京恋し

頑張った時のご褒美は京都。ずっと憧れ。

馬酔木(あしび or あせび)

2006-02-22 23:15:24 | 季節のことば
馬酔木の花が咲き始めました

         

磯(いそ)の上に生(お)ふる馬酔木を手折(たお)らめど
         見すべき君がありと言はなくに
           万葉集・大伯皇女(おおくのひめみこ)

磯は岩、上はほとりとかそばという意味。
見すべき君とは、たった一人の肉親である、恋人にも等しい
弟・大津皇子(おおつのみこ)のこと。
岩のそばに生えている馬酔木の花を折ってみたけれど、
見せたい弟はもうこの世にはいない。

大伯皇女と大津皇子の姉弟のお父さんは天武天皇、お母さんは
大田皇女といい、天武の兄である天智天皇の娘。
この時代の婚姻関係は複雑。皇位継承と政権をめぐって
戦いが繰り返されていました。
大津皇子は文武にすぐれたできる男だったようで、
そのために謀反の罪を着せられて、処刑されたのでした。

弟の運命を察していながらどう助けることも出来なかった
姉の想いはどんなだったでしょう。
うな垂れて咲く清らかな馬酔木に、哀しみを抱き続けた大伯皇女の
面影が重なります

 

万葉集4516首のなかで、大好きな歌マイベスト10に入る、
大伯皇女の馬酔木の歌なのです。


         

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2 コメント

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むくさんへ ()
2006-02-25 01:27:57
馬酔木は地味な花ですけど、よく見ると

小さな小さなベルがかんざしのように下がって、

かわいいですよ。



楽しみなんて言ってくださると、張り切ってしまいます。また万葉の歌も拾います
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珍しい花 (むく)
2006-02-24 01:06:58
ちょっとご無沙汰してましたらこんな珍しいお花がさいたのですねぇ。古のお話もすてきです。このお花にぴったりの物語ですね。京さんは本当にたくさんの万葉集の歌をご存じですね。またまた楽しみです。馬酔木なんて漢字もいいですねぇ。
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