A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1213 『形の生命』

2016-08-08 23:52:22 | 書物
タイトル:改訳 形の生命 (平凡社ライブラリー)
タイトル別名:Vie des formes : suivie de l'eloge de la main
シリーズ名:平凡社ライブラリー, 663
著者:アンリ・フォシヨン
訳者:杉本秀太郎
装幀:中垣信夫
発行:東京 : 平凡社
発行日:2009.2
形態:280p, 図版 [24] p ; 16cm
注記:岩波書店より1969年1月に刊行されたものの改訳新版
   原著第4版 (Paris : Presses universitaires de France, 1955) の全訳
内容:
わたしにとって「形の生命」はひとりの活きのいい美学美術史研究者の手になる文芸の書である。学問をけっして裏切ることのない文芸の書。学問と肩を並べ、互いに手に手を取って道を歩く文芸が道のうえに落していった身分証。併せ収められた「手に捧げる」は、これをいっそう鮮明に示している。(「訳者あとがき」より)

目次

第1章 形の世界
第2章 空間
第3章 素材
第4章 頭脳
第5章 時間
手に捧げる
訳注
岩波書店版 訳者あとがき
平凡社ライブラリー版 訳者あとがき
『形の生命』概要
人名・地名索引

購入日:2016年8月8日
購入店:丸善 京都本店
購入理由:
 嶋春香展(2016年8月2日〜8月14日、Gallery PARC)の参考文献として購入。嶋は一貫して「筆致」に関心があり、作品の構成要素としてきた。そこで思い出したのが、京都市美術館で1992年に開催された「筆あとの誘惑 モネ、栖鳳から現代まで」の図録であった。あらためて図録の中谷至宏氏のテキストを読んだところ、本書の「タッチ」にまつわる一文が引用されており、それがすばらしかった。これは参考になると直感し、調べたら近所の図書館にあることがわかり、借りに行き内容を確認。翌日の仕事帰りに書店で購入した。読み始めて、杉本秀太郎氏の秀麗な翻訳がすばらしい。単語の選択が、絵画における筆致(タッチ)に相当するような美しい言葉選びで、こちらの心をタッチする。文芸書と言うのもうなずける。久しぶりに読み終わりたくない本と出会った。