魔人の鉞

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眼からウロコ 「信仰する本能」 がある!!

2014-01-18 20:26:43 | 宗教

ジェシー・ベーリングの 「人はなぜ神を信じるか~信仰する本能」 'The Believe Instinct'
(2012、鈴木光太郎訳) を眼からウロコの思いであっという間に読み終えました。

ヒトの脳は、進化の上で獲得された 「目的・機能論的推理」 つまり、ヒトに限らず自然物や
人工物、出来事までも、すべてが何らかの目的のために存在している、という推理が働くよう
に出来ている、というのです。
これはまだ宗教的な教育を受けていない幼い子供たちにも十分認められる傾向だそうです。
それで、生物の精妙な形や機能が神の創造として理解される。いろいろな偶然の出来事が
神の啓示や警告として意味づけられる。(宇宙がヒトの発生に都合がいいようにチューニング
されているという、人間原理もそのひとつでしょう。)

宗教はそうした 「目的・機能論的推理」 であふれています。神は、ヒトのこの心理的バイアス
の創造物である、ということです。だから誰でも神がいるように感じることは不思議ではなく、
いかに科学が進歩しても簡単に神への信仰は簡単にはなくならない。
すべてを見ている神、という概念もそれですが、これは一般的にはヒトに不道徳や反社会的な
行動を抑制する働きがある、としています。

またヒトは、他者が自分をどう見ているか、ということを推理する能力が備わっており、それは
チンパンジーなど他の動物種にはない 「心の論理」 と呼ばれるもので、人類の根本的特質の
一つといえるそうです。
日本人は他人ばかり気にするもと言われますが、進化論的に決して間違ってはいないことに
なります。

ほかにも霊魂の不死など興味深い話がいっぱいです。それもヒトが獲得した遺伝的な心理
傾向で説明されます。

全知全能でありながら残虐な戦争や不義不正を防止しない矛盾した創造神への絶対服従、と
いう理解不能な信仰の元は、ヒトが獲得した心理的な遺伝形質によるのであれば、たんに迷信
とばかりは片付けられません。
しかし迷妄はいつしか覚めるでしょう。たぶん1万年後くらいには・・・

コメント
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