飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

研究協議の視点

2023年10月29日 12時05分10秒 | 授業論
研究授業が行われると事後研究という時間が必ずもたれる。
昔だと、司会者と授業者が前に座り、まず、授業者の反省の弁が述べられる。
ここで反省点ならまだいいのだが、うまくいかなかったことの言い訳に終始する場合もある。
しかも、「今日は子どもたちも緊張していて……」などという教師もいるが、この発言は問題外だ。
授業は結果は、すべての責任は授業者が負うのである。
その覚悟なしに授業を行うことはあり得ない。

授業者が反省は述べた後は参観者が思い思いに意見を言う。
研究授業なのだから、当然良い点悪い点がある。
にも関わらず、褒めることに終始することが多い。
褒めることもいいことだが、どうでもいいことを褒める人がいる。
要するに子どもの事実に基づかない抽象論だけを言う。
「子どもたちが生き生きと活動していた」
「子どもたちの表情がやさしい」
沿う感じたのだから感想としてはいいが、研究であるという視点が欠けている。
人の授業を批評するということは、自分の教師としての力量を見られているという厳しさがない。
ありきたりの表面的なことしか見えない教師は、物事を表面的にしかみることができない力量であることを自ら宣言しているのと同じである。
だから、その教師がどう授業をみているのかを私は注意深くみていくことになる。

「主体的対話的で深い学び」がメインとなっている現在、授業をこの観点からみたときに具体的にどこを見ていけばいいのか。

主体的な学び

学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性をとし関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。
①興味や関心を高められているか
②粘り強く取り組んでいるか
③見通しをもって取り組んでいるか
④振り返って次につなげているか
⑤自分と結びつけられているか

対話的な学び

子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手がかりに考えることを通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。
①互いの考えを比較しているか
②多様な情報を収集しているか
③思考を表現に置き換えているか
④多様な手段で説明しているか
⑤先哲の考えを手がかりとしているか
⑥ともに考え創り上げているか
⑦協働して課題解決に向かっているか

深い学び
習得・活用・探求という学びの過程の中で、各教科の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見出して解決策を考えたり、思いや考えをもとに創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているか。
①思考して問い続けいるか
②知識・技能を習得しているか
③知識。技能を活用しているか
④自分の思いや考えを結びつけているか
⑤知識や技能を概念化しているか
⑥自分の考えを形成しているか
⑦新たなものを創り上げているか

このような視点を参観者全員が明確に持ち、具体的な子どもたちの事実と照らし合わせて目標が達成できていたかを検討するのが研究協議会の視点である。

saitani