国連安保理事会決議の動きが流動的なようだ。
こういう外交をうまくやるということについては
日本はあまり経験値も積んでいないし、似合いもしない。
また国連での結果については、勝利も敗北というものもないだろうと思う。
結果としては今回の外交交渉で
対北朝鮮への日本の強硬な姿勢は、そのままでは
国際的なコンセンサスには至らなかったということだ。
ただし、日本全体として、総意として今回の強硬路線に取り組んだともいえない。
結局日本も含め、どこの国もすべて譲歩しての結論になるだろうと思われる。
中国・ロシアにとっても、譲れない権益が
北朝鮮にはあるだろうなかで、とにかくも「非難決議」の方向になったことは
そういった意味でも、ほどよい結論が得られた、ということかもしれない。
今後の日本の外交の基軸として、
どういったスタンスが必要になるのか、いわゆる「国家戦略」論議が必要だけれど、
キーワードは対中国の関係。
歴史的にこのことは、日本という国の誕生以来、繰り返されてきたともいえる。
司馬遼太郎さんは「本来中国は、いまのヨーロッパのように多くの国家に分かれて存在すべき地域だ」
と分析していました。
ちょうど写真の地図でみれば、ヨーロッパがひとつの国になったようなのが
中国という国だという考えです。
そして、中華思想という、他国から見ればきわめて専横的な考えを
歴史的に奉じている国なんですね。
歴史の中では、中国に強大な権力が生まれることで
そもそもその影響から、日本という地域に国家らしきものが形成されたともいえる。
文化の側面では、言葉自体もわれわれは輸入してきたし、
国家という概念自体すら、輸入してきたといえる。
そういう長い歴史時間があって、欧米に支配された近代の歴史が
直近にあり、その時代には日本も欧米列強と同様な
利権争奪の対象として、中国を侵略したという事実があるわけです。
そして、中国革命という政治的な立ち直りから、経済の現代化プロセスを経て
こんにちの中国という存在が浮かび上がってきているのがいまの現実。
歴史的にも、日本は常に中国を意識せざるを得なかった。
ただ、東西冷戦までは、対米従属だけをやっていればよかったので
直近の現代史では、比較的に中国の存在は小さかったとはいえる。
しかし、こうした歴史的な流れも把握しながら、
いまの時代では、ふたたび対中国の国家スタンスを
定めざるを得なくなってきているのですね。
地図を見ていると、EU統合の中でのイギリスのスタンスって、考えてみれば
日本と似たような部分があるとも考えられます。
さてさて、巨大な隣人国家というのは、付き合いが難しい。
対米というのが、日本の外交の前提になるのはとても自然だと考えますが、
そのなかで、中国との距離感やつきあい方は
大変デリケート。どうやっていくのがいいのか、まだ
日本のスタンスは、国内コンセンサス自体がないのが現実なんですね。
ここがキーポイントなんですが、ね。