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アメリカのデブ救済番組「エクストリーム・ウェイトロス」

2013-09-07 | アメリカ

アメリカ人にデブが多い理由はシンプルです。

白人種(ヒスパニックも)は体質的に太りやすい
食生活
車中心の生活

太りやすい体質の人間が、朝からパンケーキにシロップとクリーム(チューブのあれ)かけて、
昼はマクドナルドのハンバーガーにコカコーラ、夜は食後にアイスクリーム1パイント、
そして移動は車がないとどこにも行けないので朝から歩く距離はごくわずか。

むしろこれで太らない人はいったいどういう体質なのかと聞き質したくなるほどです。

ですからどの辺からデブという基準が非常に高く、多少太っているというくらいでは皆気にしません。
しかし、それを上回る巨大なデブが多数生存する、それがアメリカ。
テレビでは毎日のように

「10分だけ毎日運動すればこんなに!」とか、

「飲むだけで代謝を良くしてやせる!」

などと、劇的に変身を遂げた人が「これでわたしは人生変わりました」
とにっこり微笑んでポーズを取るというCMがしょっちゅう流されます。

しかしたかが一日10分の運動とはいえ、効果が出るまでそれを毎日欠かさずできるような人、
そこまで意志の強い人なら最初からそこまで太ってしまうわけがないのです。


「誰かトレーナーがついてくれて、ずっとダイエットを指導してくれれば、
意志の弱い私だって痩せられるのに・・・・・」

こんな大多数の人々の声を形にした番組があります。

「エクストリーム・ウェイトロス」(Extreme Weightloss)

これは、ある日突然、手の施しようもないほどのデブの前に、
あたかも天使が降臨するようにウェイトロス・トレーナーが現れ、手取り足取り叱咤激励し、
あるときは慰めあるときは一緒に喜び、時には一緒に泣いてくれながら、
何か月間かの間に目標とする体重までウェイトロスを手伝ってくれる、という

(デブにとっては)夢のような番組。


去年、そして今年と、この番組をウォッチしてきましたのでご紹介します。
去年の画像はブレが多く見辛いものとなっていますことをご了承ください。

 

彼女の名はアシュリー。
ご覧の通りの「百貫デブ」。





いかにデブの多いアメリカ人でも年頃の女の子(23歳)がこれでは、
悩ましいことと思われます。
しかも、



彼女の姉弟(4人)で太っているのは彼女だけ。
突然変異のように同じものを食べていたのに彼女だけが膨張してしまったのです。



そんな彼女の前に突然番組のトレーナーが降臨します。



「もしあなたがやる気なら、これから私と一緒に頑張って体重を減らしませんか?」



彼女が全くあずかり知らぬうちに、周りが応募したのでした。
そんな事とは知らない彼女、トレーナーが現れる直前にも、このように
パーティに出されたご馳走を大皿に取って食べまくっていたのです。



本人も驚きですが、お母さんもびっくり。
それにしても、ちゃんとそこを聞いていなかったので誰が応募したのかはわかりません。



少なくともこの金髪の妹でないことは確かです。
どういうわけか彼女は姉のためにチャンスが訪れたことを喜ぶどころか、
何か面白くなさそうな表情を隠しません。
内心馬鹿にしていた姉がどんな形でも脚光を浴びたのが面白くないのかもしれませんが、
なにしろこの娘だけは最後までこんな感じでした。



最初に現在の体重を量り、目標値を決めます。
ガウンを着てにこにこしている彼女ですが・・・



ガーン。

410パウンド。(185kg)

何を食べたらこんな体重になってしまうのだろうか。



貴方の年齢の健康な女性なら、もっと体重は少なくあるべきです。
って当たり前のことですね。



これだけの水(1ガロン)をいつも抱えて歩いているようなものですよ。



そして具体的なダイエットプログラムが提示されます。
カーディオ・トレーニングは持久力運動ですね。



思わず天を仰ぐアシュリー。
そんな生活がわたしにできるのかしら?



体重を測ったこともなかった彼女が突き付けられた数字は過酷でした。
絶望のあまりつい泣き出すアシュリー。



四の五の言わんとトレーニング開始じゃい!



いきなり坂道を走らされます。
いつもこの番組を見て思うのですが、こんなデブにいきなり走らせたら、
心臓に負担がかかって急死してしまうのではないかと・・・。
ウォーキングくらいから始めた方がいいのではないかと思うのですが、
必ず最初から走らせたりハードな運動をさせるんですよね。



ボクシングも定番。
これは、被験者が、トレーナーに向かっていきながら自分の心をさらけ出し、
「太るに至った原因」をここで突き止める、といういわばお約束の展開が待っています。
人によってはここで涙を流しながらトラウマになっていることなどを吐き出し始めたりします。



彼女の場合は、両親が離婚しており、ほとんど父親と会うことなく今日まで来た、
そのことが心にのしかかっている、というのですが・・・・


それとデブとは関係ないんじゃないかい?

まあ、太るというのは一種のメンタルの不健康というものですから、
こじつければどんなことも太る原因につながらなくはないわけですが、
これもきっとスタッフが彼女にいろいろ家庭環境などを聞き出すうち、

「小さい時に分かれた父の面影を求めて、彼女の満たされない心は
食べ物を摂取することでその欠損を埋めようとした」

みたいな定型にあてはめたのではないかな、とつい意地悪く考えてしまうのですが。



This abandonmenntというのが、「父に顧みられなかったこと」を意味します。
ボクシングの途中で感極まって泣き、トレーナーはこれを慰めるため
二人は抱き合います。

これもほとんど毎回のお約束です。



76日、つまり二か月半がたちました。
それなりに体重は減ってきています。

51IBS減らしたということは23キロ減量したということ。
23キロというとすごいですが、もともとのレベルがレベルなので、これくらいでは
全く見た目の変化はありません。

それでも、おなかの段が少し減っているようには思われます。



90日目。

243IBS、つまり110kgにまで体重は減りました。
「大台突破」まであと10キロです。

こういう体重の人がその気になったら、面白いくらい体重は減っていきます。



よく頑張ったね、と成果をねぎらうトレーナー。
しかし、これは単なる途中経過にすぎないのです。

本当の地獄はここからだあ!



今回の軽量で30キロ減量したアシュリーさん。
首が出現しましたね。

 

ここで自分から提案して、精神科医のセラピーを受けます。
アメリカ人は薬を飲むように精神科医の診察を受け、メンタルヘルスをケアしますが、
「悩みを聞いてもらう」ことを医療行為だとはっきりカテゴライズしてるんですね。

彼女はダイエットを進める段階で、父親のことを誰かに聞いてほしくなったようです。

 




しばらくトレーナーのもとを離れ、自主トレに励んでいたアシュリー。
久しぶりに会ったトレーナーは、すっかり成果の出た彼女に驚嘆し、抱き合います。





このクリスというトレーナーは、いつもこうやって被験者の「やる気のツボ」を心得た
アメとムチで、ダイエットを成功に導くのですが、毎回毎回、
大幅に体重を減らした被験者を見ては心から驚き、時には涙まで流し、
決してビジネスライクではない(テレビだから当たり前かもしれませんが)その接し方が
もはや「芸風」と言ってもいいくらいです。



アシュリーも、クリスが心から驚き感嘆してくれるので、実に幸せそう。



うん、これくらいの太った人なら、アメリカでは決して「太っている」とは言わない、
というレベルにまでなっていますね。



そしてまた体重を計測。


 
うれしさが隠せないアシュリー。
こうなると皆そうでしょうが、より一層弾みが付きますよね。

しかも、この後は自然の中でマンツーマンの訓練が待っています。

 

とりあえず目標に近づいているということで、今はそれを楽しんでください、と
気分をリラックスさせるように持っていくクリス。



ここで、回によっても違いますが、トレーナーは被験者に今までやったことのない、
少し人生観が変わるようなアスレチック体験をさせることがあります。

今回は、滑車で谷渡り。
これ、気持ちがよさそうだなあ。

でも、最初アシュリーは怖がって脚が離れません。
トレーナーに後押しされて、

 


ぎゃああああああああ。

 

でも、のど元過ぎれば「貴重な体験だったわ」。



さて、198日が経過。
ん?
なんとなく美人っぽい面影になってきたような・・・・。



しかし・・・



まだおなかはこんな感じ。

この辺でテレビ的には彼女のトラウマである父親との再会を計画します。



すっかりきれいになったわが娘に父親は驚愕。
「なんてきれいなんだ」

褒められて微笑むアシュリー。

この再会と、やせた自分を父に見てもらたことは、彼女の心を癒したのでしょうか。



というところで体重は、179lbs。
81キロです。
なんと、当初から100キロの体重を減らしたんですね。



しかし、こうなってくると一つ問題が。

左のダルダルの体の人が、右の体重に減らした場合、
それがたとえ9か月かけてであっても、「皮」が余ってきます。



そう、アシュリーさん、服を脱ぐとこの状態。



少しわかりにくいですが、二の腕もこの通り。

この番組の大きなイベントとして、整形外科でこの急激に余った皮膚を
切除してしまう、というのがあるのです。



マリナ・デル・レイは、カリフォルニアのハーバーで、意味は「王のマリーナ」。
その名の通り、リッチな人々がヨットを係留している港のある町です。
そういえばここのリッツカールトンに泊まったことがあります。

そういう町で、美容整形外科医としてやっているのですからおそらく腕もいいのでしょう。

 

しかし、手術ができるかどうかは、患者の状態によって医師がOKを出してからです。
中にはここで「できません」と断られることもあります。
脂肪の量によっては「もう少し痩せてから来なさい」ということになってしまうのです。

どちらにしても、日本ではあまりやる人もいなさそうな手術ですね。



「スキンサージェリー」と言っていますね。
これは、「脂肪切除」ではないのです。



そこでお母さんが登場して、なぜか懺悔めいたことを・・・。
彼女なりに娘にしてやれなかったことに思い至ったのかもしれません。
アシュリーが肥っていた時には、突き放すような言動をしていた母親、
こういう展開になってそれが後悔となってあふれ出てきたものと思われます。


「わたしはこの一年でうんと成長したのよ」



わたしは人生をあきらめないわ。



わたしは愛を感じたことも、自分が強いと感じたこともなかった。でも・・・。



わたしの最後の計量を見ていて頂戴。 



わたしはその時本当に変身するの。

さて、手術を終えたら、彼女のダイエットは「完成」です。
そのお披露目は、彼女の家族はもちろん友人知人を招き、盛大に行われます。



会場ではかつての彼女の姿を実物大のパネルにしたものが用意され、
そこに大変身した彼女がドレスアップして現れるという趣向。



クリスが皆に彼女の頑張った過程について総評を述べます。
そしてその頑張りに自分がどれだけ感動したか、などということを。



おおおお。きれいになったアシュリーさん、登場。



もうこんなになってますから。



驚く知人その1。



驚くガッツ石松その2。



高々とチャンピオンのように彼女の手を挙げるクリス。



どう?昔の君だよ?



そして、かつて自分が肥っているときのみじめさを回顧することから始めるアシュリー。



これ、どうやらお父さんですね。



そしてわたしは何も変えようとしなかった。





一年前は鏡を見るのも恥ずかしかったの。



二の腕の下に手術の縫い目が・・・・。

われわれなら少したじろいでしまいそうですが、そもそももとの大きさが大きさなので
それを減らすためならこれくらいの小さい傷などなんでもないといったところでしょうか。



すべてが終わっても決してやせているとは言い難いですが、
それでも一年前に比べたらものすごい変化です。



これが・・・



これですから。
164パウンドというのは74キロ。
背も高い人なので、(170センチはあると思われる)アメリカ人としては十分です。

それに、彼女はこれからも体重を減らすのではないかと思われます。



楽しくエアロビクス教室に通う彼女。
すっかり外交的な性格になり、外に出るのが大好きになったようです。
そして、町で男性に声をかけられるまでになりました。



この番組のスポンサーはウォルマート。
エクストリーム・ウェイトロスを達成した出演者には、ウォルマートのカード、
5000ドル入りがプレゼントされます。



ところで、わたしはこの一番左の妹が気になりました。
最初からそうですが、姉が大変身し、皆に賞賛されているこの会場で、
彼女はずっとこんな顔をしていたのです。
ちょっとしたショットですが、明らかに彼女が「面白くなさそう」にしている様子が
捉えられているのです。

嫉妬でしょうか。
こんな場合に姉を嫉妬する、というのも、他の家族が心底うれしそうにしているだけに
違和感を感じます。
なんか、姉妹同士、いろいろとあったのかもしれないですね。



とにかく、この番組によって人生が変わったアシュリーさん。
まだ若いのですから、これからいくらでも彼女の人生には楽しいことが増えていくのでしょう。

わたしたちは「変身」が大好きですが、ただ洋服やメイクを変えたり、ましてや
整形手術で顔を変える、というものではなく、このよう自分の今までの心の重りを
脂肪と一緒に脱ぎ捨てて生まれ変わる、このような変身ものは、実に後味のいい爽快さすら感じます。

この番組がアメリカ人に非常に人気のあるわけがわかるような気がしました。