写真左は、先日撮影してきた沖縄離島の竹の家。
床下を少し上げてあって、そこも通気するように工夫され、
床は竹を格子状に組み上げて造作してあります。
壁は、横に太めの竹を通していて、それにからめるように
細い竹を編み上げるような感じで作ってあります。
屋根は茅で葺いてあります。
茅にはストロー状に中空部分がありますが、
そこに雨期の水分が保水され、日射熱が照射すると
気化熱が発生して、建物内部から熱を奪っていくと思います。
そうすると、内外で温度差が発生して
外から、竹の壁に向かって風が吹き込んでくる、と。
内部にいると、壁の竹の隙間から薫風が感じられるでしょう。
床下も、同様に通気の風が入り込んできて
居ながらにして、ここちよいエアコン通気が計られるのでしょうね。
実際に初夏の沖縄の空気の中で、このように体感しました。
北方型の北海道のような「断熱気密」ではない
「住宅性能」というものがあるのだ、と実感した次第。
写真右側は、昨年この時期に行った
「愛・地球博」の長久手日本館の竹による被覆のようす。
この建物では、木造の本体をこの竹の被覆がおおって
本体への日射をやわらげ、同時に本体屋根には「打ち水」による
温度低下を計っていました。
そこで「温度差」が生み出されて、竹を介して風が発生していたと思います。
「愛・地球博」というテーマから
エコロジー・省エネルギーが考えられているものでしたが
南方型の、夏場の冷房・涼房の工夫でした。
こういう考えの基本的なものは、実は上で見たような
沖縄の伝統的家屋の知恵が現代的に再生されているものだったようです。
冬場の暖房負荷の低減、という北方型の住宅性能向上技術というのは
わたしたちには近しいことがらで
「愛・地球博」でも、スウェーデンの「無暖房住宅」が
省エネルギー賞を受賞していましたが
北方型の住宅技術は、まさに生存を賭けた実用から発生した技術。
一方で、夏場の冷房負荷の削減技術も、追求されるべきもの。
「愛・地球博」では、大きな政府の予算も付いて
研究開発されたのですから、なにがしかの成果がそろそろ
実用技術として出てきて欲しいものだと思います。 さて、どうなんでしょうか?