A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 340 捨てる

2016-08-09 23:50:36 | ことば
 余計なものを捨てても捨てたことにはならない。前へ進むためには、大切なものを捨てなければならないのだ。捨てるという行為のなかに、本人にしかわからない悲しみがあり、辛さがあり、訣別がある。捨てることは、すべて何らかの人間的な痛みを伴う。痛みがあるものを捨てることを、捨てるという。自分の都合で、その時たまたま捨てたかったものを捨てて、代償を払ったつもりになったりするのは人間の持つ弱さからと思える。痛みを伴わなければ捨ててはいない。この行為の繰り返しを私は涙と呼ぶ。そして、このことによって人は育まれ、深みを増していく。
執行草舟『生くる』講談社、2010年、391頁。

いまだに「捨てる」ことの痛み、辛さ、涙に慣れない。