A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

Recording Words 079 しっかりやりましょう

2011-06-19 23:51:21 | ことば
お手紙ありがとうございました。
お互いにしっかりやらなければなりません。

突然ですが。
私なんかこのごろは毎日ブリブリ憤ってばかりいます。
何もしゃくにさわる筈がさっぱりないのですが
どうした訳やら人のぼんやりした顔を見ると、
「ええぐずぐずするない」
いかりがかっと燃えて身体は酒精に入ったような気がします。
机へ座って誰かの物を言うのを思いだしながら
急に身体全体で机をなぐりつけそうになります。

いかりは赤く見えます。
あまり強いときはいかりの光が滋くなって
却て水のように感ぜられます。
遂には真青に見えます。

確かにいかりは気持が悪くありません。
関さんがああおこるのも尤もです。
私は殆んど狂人にもなりそうなこの発作を
機械的にその本当の名称で呼び出し手を合せます。

人間の世界の修羅の成仏。
そして悦びにみちて頁を繰ります。

本当にしっかりやりましょうよ。

あなたのように心的にも身的にも
烈しい動きをしなければならない状態では
いつもこんなことはお感じでしょう。

まだ、まだ、まだ、まだこんなことではだめだ。

専門はくすぐったい。学者はおかしい。
実業家とは何のことだ。まだまだまだ。

しっかりやりましょう。―しっかりやりましょう。―
しっかりやりましょう。―しっかりやりましょう。―
しっかりやりましょう。―しっかりやりましょう。―
しっかりやりましょう。―しっかりやりましょう。―
しっかりやりましょう。―しっかりやりましょう。―
しっかりやりましょう。―しっかりやりましょう。―
しっかりやりましょう。―しっかりやりましょう。―
しっかりやりましょう―しっかりやりましょう
しっかりやりましょう―しっかりやりましょう
しっかりやりましょう―しっかりやりましょう

しっかりやりましょう。

かなしみはちからに、
欲りはいつくしみに、
いかりは智慧にみちびかるべし。

(宮沢賢治「1920年 友人、保阪嘉内への手紙」、宮沢賢治・川原真由美 画『あたまの底のさびしい歌』、港の人、2005年、p.97-103)

まだ、まだ、まだ、まだこんなことではだめだ。


未読日記517 「Ceramic Site 2011」

2011-06-18 23:22:01 | 書物
タイトル:Ceramic Site 2011
撮影:南野馨
編集・発行:ギャラリー白
印刷:株式会社グラフィック
発行日:2011年6月
内容:
展覧会カタログ A5判 24p
Ceramic Site 2011
2011年6月6日(月)~6月18日(土)
ギャラリー白、ギャラリー白3

「陶のパラダイム・シフト(a ceramic paradigm shift)―その「現場」として」マルテル坂本牧子(兵庫陶芸美術館学芸員)
図版
秋永邦洋・粟田尚子・大原千尋・かのうたかお・川越里美・國方善博・小海滝久・小松純・ 重松あゆみ・杉山泰平・須浜智子・堤展子・西村充・長谷川直人・堀野利久・前田晶子・南野馨
作家略歴

頂いた日:2011年6月18日
場所:ギャラリー白3
 展覧会場で頂いた1冊。どうもありがとうございます。
最終日だったので、時間がなく慌ただしく見てしまった。粟田尚子さんの金魚の蛇口が気になった。







Recording Words 078 「へんな人」

2011-06-17 23:43:51 | ことば
 私はなぜか子供のころから雨が好きだった。特に音もなく静かに雨が降っていると、用もないのに雨の中を歩きたくなる。
「へんな人」
 学生のとき、ガールフレンドがよくそう言っていた。
「そう? 僕は将来、雨を降らせる仕事に就きたいと思ってるくらいなんだけど」
「えっ?」
「いや、仕事というか、人工降雨というものを、ちょっと研究したくて」
「人工降雨?」
 彼女は「まったく興味が持てない」という顔をして、それからしばらくどこか遠くの方を見るような目になった。

(吉田篤弘『つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)』筑摩書房、2005年、p.40)

私も子供のころから雨が好きだった。
そのおかげでいまは雨男である。

そんな「へんな人」が、
今日の雨を降らせているのかもしれない。

未読日記516 「庄司・晋作・友緒 濱田家三代展」

2011-06-16 23:02:16 | 書物
タイトル:濱田家開窯八十年記念 庄司・晋作・友緒 濱田家三代展
発行:JR大阪三越伊勢丹
制作:ニューカラー写真印刷株式会社
発行年:2011年6月
内容:
展覧会図録 A4変型 50p 
「濱田家開窯八十年記念 庄司・晋作・友緒 濱田家三代展」
2011年6月29日(水)~7月5日(火)
JR大阪三越伊勢丹 6階=美術画廊

ご挨拶
「益子「濱田窯」開窯八十年記念展に寄す」佐々木潤一(アサヒビール大山崎山荘美術館 学芸顧問)
「ご挨拶」濱田晋作
濱田庄司 略歴
図版
濱田晋作 略歴
図版
濱田友緒 略歴
図版

頂いた日:2011年6月15日
 JR大阪三越伊勢丹様より郵便で頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 会期前に図録がDM代わりに届くとは、さすが百貨店画廊である。冊子には価格表も添付されており、購入を検討してほしいということだろう。さっそく買うつもりで図版を見たところ、濱田庄司による『赤繪急須』がいいなと思い、価格を見たら38万円もした・・。

Recording Words 077 職場の基本

2011-06-15 23:48:47 | ことば
 どうも多くの人が思い違いをしているようだけれど、職場で思いどおりに事が運ぶような幸運なんて、確率でいえば千にひとつ、あるかどうかですよ。職場とは、どれだけ屈辱を飲み込むか、ということを試される場所です。〝すまじきものは宮仕え〟じゃないけれど、仕事場のつらさというのは、平安時代からいわれていたこと。「私らしく、楽しく仕事したい」という人が、いまは非常に多いけれど、自分の思いどおりに楽しく過ごせる時間なんて、それは趣味やレジャーの時間と同じで、お金を払わなきゃ手に入りませんよ。〝お金を払う〟という行為とはまったく逆で、〝お金をいただく〟わけだから、「自分らしく、思いどおりに過ごす楽しい時間」とは逆の時間を過ごすのが当たり前。つまり、つらくて、苦しく、やりたくないことを耐え忍んでやりとおすのが当たり前の世界。それが職場の基本なのです。
(美輪明宏『地獄を極楽にする方法』主婦と生活社、2003年、p.106)

 あまり「仕事」と思われていない表現活動や研究も仕事であって、すべてではないにしても「つらくて、苦しく、やりたくないことを耐え忍んで」やらなければならないこともある。やれやれ。

散歩のとき何か食べたくなったのだ35 汎洛

2011-06-14 23:26:41 | たべもの
購入日:2011年6月4日
商品名:あんフランス
購入店:汎洛
 散歩の途中、偶然見かけて入ったベーカリー。一見パン屋とは思えない和風な店舗で、パン屋とは気づかなかった。なお、名前は「汎洛」=「ぱんらく」と読むらしい。
 昼下がりのせいか、かなり売れていたが、いろいろ迷った末にあんフランスとクリームドーナツを購入(パンというのは、迷った時間の重さがまったく表れない名前なのが残念だ)。それにしても、迷うといつもあんパンを選んでいる気がする。
 「あんフランス」にはいろいろな形態があるが、フランスパンの生地にあんこが入ったあんパンである。平べったいかたちが多いが気がするが、汎洛のあんフランスは丸いかたちである。なかにはくるみも入っていて、あんこののどごしとくるみのコリコリ感がたまらない。
 余談だが、あんフランスの名前を聞くと私はいつもデュシャンのアンフラマンスを思い出す。アンフラマンスとは、「下の、下方の」を意味する接頭辞「infra-」と、「薄い」を意味する形容詞「mince」を組み合わせた造語で、「極薄」「超薄」などと訳される形容詞である。だとすると、あんフラ(マ)ンスは、極薄のパン生地のなかにあんこが包まれたパンか。あるいは、三次元の物体としてのパンから味覚という四次元のパサージュを味わう食経験か。

Recording Words 076 あきらめる

2011-06-13 23:22:54 | ことば
 多くの人が文章に表現するプロセスで難渋して、時間がかかる。無理もないとは思う。しかし、思い切らないと文章、とくに長い文章はかけない。思い切るとは、結局のところあきらめることである。この程度でまあしようがないか、と自分にあきらめさせるのである。(中略)あきらめるべきかどうかを考えるのではなく、むしろ「より健全なあきらめ方」とはどのようなものかを考えた方がいい。
(伊丹敬之『創造的論文の書き方』有斐閣、2001年、p.194)

この程度しかできないのだから、まあしようがない。

未読日記515 「不東庵 創作の軌跡」

2011-06-12 23:40:04 | 書物
タイトル:不東庵 創作の軌跡 細川護熙展
写真撮影:藤森武
翻訳:小川カミーユ(和文仏訳)、マーサ・マクリントク(和文英訳)、ルース・マクレリー(和文英訳)、小川隆久(仏文和訳)
デザイン/制作:株式会社美術出版社、河野素子、川野直樹
印刷:光村印刷株式会社
発行:細川護熙展実行委員会、株式会社不東
発行日:2010年6月
内容:
展覧会カタログ
2010年6月2日~6月14日 日本橋三越本店 新館7階ギャラリー
2010年8月12日~8月17日 仙台三越 7階催物会場
2010年9月7日~9月12日 福岡三越 9階三越ギャラリー
2010年9月21日~9月27日 札幌三越 10階特別会場
A4変型、172p

細川家の歴史
「森の宰相」三宅一生
"Le Premier Ministre qui regne sur la foret" MIYAKE Issey

楽の世界
陶仏―野に遊ぶ―
やきものいろいろ
「不東庵・一夜亭」藤森照信
"L'atelier Futoan et le pavillon Ichiyatei" FUJIMORI Terunobu
書のたのしみ
竹と漆

やきもの技法解説
Techniques ceramiques
カタログ―作家による作品解説

「細川護熙展」パリ展報告|L'Exposition HOSOKAWA Morihiro de Paris
ALONG THE RIVER

頂いた日:2011年5月31日
場所:JR大阪三越伊勢丹 10階催物場
 JR大阪三越伊勢丹10階催物場で開催された〈不東庵10年の歩み 細川護熙 美の軌跡展〉の内覧会で頂いた1冊。どうもありがとうございます。
 ただの作品集と思いきや、カタログの執筆陣が豪華で驚く。さすが、総理大臣経験者か。また、藤森照信氏が工房と茶室を手がけているとは知らなかった。メゾンエルメスで展覧会が開催されたのもうなずける。


Recording Words 075 ただ1枚の絵の前に立つ

2011-06-11 23:14:53 | ことば
 (美術作品を)見に行ったからって、「よく来たね」って、誰かが褒めてくれるわけじゃない。でも、ただ1枚の絵の前に立つ自分がいるだけ。ただ、それだけなんです。でも、それこそがかけがえのない人生の時間であって、たぶん、その経験の積み重ねが人間をつくっていくんですよね。
(南嶌宏[熊本市現代美術館館長]、山口裕美、『芸術(アート)のグランドデザイン』、弘文堂、2006年、p.158)

 たぶん、わたしという人間は、そういう絵(作品)の前に立った「人生の時間」でできている。


散歩のとき何か食べたくなったのだ34 カドー

2011-06-10 23:54:55 | たべもの
購入日:2011年5月28日
品名:ゴールデン・ロールパン
購入店:欧風パン カドー
 滋賀・MIHO MUSEUMに〈長沢芦雪展〉を見に行った帰り、石山駅の近くにあるベーカリーで小腹が空いて立ちよった1店(なお、品名は正確ではないかもしれない。もし間違っていたらごめんなさい)。古くからある佇まいが昭和を感じさせるが、店内には想像以上にパンの種類が豊富だ。迷った末、あんドーナツとロールパンを購入。どうでもいいが、疲れた時はあんパンという思い込みがぬけず、いつも疲労を感じるとあんぱんを齧りたくなる(念のため補足しておくと、アンパンマンのファンというわけではない)。
 翌朝、ロールパンをトーストして食してみると、こんなおいしかったっけ、というぐらい素朴な味でおいしかった。市販のロールパンを見ると、小さくふわふわしているだけで食べ応えがない感じをいつも持っていたが、カドーのロールパンは見かけ以上に食べ応えがあり、おなかもいっぱいになった。ごちそうさまでした。