A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記112 「杉全 直展」

2007-10-11 22:13:34 | 書物
タイトル:杉全 直展
編集:財団法人品川文化振興事業団 O美術館
   天野一夫
発行:財団法人品川文化振興事業団 O美術館
発行日:1987年7月29日
内容:
1987年7月29日-8月30日姫路市立美術館、1987年9月11日-10月7日財団法人品川文化振興事業団 O美術館にて開催された「杉全 直展」の展覧会カタログ。

収録テキスト
「ごあいさつ」杉全直
「杉全君の事」福沢一郎
「二人の飯田先生」杉全直
「幻想から虚構へ、そしてさらに幻影へ」峯村敏明
「杉全氏に聞く」聞き手・O美術館学芸員 天野一夫
「杉全直・ことば」

入手日:2007年9月29日
入手場所:多摩美術大学八王子キャンパス芸術学科棟
峯村敏明氏のテキストが収録されていたため手に取った一冊。峯村氏のテキストは書籍としては現在1冊しか刊行されていないため、展覧会カタログ、雑誌などに掲載されたものはなるべく買うようにしている。この杉全直は、1989年に峯村氏が企画した展覧会にも出品していたりする。
さて、杉全直である。初期のダリを思わせる地平線上のシュルレアリスム絵画を抜けると、その展開になにかメンソールやミント系のもつ清涼感のようなものを感じてしまう。それは「きっこう」から始まり六角形へと展開していく、形態の変態と呼べるような流れが、まさに流れるように「浮動」(1984)へと至り、その過程は鼻の奥の方でツーンとした刺戟を与えるようなメンソール感覚だからだ。なにか意味のわからない表現だが、つまり私はこのような清清しい図録を手に入れることができてよかったと思っているのだ。