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ストレージエリア@ミサイルハウス〜タロス巡洋艦「リトルロック」

2024-08-23 | 軍艦

タロスミサイル巡洋艦USS「リトルロック」。

乗艦するといきなりタロスのミサイルハウスの中に入っていくという
今までアメリカで遭遇したどの軍艦にもなかった体験です。



前回使った図(キャプチャした映像を元に制作)でいうと、
見学通路はピンクの線となっていました。

つまり見学順で言うと、最初に最終工程を行うエリアを見るわけですが、
それだとわかりにくいので、見学していない皆様のために、
ミサイル発射過程に沿った順で、ストレージ部分から写真を挙げていきます。


その前にまずタロスミサイルの図をご覧ください。
ミサイルは大きく三つのセクションに分けられます。

1)ブースター
2)誘導装置(ミサイルアッセンブリーガイダンス)とエンジン
3)弾頭

ミサイルが飛ぶ仕組みは、先端のインテイクから空気が入り、
それが圧縮され、中央部の燃料で点火されて、
ブースター部分から排気ノズルを熱い排気ガスが噴出するという、
まさに3行で無理やり説明すればそう言うことになるわけです。


そして、艦に搭載されるとき、2)の誘導装置と3)の弾頭は
接続されない状態で別々にストレージのラックに格納されます。

Talos Missile Handling • Cruiser Installation

ビデオの5:17からは、まず梱包された状態のブースターが
デッキからストレージに格納されるまでの様子です。
青字はビデオの解説を翻訳した文章です。

■ ミサイル&ブースターのマガジン収納



ドックからの典型的なローディングシーケンスについて。

まず、このストライクダウンエレベーターに乗っているブースターは
ミサイルハウスのマガジンまでエレベーターで降ろされ、
エレベーターに乗せたまま、ミサイルマガジンに到達させる。



するとこのクレーンがブースターを上から持ち上げる。



黄色いクレーンがブースターを持ち上げ、支柱が外されると、
上の写真のグレーの部分がマガジンを横断し、
黒いラックの収納場所までブースターが運ばれ、設置される。





ストレージのこちら側には操作ボタンのついたバーがありますね。
ここからストレージ内でクレーンを操作しました。

おそらく「クレーンゲーム」はこの操作が基本になっていると思われます。
こちらはターゲットを掴み取るだけではなく収納する動きもするわけですが。



ミサイルも同じくストライクダウンエレベーターで下ろされ、
ブースターと同じ方法で、同じストレージラックに収められます。

なお、取り扱いのために、ミサイルとブースターには
特別なバンド(ハンドリングバンド)が取り付けてあります。



ハンドリングバンドには周囲に「シューズ」と呼ばれるフックがあり、
ユニットをマガジンラックに収納する際上部シューズを使って吊り下げる。

バンド側面のシューズは、ユニットをマガジンの支柱に固定するために使う。

■マガジンからの取り出し方

通常平時作戦中、タロス巡洋艦は30発のミサイルをマガジンに搭載した。

そのうち15発はそれぞれのランチャーアームに7発ずつ、
予備として14発が準備サービスエリアに収納されていた。
(あれ?計算が合わない・・・)



そのラックとは、この写真でいうところの「A」(下の黄色い丸)のこと。

そしてここに水平に格納されている1)と2)は、
写真で黄色い丸Bと記されているクレーンによって持ち上げられ、



その後この「C」のストライクダウンカートに乗せられ、
二つのセクションは嵌合(連結)させられます。

■ 弾頭セクション


それでは弾頭部分はどこにいくかというと・・。

予備の弾頭セクションは巡洋艦の特別なマガジンに保管される。

天井に設置されたバイ(二重)レールホイストを使って、

奥の天井に見えているグレーがレールホイスト片側

弾頭セクションをデッキチョックchock(動き止めの楔のこと)から
マガジンを横切ってエレベーターまで運ぶ。

エレベーターはホイストに取り付けられた弾頭部分を
セカンドデッキまで上昇させて運ぶ。

そこには弾頭セクションが弾頭ポジショナー(位置決め装置)があり、
弾頭部分を垂直に立てるようにに動かされる。


起立した弾頭

弾頭部にはホイストが取り付けられており、

チェックアウトエリアまで釣り上げられ、そこでミサイルに嵌合される。

■ 電気安全上の注意



ここで現役時代からあったらしい安全上の注意掲示板がありました。

一般的注意事項

1、電気機器の修理およびメンテナンスは、
許可された担当者または指定された担当者のみが行うものとする

2. すべての電気リード線は、メーターまたはテストランプでテストされ、
良好な状態であることが確認されるまで、
生きている( ALIVE )とみなされるものとする

3. 活線回路の周囲で作業する者は、特定の使命を達成する場合を除き、
電圧に関係なく、1フィート以内に近づいてはならない

4. 回路が通電しているかどうかを判断するために素手を使用することは、
低電圧であっても致命的となる可能性があり、固く禁じられている

5. ヒューズボックス、ジャンクション・ボックス、レバー式ボックス、
および配線付属品のカバーは、いつも閉じていること

6. 機械的傷害を受けやすいゾーンにあるケーブルはすべて、
金属製のケーシングで保護すること

7. 携帯用ケーブルはすべて、スプライス(継いだ部分)がなく、
適切な長さで、電流要件に十分な断面積を有すること

8. 開いている電気機器の上に、金属製の緩い物品
 を持ち込んではならない (ポケットなどに入れることも不可)

9. 配電盤、制御機器、皿盤、またはその近傍に、
異物を収納したり、挿入したりしてはならない
配電盤、制御機器、パネルなどに異物を収納したり、
その近くに挿入したりすることは、固く禁じられている

10. 電気機械(特に増幅器)を固定したときに帯電する電荷は、
場合によっては激しい感電を引き起こすので、作業前には必ず接地すること
通電していない回路に接続されたコンデンサーや、
完全に切り離されたコンデンサーに触れる前に、端子を短絡させること


電気関係を取り扱う職場では至極当たり前な注意です。
あとは略して、最後の「もし火災が起きた時」の部分だけ翻訳します。

電気火災の場合

(a) 回路の通電を遮断する

(b) OODにメッセンジャーまたは電話で状況を報告する


(c) 周辺の換気を確保する


(d) 炎の根元に向けてCO消火器を使用して消火する


(e) 他の消火剤を使用する前に、場所、空間の広さ、
発生するガスなどを考慮すること


これも軍艦だからという特例はなさそうな一般的な対処ですが、ただ、
(b)の「OOD」とはオフィサーオブザデック甲板士官のことですね。

そして(d)のCO消火器とは、二酸化炭素消火器のことです。
電気絶縁性に優れているため、電気設備関係の火災に使われます。

消火剤として不活性ガスが用いられています。

続く。




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1 Comments

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いろいろ考えないといけません (Unknown)
2024-08-23 19:33:36
Talos Missileとタイトルのある図は、先端のラムジェットの空気取入口部分(Forward Body Section)と中胴の誘導部(Center Body Section)ラムジェットのノズル部分(After Body Section)しか描かれていませんが、実際のミサイルには、このAfter Body Sectionの後にブースターが付きます。

ラムジェットはマッハ3で初めて動作するので、初速0で発射されるミサイルをマッハ3までブースターで加速します。その後はラムジェットだけで飛べるので、ブースターは切り離します。巡航状態になった以降の動作は下記の通りです。

>ミサイルが飛ぶ仕組みは、先端のインテイクから空気が入り、それが圧縮され、中央部の燃料で点火されて、ブースター部分から排気ノズルを熱い排気ガスが噴出するという、まさに3行で無理やり説明すればそう言うことになるわけです。

>通常平時作戦中、タロス巡洋艦は30発のミサイルをマガジンに搭載した。そのうち15発はそれぞれのランチャーアームに7発ずつ、予備として14発が準備サービスエリアに収納されていた。(あれ?計算が合わない・・・)

Magazineとは、ミサイルとブースターが分離された状態で格納する区画(エリア3)で、ここに片舷15発。合計30発が格納され、ミサイルとブースターを組み合わせた、発射可能な完成弾はReady Service(エリア2)に片舷7発。合計14発格納されると動画では言っています。

ミサイルとブースターをMating(嵌合)させるのには時間が掛かるので、30発搭載可能ですが、そのうち、最大14発を発射可能な状態(ミサイルとブースターが嵌合されている完成弾)にして、Ready Service区画に置けるということになります。何発か撃ってしまうと、嵌合を行って、完成弾を補充しておかないと、次に撃たなければならない時に、撃つ弾がないという状況になります。いろいろ考えないといけません。
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