太郎(エヌ・シー・ピー)
印刷・制作:日本写真印刷
発行:石橋財団石橋美術館石橋財団ブリヂストン美術館、毎日新聞社
発行日:2011年3月
内容:
29cm、291p
展覧会カタログ
〈没後100年 青木繁展―よみがえる神話と芸術〉
2011年3月25日―5月15日 石橋美術館
2011年5月27日―7月10日 京都国立近代美術館
2011年7月17日―9月4日 ブリヂストン美術館

「青木繁の生涯と芸術」植野健造(石橋財団石橋美術館学芸員)
「《海の幸》に見る青木繁の想像力」貝塚健(石橋財団ブリヂストン美術館学芸員)

カタログ Catalogue
第1章 画壇への登場―丹青によって男子たらん 1903年まで
第2章 豊饒の海―《海の幸》を中心に 1904年
第3章 描かれた神話―《わだつみのいろこの宮》まで 1904-07年
第4章 九州放浪、そして死 1907-11年
第5章 没後、伝説の形成から今日まで

「青木繁と三人の友―坂本繁二郎、蒲原有明、梅野満雄」森山秀子(石橋財団石橋美術館学芸課長)
「「青木繁」再考―美術史上における視点から」山野英嗣(京都国立近代美術館学芸課長)
青木繁に関する基本資料 植野健造編
青木繁 関係地図 植野健造編
青木繁 年表 植野健造編
青木繁 文献 森山秀子、植野健造編
出品目録/作品解説

The Life and Arts of Aoki Shigeru”Ueno Kenzo
A Gift of the Sea: Aoki Shigeru’s Imaginative Powers” Kaizuka Tsuyoshi
Commentaries on the Chapters
1. His Debut: The Painter as a Real Man (until 1903)
2. The Fertile Sea: Focus on A Gift of the Sea (1904)
3. Mythology Depicted: Until Paradise under the Sea (1904-1907)
4. Wandering in Kyushu and Death (1907-1911)
5. The Posthumous Legend Forms

頂いた日:2011年5月26日
場所:京都国立近代美術館
 内覧会の招待状を頂き、会場で頂いた1冊。招待状をお譲り頂き、どうもありがとうございます。
 青木繁は、28歳で亡くなったため、作品数は少ないが、いまでも日本の近代美術のなかでは人気のある画家である。画家としての経歴は10年ほどしかないことを考えると、これは特異なことであろう。没後100年を機に開催される本展では資料類を合わせて約300点の作品が並ぶ。いままで見る機会が少なかったドローイングや水彩画などに瞠目した。
 だが、青木と朋友だった坂本繁二郎の方が好みの私からすると、青木繁の神話やラファエル前派に影響を受けた世界観はどうにも馴染めない。そういうことがわかっただけでも、一見の価値はあった。

Recording Words 074 ほほえみ

2011-06-08 23:12:30 | ことば
 ほほえむということは簡単なことで、それで世の中のすべてを取りしきることができるんです。人間の顔というのはうまくできておりまして、泣くためにあるのではありません。涙もうれし涙を流すためにあるので、悲しいことで泣くために涙があるのではないのです。そういうふうに思ってください。そしていつもほほえんでいればいい。ほほえんでいる人のまわりには、何かいいことがあるんだろうと思って、みんなが寄ってきます。いつもブスッとして、つかみかからんばかりの人がいますが、そういう人にはだれも寄ってきません。そういう人はいつまでも孤独です。孤独というのは、まずほほえまない人です。それはだれが悪いわけでもなく、自分が悪いのです。ほほえんでいる人で孤独な人というのは見たことがありません。
(美輪明宏『微笑みの首飾り』水書房、2007年、p.218)

今日一日、ほほえみますように。

(ほほえむには相手(他者)がいる)

未読日記513 「国谷隆志:垂直なる地平」

2011-06-07 23:58:27 | 書物
タイトル:今日の作家シリーズ48「国谷隆志:垂直なる地平」
翻訳:クリストファー・スティブンズ、p.5
   松谷誠子、p.13
撮影:草木貴照
デザイン:荻野瑞穂(オフィスAPV)
印刷・製本:関西美術印刷株式会社
発行日:2007年12月13日
発行:大阪府立現代美術センター
内容:
大阪府立現代美術センターにて開催された〈今日の作家シリーズ48「国谷隆志:垂直なる地平」〉(2007年12月4日~12月22日)の展覧会カタログ。
26cm、カラー、24p

はじめに
「制作の現場から立ちあがるものについて」松本薫(大阪府立現代美術センター)
"The Things That Emerge from a Factory" Kaoru Matsumoto
「国谷隆志の新作」尾崎信一郎(美術批評家)
"Recent Works of Takashi Kunitani" Shinichiro Osaki
図版
国谷隆志略歴
Takashi Kunitani Biography

頂いた日:2011年5月22日
場所:アトリエシェア京都
 「アートフェア京都」と連動して開催されたオープンスタジオ「京都アペルト2011」に行った際、作家の方より頂いた1冊。どうもありがとうございます。大阪府立現代美術センターで開催されていたシリーズ「今日の作家」だが、残念ながら本展が最後の展覧会となってしまったという。
 国谷氏の作品は、ともすればダン・フレイヴィンを思わせるライト・アートに見えるかもしれない。だが、光も大切な要素だが、それを発する「ガラス」そのものが造形化されており、既成品とは異なる高度な技術が詰め込まれている。実際に作品を見てみたい。また、砂岩に星空の写真がプリントされた(?)「A piece of Universe」も魅力的だ。
 なお、オープンスタジオを開催していたアトリエシェア京都は、かつて彌右衛門画廊の場所だった。学生だった2002年にゼミ旅行で行った記憶があるが、その後展覧会開催の情報を聞かず忘れていた。まさか9年後に京都在住で再訪することになろうとは。さりげなく、駐輪場に海老塚耕一作品がゴロンと置かれていたのが少し悲しい。
 アトリエシェア京都として再開したのは昨年かららしいが、アトリエとしては申し分のない好環境である。それほど多くアーティストのスタジオを見ているわけではないが、ここは施設、スペース共に充実している。運営のYAEMONはほかにも町屋を利用したシェアアトリエ事業を手掛けている。そう、京都は使われていない京町屋がたくさんあるのだから、京都市はそれらをアーティストや職人などにアトリエとして安く提供したらいかがだろうか(研究者やキュレーターでもいいと思う)。京都をアーティスト拠点都市として位置付け、アーティストがたくさん集まる都市にしたらどうだろう。他の都市ではできないことがたくさんできそうだ。アーティストは人を呼び寄せる力やネットワークがあるので、人が集まれば税金も消費も増え、経済が活性化するかも・・。

Recording Words 073 褒めて育つ人

2011-06-06 23:41:04 | ことば
 褒めて育つ人と褒めて増長する人というリスクはある。でも、褒めて増長して社会的にまずいことになるよりか、褒めないでその人の可能性を潰す方が、社会的ロスは大きいと思う。褒めてしまって変なやつがのさばるっていうのはある。それでもアーティストを褒めないで、彼らのチャンスが奪われることのほうが絶対良くない。だから、リスクをとってもやっぱり褒めてあげたほうがいいと思う。
(浜野保樹[東京大学大学院教授]、山口裕美『芸術(アート)のグランドデザイン』弘文堂、2006年、p.112)

褒めるのも技術がいる。

(わたしの場合、アーティストを褒めているより、作品を褒めている気がする。)

未読日記512 「なんなら反ロダン主義」

2011-06-05 23:04:38 | 書物
タイトル:なんなら反ロダン主義 加藤学・黒川弘毅・竹内義郎
発行:galerie 16
発行日:1993年1月
定価:400円
内容:
京都・ギャラリー16にて開催された〈なんなら反ロダン主義 加藤学・黒川弘毅・竹内義郎〉(1993年1月15日~1月30日)のカタログ。
1冊(頁付なし,おもに図版) 、23cm

テキスト「ロダンはお好きですか?」峯村敏明
図版
作家略歴

購入日:2011年5月20日
購入店:galerie 16
購入理由:
 この展覧会とカタログの有無は、以前ギャラリー16について調べる機会があり、その時に知った。峯村氏が京都のギャラリーで展覧会を企画していたとは知らず、峯村敏明文献を収集している私としては、ぜひ手に入れたいと思った。
 だが、かなり前の展覧会なので、在庫処分をしているかもしれず、その存在はわからなかった。たまたまこの日、ギャラリーの方とお話する機会があり、思いついて訪ねてみたら、まだ在庫があるということだったので、さっそく購入。
 毎回楽しみなテキストを読むと、まったく3作家について触れていないが(笑)、テキスト最後の「前衛の時代はもう終わったのです」の一文は、いまだに有効だろう。「反ロダン主義」とタイトルにあるのに、なぜか彫刻は黒川弘毅のみ。タイトルの「なんなら」と使い方といい、「反(アンチ)」な要素を持つ展覧会だ。

 

Recording Words 072 自分を信じる

2011-06-04 23:25:51 | ことば
 自信を持つことはうぬぼれることではありません。「自分を信じる」と書いて自信というのです。おのれを信じるということが一番大事なのです。よく、「私のことをちっとも信じてくれない」という人がいますが、そういう人に「では、自分のことを信じていますか?」と聞くと、「自分でも信じられない」と言うんです(笑)。自分も信じられない人が、他人には「信じてくれない」と不満をいうというのは図々しい話ですね。ですからまず自分が自分を信じることですね。自分を信じられるような人間にまで自分を高めて、それで経験を積んで、練磨していくのです。そうすると、「この前はあれだけできたんだから、今度もできないことはないわ」というふうに次第に自信が持てるようになるのです。
(美輪明宏『微笑みの首飾り』水書房、2007年、p.205)

私もまた自分が信じられない、というより信じていない人間である。
今度はできるかどうか・・


未見日記 MOVIVG

2011-06-03 23:55:33 | 映画
タイトル:MOVING vol.0
制作/販売:MOVING実行委員会×&ART[株式会社フィールド]
協力:アートフェア京都実行委員会ULTRA FACTORY京都シネマ児玉画廊STANDING PINE-cubeTake Ninagawa無人島プロダクション
発売日:2011年5月
定価:5000円(税込)
内容:
DVD/111分/カラー

林勇気「The layers of everything」
宮永亮+muranaka masumi/polarM「am-pm drawing #1」
平川祐樹「夜に浮かぶ」
トーチカ「PiKAPiKA あいち プロジェクト」
八木良太「Lento-Presto(Autumn in NewYork, NewYork)」
かなもりゆうこ「トショモノ」
松本力「自らの悪心をどうやって倒すか。」
水野勝規「blue glass」
村川拓也「対馬」

購入日:2011年5月20日
購入店:「アートフェア京都」内507号室 ホテルモントレ京都
購入理由:
 「アートフェア京都」で200枚限定発売されていたもの。チラシを見て知ったが、これだけのアーティストの作品が1枚に入って、5000円とは安い。作家からすると、実際に作品が売れないと困ると思うが、DVDとして一般用に販売してくれるのはうれしい。
 ちなみに私の購入した商品は「079」だった。偶然、生年と同じで縁起がいい気がする。
 同名の上映会も京都シネマで開催されていたが、結局行かれなかった。次回のアートフェア京都でも、ぜひこの企画を継続してほしい。


未読日記511 「トポグラフィの日本近代」

2011-06-02 23:37:42 | 書物
タイトル:トポグラフィの日本近代―江戸泥絵・横浜写真・芸術写真 (視覚文化叢書)
著者:佐藤守弘
装丁:神田昇和
発行:青弓社
発行日:2011年3月31日
内容:
近代日本で都市や自然を写し取った江戸泥絵、横浜写真、雑誌メディア、芸術写真を素材にして、場所を描く視覚表象=トポグラフィが流通したことで、人々は環境をどう意味づけ、消費したのかを解明する。
近代期の絵画、写真や雑誌などによって編成されたイメージ群が、いまなお私たちのものの見方を規定していることをあぶり出す。
(本書表紙カバーより)
A5判 216ページ 上製

序章 トポグラフィと視覚文化
第1章 トポグラフィとしての名所絵――江戸泥絵における都市の表象
第2章 観光・写真・ピクチャレスク――横浜写真における自然景観の表象
第3章 伝統の地政学――世紀転換期のマスメディアにおける京都の表象
第4章 郷愁のトポグラフィ――1910年代の芸術写真における山村風景の表象
終章 風景からトポグラフィへ
あとがき
索引

購入日:2011年5月20日
購入店:Amazon.co.jp
購入理由:
 鳥瞰図研究について、とある方にアドバイスをもらい佐藤守弘氏の著作をご教示頂いた。さっそく調べて購入。本書では、鳥瞰図こそ取り上げていないものの、かなり近い領域を研究されていて、とても参考になりそうだ。



Recording Words 071 やれること

2011-06-01 23:22:03 | ことば
大切なのは、「やりたいこと」より「やれること」、「できること」です。いまできることをやればいい。手持ちの札だけで勝負する。いちばん堅実で間違えないやりかたです。やれることをやりながら、少しずつやれることを増やしていけばいい。
(永江朗『書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)』平凡社、2009年、p.29)

手持ちの札は少ないが、やるしかない・・。