The Bad Sister

あたしは、ヴィッキーやセアといっしょのバスには乗らないで、歩いて街をぬけ墓地まで行った。なぜだかわからない。
たぶんあたしはアンジェラ姉さんに話がしたいんだ。そこでもまだ姉さんを責めて、墓石をたたく。 「ごめんなさい」と小さな声でつぶやいて手を伸ばしてお姉さんの手をにぎる。でも、その手はこぶしがにぎられたままだ。あたしと手をつなぎたくないのだ。悪い妹だから。
家に帰るのがとても遅くなる。ママは青白い顔をして窓辺にいる。パパに電話してたから、パパは職場から急いで帰って来てた。
「どこに行ってたの」って、ママが涙を流しながら聞く。
「どうして心配させるようなことをするんだ」とパパも言うの。
ママは、あたしが10分遅れて帰るのも待てない、また事故が起こったのではないかとすごく心配する。
「ごめん、ごめん、本当にごめん」とあたしは続けざまに謝る。 「だから、お墓に行ってたの、悪い？」
「なんてやさしいの」とママが言って、あたしを抱きしめる。でも、パパも何だかおどおどしている。
　あたしは、かつてないくらい申し訳なく思う。ママとパパは、あたしが死んだお姉さんにあまりにもこだわりすぎると考えている。二人は、あたしが時々お姉さんに、がまんできないことを知らない。
「お茶にしましょ」ママが言う。
「ベッキーの結婚式はどうするの」
「行く必要はないさ、事情を説明する手紙を書くよ、そしてあの子に何かすてきなプレゼントを送ろう」とパパが言う。
「でも、行くべきじゃないかしら、私がちょっと・・・自分勝手だったと思うわ」ママが言う。「私たちはベッキーの幸せを祝福すべきだわ。アンジェラ、あのアンジェラだって、行きたかったはずだわ、そうじゃないかしら、考えてみればあなたのいうとおりよ、そう考えているアンジェラがここにいるわよ、私たちのアンジェラが」
「でも、あたしは行きたくないって言ったのよ」
あたしが何と言おうと重要ではない。あたしたちは行く。そしてそれはそういうこだ。パパはおばさんに電話し、ママは出席の返事を書く。パパは、クリスタル製のデカンタとグラスを結婚祝いとして買う。ママは新しい服を選ぶ、黒ぶちの入った青色のドレスだ。