A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1180 『「うつすこと」と「見ること」』

2016-05-02 22:03:53 | 書物
タイトル:「うつすこと」と「見ること」 : 意識拡大装置
別書名:Visualization : in the end of the twentieth century
編集:埼玉県立近代美術館、梅津元、大久保静雄
デザイン:レ・スール・パパン
翻訳:松谷誠子、スタン・アンダソン、大住遥
発行 : [さいたま] : 埼玉県立近代美術館
発行日:c1994
形態:199p ; 23cm
注記:展覧会カタログ
   会期・会場: 1994.8.12-9.25:埼玉県立近代美術館
   おもに図版
   英文併記
内容:
あいさつ
謝辞

「序論」梅津元
「視覚メディア装置の変容 写真の誕生から現在まで」伊藤俊治
「純粋な像」松浦寿夫
「なぜ<雲>が選ばれたのか エコロジカル・リアリズムの立場」佐々木正人

プロローグ
第1部 知覚の変容:雲の流れに
第2部 像の出現:粒子とかたち
第3部 存在の刻印:奪われた影
第4部 時の軌跡:光源へ
第5部 記憶の連鎖:眼を閉じて
ミュージアムシアター
エピローグ

索引
写真提供

購入日:2016年5月2日
購入店:日本の古本屋
購入理由:
 gallery αMで開催された「トランス/リアル―非実体的美術の可能性 vol.1 越野潤」を見に行った際、企画者・梅津元氏の選書コーナーで知った。20世紀の視覚メディア装置を媒介とした表現の変遷を追った内容がとてもおもしろく興味が湧いた。また、私が企画した「High-Light Scene」展の参考文献としても活用できると思い、さっそく埼玉近美のミュージアムショップを探したら、品切れで在庫がなく、古本屋で探して購入。
 本書・本展のテーマは「うつすこと」と「見ること」で、出品作品の多くも写真だが、絵画、版画も出品されている。おもしろいのは、ほとんどの図版がモノクロのため、絵画が写真的に見えてしまうのである。
 テキストで刺激的だったのは、松浦寿夫氏の論考で近代絵画における再現性と物質性の問題に言及しており、「ハイライト」を考える上でとても参考になった。94年の展覧会だが、メディア環境が激変した今、企画内容は古くなるどころか、より「うつすこと」と「見ること」の問題を考えさせる。