A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記123 「忘却録」

2007-10-30 23:24:01 | 書物
タイトル:忘却録
著者:浜田涼
発行:富士ゼロックス株式会社アート・バイ・ゼロックス
発行日:2007年7月26日
内容:
2007年7月26日-8月15日に東京・六本木のアート・バイ・ゼロックス ギャラリーにおいて開催された<浜田涼「忘却録」>展のカタログ。

テキスト「イラつく写真」村田真(美術ジャーナリスト)
作品図版21点、作家略歴収録。すべて英文あり。

浜田涼web site http://www.hamadaryo.com/

入手日:2007年10月24日
作家の方より郵便で頂いたもの。
浜田涼の作品は焦点の合わないピンボケした写真をメディウムやフィルム、アクリル板で覆いをかける手法で制作されている。ソフトフォーカス系の作品を制作する作家はかなりいるので浜田涼の仕事も一見そのような流れに組み込まれてしまうかもしれない。
しかし、ブレた写真にさらにフィルムやアクリルで覆いをかけることで、ブレた写真が発するイメージをさらに消し去ろうとする仕掛けは浜田涼の作品ぐらいしか私は知らない。

今回の展示では、フィルムによって覆われた「landscape」「sensibilia」シリーズの展示が特に印象的だ。図版を見るとわかりやすいが、壁から作品が現れているような、いや、消え去ろうとしているような展示なのだ。写真の撮り方もあるのだろうがこの消えていくような残像感はなぜか恐怖感よりやわらかさ、あたたかさがあり不思議な感覚に襲われる。
フィルムを覆いとして使用した作品は、非常に繊細な展示のために多々難しい点もあるのだが、会場全体が光で覆われた環境で作品を見てみたいと夢想する。作品は焦点の合わないレンズを通し、その写真は不透明なフィルムやメディウム、アクリル板で覆われ、さらにそれを見る観客と作品を光が包み込む。そのとき、わたしが見るのは忘却の彼方にあった「写真」なのかもしれない。


浜田涼 展覧会情報

寿限無2007展-DocuART-
2007年11月3日(土・祝)-11月24日(土)
アート・バイ・ゼロックスギャラリー

ブック・アンデパンダン
2007年11月23日(金・祝)-12月24日(月・祝)
芦屋市美術博物館