三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

固定資産税の深い闇

2015年06月03日 05時41分12秒 | Weblog
きのう、「中古住宅、減価償却と固定資産税」についてと題して書いてみたのですが、
いや、こんなに「固定資産税」の闇が深いとは思いませんでした。
住宅建築の情報の仕事をしていて、
そして自分自身でも自宅や事務所で土地も建物も持っていて、
その税金も払い続けていて、しかし、ほとんどその知識がないことを思い知らされました。
ただ、このことについて知り尽くしているひとも、なかなかいないようです。
そもそも「固定資産税」というものはどういうものか。
Wikipediaの表記を見て以下、要旨を抜き書きしてみます。

●課税対象は土地・家屋・有形償却資産である。
●納税義務者は賦課期日に資産を所有する者、具体的には固定資産課税台帳に
所有者として登録されている者である。登記の有無は関係ない。
●税額の算出
税額は、課税標準に税率を乗じる事により算出する。税率は
都道府県及び各市町村が設定することが可能で、標準税率は1.4%である。
●固定資産税(家屋)の評価は、「再建築価格」という理論上の建築価格を
算出することで行われる。具体的には家屋の構成部分(主体構造・基礎・屋根・
外装・内装・建築設備)毎に評価基準に記載される材質ごとの単価表で
単価と数量を計算しその総計を家屋の単価とする。
材質については現地調査および建築図面に基づいて判定される。
この再建築価額に1年分の経年減価率(固定資産税が初めて課税されるのは
建築年の翌年からであるため、実務上は一年分減価償却した後の価格を計算して
最初の評価額とする)等を乗じて評価額とする。

・・・う~む、まことに奥が深く、闇は濃いようであります。
地方公共団体が課税するものであること。
金融庁は、木造で減価償却が22年で無価値と決めて、
それを受けて不動産業界の「慣習」では事実上、土地にしか価値はない
「上物はタダ」という現実があるのに、一方で
「再建築価格」というモノサシを持ち出して、既存建物の「価値」を測っている。
その考えに基づいて、税額が「決定」されている。
価値がないと公共が認定しているものに対して、違う尺度で
「いや、価値はあるんですよ、だから税を払え」と言っていると解釈できる。
・・・・まことによく見えにくい構造になっている。
いや、むしろ見えにくくしているのが現実であるように思われます。
わたしどもの投稿に対して不動産の専門家から寄せられるコメントでも、
固定資産税は「ブラックボックス」と名付けられていました。
コメントでも書きましたが、世界的な宇宙物理学の天才・ホーキンス博士も
こと税金については、死ぬまで理解出来なかったと言われています。
そうではありますが、
しかし、無価値であると市場誘導している架空に等しい住宅資産に対して
税を払い続けさせているのは、どうも納得しがたい。
地方での公共サービスの対価であるという側面は理解出来るけれど・・・。
民主主義であっても、権力には恣意性の部分が強く存在している、
税金は、国家制度そのものを映し出す鏡、そもそも「合理性」にはなじまない。
というようなことを明瞭に証し立てている事柄かも知れません。

コメント
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