コメント欄でも少し予告したのですが、今年も行って参りました。
陸上自衛隊第一空挺団降下始めに。
例年なんでまたこんなくそ寒い(失礼)日にやるのかといいますと、
訓練展示と「今年一年の無事を祈願して」みたいな意味もあるのだそうです。
もしこれで「今年一年を占う」みたいな意味があるのだとしたら、
万が一この降下始めで事故が起こったらどうするのだろう。
などという縁起でもない話はそこそこにしますが、
去年初めて参戦したエリス中尉、この降下始めがどんなものか全く分からず
(何と言ってもその前の週に読者の方に教えてもらったというくらいで)
時間も場所も、装備諸々、全くの知識無しで状況開始してしまったのです。
そのためいろいろと反省する点もございました。
で、今年はその反省点を踏まえ・・・・・
まず、望遠レンズを買いました(笑)
レンズ交換式アドバンスドカメラであるニコン1を昨年春購入し、
そのときに選んだ10−100ミリレンズで楽しんでいたのですが、
降下始めに行くならもう少し遠くのものが写せるレンズがいいと思い、
一眼レフ用の70−300ミリをマウントアダプターで装着することにしたのです。
お断りしておきますが、わたしのこういうカメラ周辺の買い物は、
殆どカンとイメージと勢いときっかけだけで決まります。
スペックの比較とか、評価を調べたりとかは一切しません。
というわけで、降下始めの3日前にレンズが届き(おい)、
前日にちょっと窓越しに練習してみました。
いずれもかなり離れたところにある被写体ですが、まあこんなもんでしょう。
オートフォーカスで問題なく撮れるのですが、気のせいかピントが甘いので、
当日はマニュアルフォーカスと併用することにしました。
大丈夫なのか?(笑)
さて、次の用意は防寒対策。
このネタでファッションタグのエントリが書けそうなくらい悩んだのですが、
最初に着ていくことを決めていた、極寒のボストンで昔購入した、
まるでギリースーツのようなフェイクファーのコートは、息子が見るなり
「かっこわるい」
と言い放ったので諦め、二番目に暖かいと思われるモンクレーのダウンにしました。
ブーツの上にレッグウォーマー、昔スキー用に買ったお揃いの帽子。
これにマスクとサングラスをすれば完璧に外気を防ぐことができます。
・・・・・が、無駄に怪しまれそうなのでマスクだけにしました。
前日、習志野基地に電話をして、国道296号添いの正門以外に、
もう一カ所歩行者専用の入り口があることを教えてもらいました。
車で入場することもできるのですが、去年の例を見ても大変な状態は明らか、
陸自広報は
「できればお車はご遠慮いただきたいと・・・」
例年周辺道路は大変な渋滞になるので、一台でも少ない方がいいということでしょう。
去年と同じくわたしは外部の駐車場に留めて現地まで行くことにしました。
家を出たのは5時半。
まだ真っ暗です。
ところが湾岸線の最寄り出口が数キロの渋滞となっており、
ランプを一つやり過ごして戻ってくるなどしていたので、
現地到着は7時過ぎになりました。
門のところにたどり着くと・・・・
すでに50人ほどの人が列を作って並んでいました。
広報の方によると、
「早い方は6時から並んでいます」
ということなんですが、果たしてその必要があるのか?
なぜなら、この門から入って荷物検査を終えるやいなや・・・
並んでいた人たちが教習所を通り抜けて走る!
走る!!
走る!!走る!!!
つまり、中に入ってから走る気なら、わたしのように7時過ぎから並んでいる人を
ごぼう抜きにすることができるんですね。
しかし、なんで皆がこんなに悲壮な様子で走るのか、というと、
案外「一番前の場所」を占めることのできる人が少ないからということがわかりました。
(今年の教訓)
一番前に着いた人は、とっとと自分の荷物で陣地を作り、カメラを立てて、
横に幅広く場所を取るので、あっという間に前列は埋まってしまいます。
わたしは「走っている人に少々抜かされるくらい」と思って悠々と歩いて行きましたが、
案外ぎりぎりだったりしたんですねこれが。
取りあえず空いているところに場所を取ったら、
ここが斜めの傾斜地でした(笑)
小さなパイプ椅子に座っていたので案外快適でしたが。
それにしても、去年の降下始めはデジカメで参加しているんですよね。
あれから一年。
三脚を持って朝から並び、自衛隊イベントに参加する立派な「自衛隊カメラオタク」になってしまった。
そのわりにはカメラには全然詳しくなってないのが辛いところですが。
ロープの外側は警備の隊員が見回って、
外に出たり通路を塞いだりしないか点検しています。
隣は一人の人が大きなシートを敷いてねていたのですが、
後になってそこに6人くらいが詰めかけていました。
しかし、食べた後のゴミをこうやって人の目の前に放っておくのは
何となくあまり嬉しくないのでやめていただきたかったです。
風があったら残りの汁ごと飛んで来そうで。
この望遠レンズで撮るとこれくらいが限界なので、
今回広い場所を撮るのにはソニーのデジカメRX-100を併用しました。
ちなみに最初のころの人の様子。
これも始まる前。
どんどん人が増えて来て、私の後ろは人が4重くらいになっていました。
わたしは一番前なので後ろの人のことを考えて立たないようにしていましたが、
最前列なのにずっと立ったままで(しかも縦横でかい人だった)、
首から下げたバズーカカメラをしょっちゅうロープに当てるので、文句を言われている人がいました。
まあ「早く来た者の権利で、立とうが座ろうが俺の勝手」ってやつなんでしょうけど。
マスコミ陣も場所取りでもめたりするのかな(笑)
しかしどうせ取材ったって、訓練のことより小野寺大臣がなんと言うのか、
あわよくば中国様韓国様にいいつけるネタとか火がつくネタを探してきてるんでしょ?
という目でいつもマスコミを見るようになってしまったのも、
全てマスコミの日頃の行いのせいです。
この日、入場待ちで並んでいる人たちが同じ門から入るテレビ局の取材カーに向ける視線は、
それはそれは冷ややかなもので、ただでさえ寒い外気がさらに冷たくさえ感じたのは、
決してわたしの思い過ごしではなかったと思います。
待ち時間を利用して新しいレンズでの撮り方練習。
遠目にもいかにも寒そうに歩いている隊員がいたのでパシャ。
陸自隊員でもこんな朝は寒いんだなあ・・・・。
当たり前だ、彼らも普通の人間だ、って?
いやいや、十分普通じゃありませんからこの人たち。
そのことを、わたしはこの日訪れた空挺館でいやというほど知ることになります。
まさか200メートルは離れた観客席から望遠で撮られているとは
夢にも思わず談笑しているイケメン隊員たち。
真ん中の隊員は迷彩が違うようですが、空自ペトリオット部隊所属なんでしょうか。
現場到着したら偽装網を片付けているところでした。
これは本日の予行演習を行なっていたということのようです。
いったいこの人たち何時に任務が始まるの?
と、白旗持った隊員現る。
いやー、このレンズ優秀だわ。
かがみ込んでちょっとかわいいですが、これは
訓練でここからスモークを出すために仕込みをしていたようです。
こちらは偽装網を積み込んで片付け終了。
小野寺防衛大臣始め、VIPが乗ったCH-47が着陸し、歩く部分に水まき。
ここにヘリが着陸すると、枯れ草が舞い上がって大変です。
ローターを回したままここをVIPに歩かせるので、このような配慮を。
なんてきめ細やかな配慮。
これがお・も・て・な・しの心ってやつですか。
といっている間にも回りにはものすごい勢いで人が増えてきます。
使用航空機も上空に次々と飛来を始めました。
背嚢に偽装した部隊が準備のため登場。
極限までアップにすると、彼らは偽装メイクしているのが分かりました。
チヌークさんが飛んだり降りたりしていましたが、そのうち一機は
VIPのお迎えに行ったのかもしれません。
さて、靴の中に貼るタイプの使い捨てカイロを入れているのに、
それがまったく効かず、足先がジンジン痺れてくるような寒さに耐えること
2時間半。
やっとのことで降下始めが開始されました。
まずは試験降下。
一人がお試しの降下をします。
ところで婆娑羅大将、見てくれてます?
ローターが奇麗に回っている映像が撮れました。
しかも、今まさに降りんとしている隊員の姿までばっちり!
カメラ本体は変わっていないので、これはレンズのおかげかな。
ああレンズ買ってよかった~。
お試し降下員、まっすぐきれいな降下を見事に決めます。
この日は風がほとんどないようで、降下日和だったのではないでしょうか。
一人で降りて一人でパラシュートを持って、一人で走って行きました。
状況の合間にもせっせと目につくものを撮りまくります。
こちらはいかにも精強無比な雰囲気を漂わせる隊員たち。
三人とも左腕に日の丸が見えるような気がするんですが・・・。
はっ!もしかして派遣部隊?
さて、まずは団長降下。
指揮官先頭の自衛隊は団長といえども現場を任せて
自分はデスクに貼り付いていることなど許されません。
というわけで、先頭切って降下をすることになる、と去年書いたのですが、
去年団長降下した前田陸将補は、確かフリーフォールを・・・。
今回降下した第27代第一空挺団団長の岩村公史(きみひと)陸将補は、
なんと昨年12月、つい一ヶ月前に着任したばかリ。
辞令が下ったとたん、降下始めの団長降下に備えて特訓が始まった!
というようなことはなかったかな。
今回の団長降下は自動で傘が開くように、開傘のフックを掛けてイグジットしてます。
機体から出ているように見える黄色い紐がそうですね。
ちなみにフリーフォールをするには資格がいるのだそうで、
前田陸将補はこれをお持ちだったということのようです。
フリーフォールは傘のコントロールが難しいのか、
去年の団長降下はくるくると回りながら降りて来ていました。
若い隊員と違って「腕が落ちている」のだと思い、
「だめじゃ~ん」
などと気軽にヤジを飛ばしていた去年の観客どもに一言その難しさを言ってやりたい。
(自分も含む)
とにかく、今年の団長降下も無事終了。
窪地に降りたのでちゃんと二本足で立てたかどうかは分かりませんでした。
勿論降りるや否や他の隊員が駆け寄り、傘をたたんでくれます。
団長降下終了後、堰を切ったように始まる降下訓練。
全ての隊員は降下後このように前身に傘を抱えて走って退場。
そして、敵を想定した訓練の開始です。
この赤旗と赤いスモーク部分が敵の陣。
♪この青空も~敵の空
この山河も~敵の陣
この山河も敵の陣♪
という歌がありましたねそういえば。
去年の訓練展示のとき、この向こう側に見える民家には
たしか
洗濯物が
干してあったと記憶するのですが、こんな日に洗濯物を外に干したら、
カラースモークの色がついて赤くなったりしないのだろうか。
とエリス中尉がいかにも主婦らしい心配をしている間にも、
平成26年度陸上自衛隊第一空挺団の訓練、状況は開始された!
(続く)
降下訓練始め、ご参戦お疲れさまでした。
今年は私も参戦しました。
画像から判断するとエリス中尉の場所から50m位右の地点にいたと思われます。到着したのが午前9時頃だったのでエリス中尉の後ろを通ったことになりますね。
正門以外から入場できるのは知りませんでした。来年は、最前列を確保するために7時には並ぼうと思います。
今年は空挺館参観されたのですねレポート、新兵器の威力と共に楽しみしています。
めり軍曹、暖かい部屋の中で降下初めの模様の一部始終を見る事ができました。
ちなみに、失礼ながら笑ってしまったのは「お試し降下」で一人で飛んで一人で後始末をして走り去った隊員さんです。何だかお気の毒なような、ちょっぴりお気の毒な隊員さんに座布団一枚。
実はめり軍曹、あの装備一式を身につける機会がありましたが、総重量60kgの装備を持って走るなんて芸当は、さすが鍛え抜かれた隊員さんならでは。
素人の軟弱なめり軍曹、装備を体の前後に装着した途端に呼吸困難に陥りました(恥)
それにしても、エリス中尉殿の艱難辛苦をものともせず、軽々と東奔西走なさるド根性には脱帽です。
横着を決め込んだ古参軍曹は、暖かい部屋でエリス中尉殿の珠玉のエントリを楽しませていただきました。
誠にありがたいことです、これから寒さも本番です。お風邪など召しませんように。
わたしのさらに50メートル右というと、大臣席にかなり近くですか。
M24さんが参戦するとは伺っていたので、当日あのたくさんの人を見ながら、
「どこかにおられるんだろうなあ」と思っておりました。
一度、始まる前にお茶を買いに下に降りて、そのとき土手の階段を登っていきましたから、
おそらくそのときにわたしは横を通っているはずです。
何かこういうのってゲームみたいで面白いですね。
>最前列を確保するために7時
最前列を取ることはできなかったのですか。
門に入ったあと全力ダッシュする気なら8時でもたぶん大丈夫です。
逆に、走らないのならば7時はぎりぎりなので、やはり6時台から並ばないと、
ってところでしょうか。
だめなら前にわたしのような「後ろの人のことを考えて絶対に立ち上がらない」
善人のいる場所を確保するのが確実かと思われます。
いずれにせよ、参加されたM24さんなら分かっていただけると思いますが、
本当にこのイベント、わくわくしますよね。
こんなに楽しいものだとは知りませんでしたし、教えていただいたM24さんには心から感謝しております。
しかしながら、この艱難辛苦もまた目の前に展開されるめくるめくような陸自隊員たちの
日頃の厳しい訓練の成果を確かめ、それをまた皆様にお伝えするという目的の前には
何の困難とは思えなくなってくるのです。
さらにそれを伝える当拙文をお読み下さり、ありがたいことだとすらおっしゃってくださるめり軍曹のような方がおられればこそ、
この無謀ともいえる東西奔走も苦労どころか喜びとなるのです。
それを思えばこちらこそ、励ましのお言葉に対して
ありがとうございますという言葉しかありません。
※裏コメのアドレスの件了解しました。
習志野の空挺団の事始めですか?このような訓練事始めがあるとは
知りませんでした。習志野に住んでいて、いつも遠くから
パラシュートの降下訓練を見ています。
50数年前中学生だった頃、歩いて10分程の所にある
習志野原へ先生がよく連れて行ってくれました。その頃は
だだっ広い原っぱが続き、鉄条網の柵も無く訓練している
所に自由に入れました。その頃からパラシュートの降下訓練が
あり、飛行機から次々と下りて来るパラシュートを芝生に
寝転び大の字になって眺めていました。直ぐ傍に降下した
パラシュートを畳む手伝いをしたりして。パラシュートは
シルクで出来ているようで、すべすべしたカーキ色をしていました。
又砲撃(空砲)訓練中のたこ壷の中に入れてもらったり、
ジープに乗せてもらったり、何とものんびりした。時代でした。
今時の事始めの様子を見ると何とも厳めしい感じを受けます。
貼っていただいたリンクを拝見すると、女性!
文章からは分からないものですね。
それにも増して驚かされたのが、50年前の習志野空挺団の練習です。
原っぱに寝転んで空を見上げたら青空の中次々とカーキ色の傘が降りてくる。
降下したパラシュートにわっと歓声を上げて駆け寄る少年少女。
パラシュートを畳む手伝いをさせてくれる自衛官・・・。
なんだか夢の中、あるいはまるで童話の中の話のような・・・。
今の空挺団降下訓練の様子や、気の遣いようしか知らない者には信じられないくらい牧歌的な光景です。
大変貴重な証言をどうもありがとうございました。