何か災難が迫ったときには、起こりうる最悪の事態はどんなものであるか、真剣に慎重に考えてみるがいい。この起こりうる災難を直視したあとは、これは結局、それほど恐ろしい災難ではあるまい、と考えるに足りるしっかりした理由を見つけることだ。そういう理由は、いつでも存在している。なぜなら、最悪の場合でも、人間に起こることは、何ひとつ宇宙的な重要性を持つものはないからである。いっとき、最悪の可能性をじっくり見すえ、真の確信をもって、「いや、結局、あれはそう大したことにはなるまい」とわれとわが身に言いきかせたとき、あなたは自分の心配がまったく驚くほど減っていることに気づくだろう。この過程を二、三度くりかえす必要があるかもしれない。しかし、もしも、あなたが何事も回避しないで、最悪の事態を直視したならば、最後には、自分の悩みごとがすっかり消えて、そのかわりに、一種うきうきした気分が生まれていることを発見するだろう。
ラッセル『ラッセル幸福論 (岩波文庫)』安藤貞雄訳、岩波書店(岩波文庫)、1991年、84頁.
そう、私に起こることで宇宙的な重要性を持つものなんかない。
ラッセル『ラッセル幸福論 (岩波文庫)』安藤貞雄訳、岩波書店(岩波文庫)、1991年、84頁.
そう、私に起こることで宇宙的な重要性を持つものなんかない。