先日もちょっと触れたんですが、古民家再生の取材に行ってきました。
工事プロセスの写真などいただいたので、これから何回か、
ご紹介していきたいと思います。
場所は宮城県との県境に近い岩手県南部。江戸期からの農家住宅です。
家紋には○に十の島津家のものが遺されているというお宅です。
この家の再生工事の特徴は、基本的にデザインはそのまま再生すること。
いままで取材したものは、いったん構造材も解体して
あらたに新築する、という感じのもので、断熱工事としては、外張りが多かったのです。
それに対して、この現場では、基本的には構造などを点検した上で
そのまま建物全体をジャッキアップして、あらたにコンクリート基礎を
しっかり作り上げ、そこに建物をおろして、断熱気密も
一般的なグラスウールの高断熱高気密住宅として行うのです。
総トータルの工事金額が抑えられるメリットがあります。
また、基本的なデザインは、外観もインテリアもそのまま、存続できます。
写真は、その工事の急所とも言えるジャッキアップの様子。
仮の木製基礎のうえに鉄の台が掛けられ、そのうえに建物の骨格が見えていますね。
その下側には、基礎コンクリートの様子がわかります。
こういう建物で一番問題なのは、基礎が束石などでもろく、耐震性などが心配なこと。
また、けっこう湿潤な地盤面に建てられているケースも多く
土台などの木材が水分を吸って、腐れやすくなる点などがあります。
そういう根本的な問題が、この現代のコンクリート基礎が解決してくれます。
建物はいったん、構造だけに還元しています。
油圧などを利用して、ジャッキアップするので建物の荷重を軽くするのと
同時に構造の腐れなどをチェックできるわけなんですね。
まぁ、ポイントとして、この家のように建物が大きな敷地に建っていて
油圧の機械など大型重機が利用できるようなゆとりがあること、が必要ではあります。
ただ、こういう建物はほとんどがこうした条件は満たしています。
だいたいが大型農家住宅なんですよね。
こうした建物は、住んでいる方の愛着も篤いので
こうした方法のメリットはたいへん高く、完成後の現場見学会は大盛況だったとか。
だんだん、こういう建物の素晴らしさ、
多くのみなさんから理解されるようになってきましたね。
あした以降、工事のプロセスを追って、お知らせいたします。