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グッドウィルに寄付された海軍迷彩の謎〜ニューヨーク滞在

2020-02-16 | アメリカ

今日は昨年の9月から10月までを過ごしたニューヨーク郊外でみたものを
今更ですがなんとなく写真を貼ってご紹介していきます。

ハドソンリバー沿いにあり、南北戦争の時には戦場になったこともあるこの一帯は、
早くから発展し、 19世紀に建てられたいわゆるビクトリアンハウスが残ります。

ビクトリアン様式とは、ビクトリア女王時代(1837~1901)の美術・工芸様式で、
中世回帰の風潮に乗ってゴシック様式の手法を取り入れたもので、具体的には
従来の石や煉瓦(れんが)などに加え、鉄・コンクリート・ガラスといった
当時の新しい工業的材料を積極的に採用しているのが特徴です。

外面的には細かいところに装飾がなされていて、なかなかにロマンチックなもので、
アメリカでは国内に残るこのビクトリアンハウスを、保存維持していこうという団体もあります。

わたしが借りた家は、そんなビクトリアンハウスのアパートの一室。
重い二重扉を内側に押して入ると、一階の部屋と階段があり、
二階にある2室のうちの一つが通りに面した窓を持つ部屋です。

内部はもちろん何度も階層を重ねていますが、木でできた窓のブラインド、
そして居間とキッチンにある暖炉は昔のまま残されています。

今はサーモスタット付のセントラルヒーティングが通っていて、
暖炉はいつのころからか知りませんが使われていません。

ニューヨークの家なので、ドアは自動ロック、鍵の上にラッチがあり
二重に中から施錠できるようになっています。

インターネット環境は最高、ネットテレビも普通に見られます。
わたしはこの滞在中、この画面でyoutubeを見ながら
広々とした居間でヨガを続けておりました。

向こうで買ったマットを持って帰ってきて、日本でも継続しています。

キッチンから見たダイニングと居間。
一人で住むには広すぎるくらいです。

コーヒーメーカーとトースターのある窓の向こうは隣の家の壁。
ニューヨークの家らしく、窓から非常脱出のための梯子が出ています。

この梯子、うまくできていて、上から降りることはできますが、
最後は飛び降りるようになっていて、下から昇って来ることはできません。

隣の家も19世紀のもので、フランス積みの煉瓦建築。
100年以上の風雨に耐えてきた煉瓦の表面はかなり削れています。

隣の家の丸窓はステンドグラスです。
そういえばこの地方のいくつかの教会には、あの「ティファニー」の
ルイス・ティファニーが手がけた窓が現存しているそうです。

キッチンの前にはワゴンを置いてアイランドキッチンにしてくれているのが
大変使いやすく、便利でした。

ベッドルームは一つ、ソファーもベッドになるので、スペック上は
三人が泊まれる部屋、となっています。

オーナーはこの近所に住む白人系の夫婦で、子供が二人。
ビルディング全てを所有して賃貸にしており、わたしの部屋は
借り手がない空室を遊ばせないためAirbnbに出していたようでした。

部屋を出る時に完璧に元どおりに掃除をし、洗濯をして出たところ、

「彼女は部屋に敬意を払ってくれた。今後いつでもお貸ししたい」

とのコメントを頂きました。
Airbnbは、宿泊が終了してから互いに評価を付け合いますが、
自分が評価をしてからでないと相手の評価が見られない仕組みです。

低評価を付けられたので仕返しにこちらもやったる、というような
醜い争いにならないようにという配慮なんでしょうね。

今回初めて知ったのは、「泊まる側も評価される」ということ。
ちょっと調べてみたら、ほんのたまに、

「彼女と彼女のBFは部屋の使い方が汚く食器も全く洗っておらず・・」

と文句を言われているカスタマーがいました。

住んでいる間、ここでも散歩できるトレイルを探しました。
アメリカの凄いところは、こういう広大な空き地に何も建てずに
長年公園として散歩する人のためだけに維持し続けていることです。

道を切り開いてウォーキングのためのコースをいくつか作り、
立木にマークを付けて迷わないようにしてくれているところが多いです。

このコースは野趣溢れすぎてところどころ足元が歩きにくく、
木立の間を歩くと虫が追いかけてくるので一回歩いただけでした。

今回一番気に入って後半はほぼ毎日行っていたのがこの散歩道。
廃線になった線路を塗りつぶして長い歩道にしてしまったというものです。

ここでは近隣の家から遊びに来ていたらしいこの猫さんに数回出会いました。
猫は同じ時間に同じ行動をしていることが多いので、
同じ時間に行くと必ずと言っていいほど同じところにいるのです。

夫婦で散歩している人たちも必ず1日に1組は目撃しました。
このカップルは車を降りてからずっと手を繋いだままで歩いていました。

歩いていると道と渓流が並行して走る部分があり、絶景です。

これが昔線路だった名残りの鉄橋。

列車に乗った人はこの鉄橋を通るときの眺めを楽しみにしていたことでしょう。

歩いているとよく遭遇した毛虫くん。
秋になると大量に出没して道路を横切るのだそうです。
「イサベラ・タイガー・モス」という蛾の幼虫だとか。

この道のさらに上に掛けられているのは高速道路のための橋。

さて、ここでも「宝探し」感覚でよくモールを探検しました。
今までアメリカの各地で見てきた経験から言わせていただくと、
ことファッションに関しては、同じ系列のストアでも、品揃えがよく
良い品質の物が見つかるのは東はボストン郊外、西は米エリアです。
あとはロングアイランドの「お金持ち地域」にある店とか。

住環境がよく、教育レベルが高いピッツバーグはその点いまいちで、
どんな店に行ってもなんだかピンとこないものしか見つかりません。

ここニューヨーク郊外は、ファッションに関してはピッツバーグよりましですが、
ボストンやサンフランシスコほど洗練されていないと言う感じ。

この日は、あるアウトレットファッションストアに行ってみました。

基本的に全シーズンの売れ残りとかサイズがなくなって
有名デパートから流れて来るものがおおいのですが、このように
このセンスはいかがなものか、みたいな変なデザインのものもあります。

まあ、こんな服も金髪のモデルが着ればそれなりなのかもしれませんが。

同じスーパーの男性用売り場にあったNASAのシャツ。
各国の国旗は、これまで宇宙飛行士を輩出した国のようで、
ちゃんと日本の国旗もありました。

ここにも増えてきている(西海岸ほどではないですが)中国系のために
中華チックなデザインを取り入れてみました・・・的な。

ちなみにボストンのアウトレットモールには
「極度乾燥しなさい」のブランドが入っていますが、この間みてみたら
中国人観光客に媚びてか、中国語バージョンが登場していました。

また別の日。
全米最大のリサイクルショップ、「グッドウィル」があるのを知り、
話の種に?行ってみることにしました。

写真の男性はグッドウィル・インダストリーの創始者、エドガー・ヘルムズ牧師。

ヘルムズ牧師は、富裕層の住む地域で廃棄されている使用済みの家庭用品や衣服を収集し、
それらを修復し修理するために失業者または貧困者を雇い、訓練を施しました。
製品は困っている人に再配布されたり、修理を手伝った人に配られました。

現在は、無償で寄付されたものをアズイズ(そのままの形)で欲しい人に売り、
寄付に対しても税金控除の一助にするなどのメリットを持たせています。

今日、グッドウィルは年間48億ドル以上の収益を獲得し、毎年30万人以上の職業訓練と
コミュニティサービスを提供する国際的な非営利団体となっています。

ただし、どれもいらなくなったので(売るのではなく)引き取ってもらう
というものばかりなので、綺麗なブランド品などは絶対に存在しません。

ハロウィンのかぼちゃや変身用ヅラなど、それこそ不用品の山です。

たぶん動かないけど、ディスプレイとしてはどうだろう、
と言う感じの電化製品とか。

なんでこんなソンブレロ買っちゃったかな。
あのユーミンですら安くされてもいらないわと言えたのに。

意外とたくさんあるのがウェディングドレス。
しかもこれ、値札がついているではないですか。

どう言う事情で値札のついたウェディングドレスをドネートしたのか・・・。

本物の毛皮(シェアードミンク)もちらほら。
毛皮はアメリカではアウトオブデートなので滅多にみませんが、
先日シカゴのオヘア空港で、物凄いみるからに成金な黒人の母子がいて、
そのカーチャンの方がやたら嵩張る毛皮のコートを着ていました。
息子はルイヴィトンとひと目でわかるジャケットとか、とにかく
わかりやすく金目のものを持ちたい人たちのようでしたが、
逆に言うと毛皮はもはやそう言う人の選ぶアイテムになってしまったってことです。

こんなところで二束三文で売られていても不思議ではありません。

ハロウィーン用の衣装もここにくれば必ず何かしら見つかります。
多分だけど、これ暗いところで光ったりしそう。

今回のグッドウィル・ハンティング(笑)で一番衝撃的だったのがこれ。
アメリカ海軍では制服を返還しなくていいんでしょうか。

アメリカ海軍潜水艦隊のメイヒュー1等軍曹、(原潜らしい)
なんと退役してから海軍迷彩を名前付きのままグッドウィルに出しております。

アメリカ海軍の迷彩の材質を知るために買って帰りたかったのは山々ですが、
かさばりそうだし、どう言う経緯でここにきたのかわからないものを
家に置いておくのも躊躇われたので、買わずに帰りました。

っていうか、これを買う人って果たしているんだろうか。