三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

築108年の函館香雪園温室・管理人棟

2016年04月20日 06時26分54秒 | Weblog


先日ご紹介した「貴婦人の気品 1908年築 函館・香雪園 温室」に
付帯する管理人棟の様子であります。
どうも、この端正なフォルムにこころ動かされる思い。
貴婦人、と書きましたが、やはり外見的な部分で
多くの人を魅了して止まないのではないかと思われます。
それは、窓の開口のさせ方とか、屋根の掛け方、
外壁の表情、外貌の凹凸陰影感などの印象すべてが与っている。
その上、内部空間では2階の居室が、なんともいい。
端正に開口された窓、ガラスを嵌め込む木枠にも
細かい部分できちんとデザインされている。
単なる管理人のための空間と言うよりも、
それ自体も庭園環境の中でもっとも美麗なワンピースとして考えられている。
それにしても、この温室といい、板倉の建物といい、
用の建築でありながら、デザインがそれぞれにバラバラでありながら、
ある統一的な雰囲気を構成している。
フランス風のデザインと、和の数寄屋風や無骨な板倉建築たちが、
美しい庭園の中でハーモニーを奏でている。
適度の距離感と、その間に考えられた植栽があれば、
こんなふうな統一感を生み出すことができるのですね。
ただ、それは、ひとつひとつがまっとうな姿勢で建てられている、
個別の魅力がすばらしい、という条件から成立している。



庭仕事を終わったあとには、
作業者のためのお風呂も装置されています。
このお風呂にしても、2面採光が取られていて、
作業者のために、自分の仕事ぶりを再確認させる用も果たしている。
上の写真の居室からの眺望なども、
園庭デザインの仕事従事者に対して、
その美的センスをもっともよく働かせたいというような意図を感じます。
環境を作り出す営為のために、こういった配慮がされている。
なかなか、ニクい建築だと思わざるを得ませんでした。
そろそろ花も楽しめる季節になって、
もう一度、訪れてみたいと思い始めております。






コメント
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