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空母ホーネット~「F-14のグローブベーン=DAR-SOCK」

2013-09-08 | 航空機

前回冒頭にトムキャットのメンテ中の写真を挙げたのですが、
今日のはもうちゃんと直っている、と気づいた方、あなたは鋭い。

実は、あれからもう一度行ってまいりました。
休暇でうちの所帯主が一週間来たときにホーネットのことを話すと
「ぜひ行ってみたい」
と言ったから・・・・・ではありません。

「今日、ホーネットにもう一度行きたいんだけど。
この間はツァーに参加できずに艦橋が見られなかったから。
あ、それとあのとき売店で見たDVDやっぱり欲しくなったから買いに行きたい」

我が家唯一の国際免許保持者のこのような有無を言わさぬごり押しによって、
その日の観光はいつの間にかホーネットになったのでございます。

そして、念願の「艦橋ツァー」に、途中まででしたがとりあえず参加できました。
このペースではいつになるかわかりませんが、そのうちアップしますのでお楽しみに。

ただ「欲しかったDVD」というのが・・・・・・・・。

実は、こちらのテレビ番組で「ゴーストハンターズ」という、廃墟や噂の霊スポットに
「ゴーストハンターズ」を名乗る数人の男たちが(女もいたかな)乗り込み、
ビデオを撮ったり音声を録音してあれが見えたのこれが聞こえたのと、
本当かウソかわからない幽霊探しをするという番組があるのですが、そのホーネット版があったんですよ。

前々回、
「でるんですよ。あれが」
と思わせぶりに予告したのは、これを見ていっちょうエントリをでっちあげてやろう、
とそのときに思いついたからで、そのためにもホーネットの売店にあったこのDVDを
なんとしてでも手に入れる必要があったのです。

が。

たしか最初に訪れた時には三枚はあったと思うのですが、一週間後にTOと行くと、
それらは売り切れてしまったのか棚には無くなっていました。

ほかのまともな(?)ホーネットものや、ヒストリーチャンネルのDVDなどは全部そのままで
どうしてこんなものが(それを買おうとしていたわけですが)真っ先にに売れてしまうのか。

仕方なくアマゾンでホテルに配達させようと検索したら売り切れ。

しかも、その動画が観られるというサイトでダウンロードのクリックをした途端、
コンジットという「ブラウザハイジャッカー」にコンピュータを乗っ取られ。
グーグルを出そうとしたら変なコマーシャル付きの聞いたことのない検索エンジンが出てきて、
おまけにブラウザが異常に重くなり、字が打てなくなり・・・・・。

息子が「ヒットマン」と「アンチ・マルウェア」を入れて3時間かけて退治してくれましたが、
「これ有名なマルウェアだよ。なんでも気軽にダウンロードしちゃダメじゃない」と叱られ、
これが本当の負うた子に教えられってやつか?

それもこれもすべてホーネットの売店のDVDが売り切れていたのが悪い。

しかしこの「ホーネットの霊現象」。
観光客的には人気ありそうなネタですよね。
そのうちお話ししますがわたしも実際に少し「?」な体験をしたので、見てみたかったのに・・・。

さて、というわけで最初に見たときのトムキャット。



もいちど改装後。



黒のペイントだけ塗りなおしたみたいですね。

最初の時にボランティアの解説係のおじさんが話しかけてくれて、
「何か聞きたいことがあったら何でも聞いてね」

と言ってくれたのですが、専門用語の聞き取りに甚だ自信のないエリス中尉、
このトムキャットの稼働翼についてくらいしか質問できませんでした。
まあ、それも予備知識があって大体のことがわかっていたから聞けたんですけどね。

そのときに、「メンテナンスはどれくらいに行われるのですか」と聞くと、
「いつもどれかしら必ずメンテしています」という返事。

ついでにおじさんは戦争に行ったのか、つまり「ベテランですか」と聞いたのですが、
とてもきまり悪そうに「行ってません」と答えました。
艦橋ツァーの解説員はかつてホーネットに乗っていた元海軍さんだったので、
ベテランでないということはこのおじさんにとって引け目だったりするのかな、
とこの反応に少し驚き、聞かなきゃよかったと思ったものです。



それではお約束、トムキャットF14のエアー・インテイク。

トムキャットはエンジン二つ搭載した「双発エンジン」ですが、このエンジンが離れており、
エアーインテイクから取り入れた流入空気を整流するのが容易でした。



ご覧のとおりのTF-30エンジン。

また、エンジンが離れていると一方が欠損してももう一つが影響を受けにくい、
という物理的な利点もありますよね。

しかし、もし一発が停止したとしたら、推力軸線と機体軸線とのずれが大きくなるため、
それを操縦するのはより困難なことになってしまいます。

ETOPS 120と言って、一般に双発機はエンジン1基が停止すれば操縦ができなくなるので、
最寄の空港から120分以上離れたところ、ましてや大洋を飛ぶことは許されなかったくらいです。

F-14は二基のエンジンの場所を離して、この間にはミサイルの搭載場所を確保しています。



エンジンノズル。
TF-30は、故障や事故が多く10億ドルを超える損害被害が出るほどの気難しいエンジンで、
このためF401-PW-400が開発されましたが、こちらも開発中に技術的な問題が噴出。
おまけにこのF-14、機体が高価なので、そのせいでこのAに続くF-14Bの計画はお流れになってしまいました。

先日お話しした「サンダウナーズ」はVF‐111でしたね。
このVF-101Grim Reapers 
つまり「死神」というニックネームを持つ
朝鮮戦争から続く要撃航空隊の使用機です。

いや、読者のリュウTさんのお話にもありますが、アメリカの軍用機軍艦船のネーミングは、
こういう「中二病」、あるいはD.Q.N?なセンスのものが多いとは思っていましたが、
これもまた思いっきりですね(笑)

翻って我が日本軍は、たとえば同じ想像上の存在でも「鐘馗」ですものね。
格が違う。格が。

それはともかく、彼ら「死神部隊」がこのトムキャットを採用していたのは1976年からのことです。
この隊とトムキャットの相性はきわめてよく、機体の燃費を向上させ、
さらには事故を起こさなかったことで安全章という賞を表彰もされていたようです。 



ミサイルもちょっとだけ搭載して見せてくれています。
F-14は最大でAIM‐54を6発搭載できるということですが、この状態では離艦はできても着艦できません。

「離艦はできても着艦はできません!」

映画「連合艦隊」で瑞鶴から出撃する幼い搭乗員のセリフみたいですね。
・・・・というのはこのブログを長年読んでくださっている方にならわかる話ですがそれはともかく、
この場合は瑞鶴搭乗員の「着艦訓練していないから」という理由ではなく、着艦重量のオーバーです。



ははあ。

ミサイルに「レイセオン」とあるから、これは中距離空対空ミサイルである
AIM-7 スパローのようですね。
自衛隊でも使われていたミサイルです。

調べていたら、このF-14が機体試験中のことですが、スパローミサイルを発射した時に

自分に当たって墜落した

という話を知ってしまいました。
自分で自分を撃墜してしまったと。
サッカーでいうとオウンゴールだけど、戦闘機でこれははめったにないことなのでは・・・。

というか、これどういう状況だったのかご存知の方いますか?
ディズニーシーの「ストームライダー」のように発射したミサイルが途中で向きを変え、
「ウソだろ~!」(by キャプテン・デイビス)という間もなくヒットしてしまった、とか?


このミサイルはベトナム戦争、湾岸戦争にも使用されています。

ところで、これ見ていただけます?



修理中のトム猫さんですが、翼をたたんでいるので、
なんか肩をすぼめたみたいに見えますね。

このF-14の大きな特徴が可変翼といって翼の角度を変えられるのですが、



この写真の左上、スリットのところから、グローブベーンという小さな翼が、
どうやら速度にに呼応して出てくるそうなのです。

マッハ1.4以上になると自動的に主翼付け根前縁から出てきて、
超音速飛行で揚力中心が後退するのを打ち消す目的でつけられたのだとか。

マッハ1.0~1.4では手動で(ぐるぐるハンドルを回すのか?)出すことができ、
また、空戦モードにしておくと空戦フラップと連動して迎角とマッハ数に応じて作動、
つまり「出たり入ったり」?

それは面白い。

さらには後退角55度の爆撃モードでは全開。


まあ、いろいろ考えて付けたわけですが、このグローブベーン、

実はあまり意味がない

実は意味がない

意味がない

ことが

そのうちわかってきて、後続の飛行機からは廃止されています。

理論上役に立つはずだから良かれと思って形にしたけど、
実はあまり役に立たなかった、ってものは世の中にたくさんありますよね。


役に立ちそうにない20世紀始めのころの発明

射出装置付きヘリコプター(ロシア陸軍用)など

作ったけど実は意味なかった、つまり「蛇足」というやつです。
作るにも至らなかったものも多いですけどね。

ただまあ、

役に立たなかったということが分かったということが、

次の開発に役に立った

ということもできますからね。


人類の科学の進歩というのはグローブベーンのような蛇足の集合体の上に
成り立っているといっても過言ではないでしょう。(適当)