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「備えよ!!」 ロジスティクス・サポートとは何か  矢澤 元  カンプグルッペ・ゲンブン

2012年01月13日 09時00分00秒 | 雷日記
こんにちは、落雷抑制システムズの松本です。

ロジスティクスといえば、物流とか後方支援などを想像するかもしれませんが、ロジステック・サポートとは、「継戦能力を維持する戦務支援」と定義され、戦いを継続する能力を如何に維持するかと言う事で、物流は、その中のほんの一部です。例えば、戦闘機は一度出撃すれば被弾し、破損した状態で戻っても翌日には80%が再度出撃できるようにするためのロジステック・サポートには、修理作業、部品の補給、部品の確保、修理のし易さを考慮した設計、保守要員の教育まで含みます。第二次大戦において、零戦のエンジンは機体に取り付けた状態で修理されていたのでエンジンの修理が済むまで出撃できない場合があっても、物資の豊富な米軍は十分に用意されたスペアのエンジンの交換で機体が休むことなく使用されました。武骨で頑丈な米国製と、工芸品のような繊細な作りの戦闘機。捕獲した零戦を飛ばした米国人パイロットは、趣味で乗るなら零戦が快適だが、これで戦いに行くのは嫌だといったそうです。これは、単に設計者の好みだけではなく、T型フォードで工業製品の規格化、大量生産、修理部品の供給まで経験していた米国と工業製品の大量生産を経験しない日本との差でした。

バイクのオイル・フィルターでも、大型から小型まで同じフィルターを用いることは、小さなエンジンにとっては過剰品質となり、部品コストだけ見ればそれぞれのエンジンには専用の価格の見合ったフィルターを用意するのが正解のように見えても、部品供給の事まで含めると、単一パーツで全てをカバーする方が全体コストは低減するなど興味ある実例が解説されています。昔、勤務していた会社を思い出しました。FRU( Field Replaceable Unit:現場での交換可能ユニット)という単位で、ユニット交換で保守するのですが、その単位が小さいと交換モジュールは低コストとなるが、モジュールの種類も多くなり、故障の診断も複雑になる。FRUが大きければモジュールの種類も少なく、診断も容易、しかし、不要な交換部品まで含むこともありコストは大。 この兼ね合いをどうするかが設計の腕でした。このように部品補給の物流だけでなく、診断から部品交換の手間まで含め、最短の保守時間で可動時間を最大にするトータルなサポートがロジステック・サポート。表に見える派手さはないが、一朝一夕にはできず、普段の「備える」思慮がイザという時にものを言う世界です。

この本の筆者は、いすず自動車で補修部品のアフターセールス業務を担当し、欧州における車の保守体制について精通されていて、東日本大震災の時には、自衛隊で使用されている軍用トラックの修理部品から、民間用のダンプカー、発電機用に使用されるエンジンの補給部品などを地震直後の混乱の中で部品を準備し、修理時間を最小にする工夫をされたそうです。週末にしか乗らない自家用車では理解できませんが、業務用に用いる車両は修理部品が最短時間で手に入り、修理時間も最短で済むような工夫がされていることが一番重要で、陰で支える業務の重要さを理解するのに実例と共に豊富な話題が紹介されています。サラリーマンとして経験した仕事の周辺【車の技術とアフターセールス・サポート】と御自分の趣味の分野【軍事技術】を統合して解説した見事な内容です。

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