三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

札幌の建築家住宅のルーツ

2007年06月18日 05時37分25秒 | 住宅取材&ウラ話


写真は、コーヒー店として移築保存使用されている旧小熊邸。
札幌の創成期の建築家として知られる
故・田上義也氏の代表的な個人住宅です。
何回か、リプラン誌面でも取り上げてきていますが、一応、その紹介。
以下、リプラン誌面より<
この建物は古くから札幌に残る歴史的建造物で「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選定されている「旧小熊邸」です。老朽化のため解体消失が危惧されていましたが保存運動により、平成10年秋、藻岩山ロープウェイ乗り場近くに建築当初の姿で復原移築され、喫茶店「ろいず珈琲館」として甦りました。
この建物は昭和2年、札幌市中央区南1条西20丁目(当時は円山村だった)に、北海道帝国大学農学部小熊桿(元北海道大学理学部学部長)博士の自宅として、建築家・田上義也氏(故人)の設計により建てられました。設計者である田上義也氏の初期の頃の作品で、氏はアメリカ建築界の巨匠、建築家フランク・ロイド・ライト(日本での代表作品に「東京帝国ホテル」がある)に師事しその影響を受け、平面構成や深く張り出した軒先、サッシの幾何学的な割付など印象的な作風で、北海道の近代建築の草創期を代表する建築家です。

 構造には、ツーバイフォー工法の基本となったバルーンフレーム構造を一部に採用(復原では全面的にツーバイフォー工法が使用された)。外観では、田上氏の作品に共通する屋根の破風妻面を途中で切ったような破れ破風、外壁の腰部分は横羽目板張りとし、低く抑えられた階高、張り出した軒先、軒先に上端を揃えた窓など、水平性を強調。また、応接間として使われた部屋の亀甲型の大窓は印象的です。内部では、長押や斜めに走る押し縁、幾何学的な照明器具、造り付けの長椅子や菱形小窓、各所にくみこまれた窓飾りなど、インテリアもとても印象的です。

田上義也 プロフィール
1899年 栃木県生まれ
1913年 青山学院中等科入学
1915年 早稲田工手学校(夜間)入学
1916年 早稲田工手学校卒業
1918年 帝国ホテル現場事務所勤務。 アメリカの建築家、フランク・ロイド・ライトの数少ない日本人弟子のひとりとなる。
1923年 北海道へ渡る。
以来、建築のプロフェッションを強く意識し設計活動を行った、北海道近代史上におけるフリーアーキテクト(自営建築家)の先駆者の一人。

というようなことなのですが、先日、久しぶりに行ってきました。
こういう建築物が、一般的に利用可能なかたちで保存利用されているのは
すばらしいことなのではないかと思いますね。
いっとき、時間を忘れて北海道の建築の歴史を想起することができます。
みなさん、ぜひ、一度利用されてみてください。

コメント
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