三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【100歳まで描き続けた日本画家・奥村土牛】

2019年02月07日 06時37分19秒 | Weblog
札幌から東京に出張してきたのですが、帰ってきたのは仙台。
東京でメシをいっしょに食った坊主に
「これからどこ行くの?」と問われてつい、
「仙台に帰るよ」と言ってしまっていました(笑)。

今回の出張はきのう触れた東北大学の「スマートエイジング」セミナーが
主目的でしたが、たまたま見た絵画展でも偶然「高齢化」がテーマ。
わたしは大体、日本画のほうにどんどん惹かれてきている人間で、
東京広尾にある「山種美術館」が定番鑑賞箇所。
そこでいま展示されているのが「奥村土牛」さんの作品展。
写真は、その展示の中で「写真撮影しても良いですよ」というプレゼントの
「吉野」であります。
日本画家らしく、日本を描くことに終生を費やした画家ということが
展示から明瞭に浮かび上がってくる。
日本画というのは床に置いて描くので西洋画のようにカンバスがない。
なので、まさに体力消耗が激しいと言われます。であるのに
この作品を描いたのは、画家88歳のときだというのです。
こういう偶然というのはあるのだろうか、と不思議な気分。
スマートエイジングのセミナーの方でも、
人生100年時代をどのようにビジネス的にとらえ直すべきか、
という大きなテーマを与えられたわけですが、
もっと「感覚的に」すっぱりと見せてくれる芸術でそのテーマを
わかりやすく感受性に訴えかけられてしまった。
どうもなにかの機縁が働いているのかも知れないと妄想が膨らんだ(笑)。

この土牛さんという方は、写真で見るとまさに名にふさわしい風貌。
絵は人格を表現している、というのが日本画コレクションに注力した
山種美術館創設者・山崎種二さんの持論だったそうですが、
この土牛さんは山崎さんと下積み時代以来の交友だったそうです。
まさに土牛というような真正直な画風が汲み取れる。
とくにかれは「写生」に徹底的にこだわっていたとされる。
この日本のさくらの名所、吉野を描くに当たって
画家は桜の季節以外の季節にも足を運んで写生を繰り返したと。
描かれた絵柄はもちろん桜が主役として描かれているけれど、
それ以外の季節への写生が、この絵を成立させているというのは
絵が端正なだけにさらに強くつたわってくるものがある。
そういう絵への姿勢を88歳になってもどんどん追究したという。
画家66歳の時の作品へのコトバとして、
「ようやく、描く自由を得た」というようなものがあったけれど、
高齢化というテーマにとって、刺激的な姿勢だと思われました。
コメント
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