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滞在ホテルとアメリカの景気

2012-07-15 | アメリカ

ボストンに着いてからあっという間に三週間が経ちました。
全く、特に快適な時間というのはどうしてこう早く過ぎ去ってしまうのでしょうか。

ボストンではいつも、二か所のホテルに宿泊します。
どちらもキッチン付き長期滞在用のホテルで、アメリカにはどこにもある「スイート」というタイプ。
前半は思いっきり安い、その代わり何かと「ざっくばらん」な方にチェックインし、飽きたころ
もう一つの少しだけ豪華なホテルで出世した気分を味わうというわけ。

冒頭画像は最初のお安いホテルですが、このソファはベッドにもなります。
立て掛けているチェロは、こちらで借りました。
去年までは楽器が分数サイズ(子供用の縮小)の2分の1だったので、
結構大変な思いをして飛行機に持ち込み、持ってきていました。
勿論預けるわけにいかないので、手荷物で持ちこみ、
「クローゼットに入れていい?」と(できるだけ当たり前のように言うのがコツ)と頼むと、
エコノミークラスでない限り、快く乗務員のクローゼットに入れさせてもらえたのです。

しかし、昨年の秋、息子がフルサイズを使うようになったので、もう持ち運びは無理。
チェロの先生も「本当に飛行機は大変です」とおっしゃっていましたが、
どうもフルサイズは一人分の席を買わなくてはいけないらしいのです。
(だからって、席にシートベルトをさせて載せるわけじゃないんですが)
わたしも息子も楽器にこだわるほどのレベルでもないので、こちらでチェロは借りることにしました。

これも嬉しいことに、アメリカは何でもレンタルできます。
一カ月借りても最低貸出期間の三カ月分のレンタル料を払わなくてはなりませんが、
国際線より手荷物の持ち運びにうるさい国内線に、フルサイズのチェロを持って乗ったり、
ましてやそのためにファーストクラスを取らなくてはいけないことを考えると、安いものです。

最初のホテルにチェックインしたときに、フロントのデブラが「あら~、また来たのね!」
と熱烈歓迎(する振り)をして、迎えてくれました。
アメリカ人というのは実にこういうとき愛相がいいというのか、あまりにも嬉しそうにするので
日本人などはつい照れくさくなってしまうのですが、実はこの態度はアメリカ人のサービス業
特有のもので、次の瞬間、大抵彼らはそんなことなど忘れてしまっているのが普通です。

今年は、外壁の塗り替え作業をずっとやっていて、日本であればチェックインのときに何か一言
あってしかるべき状態だったのですが、当然のように何のお断りもなし。
ドアの近くに車を止めていたら「クレーンの邪魔になるから動かしてくれ」と言われたり、
メキシコ人の作業員がずっと泊りこみで作業していて、その家族らしいのがうろうろしてたり、
最も最悪だったのは、ホテルの部屋。
ペンキがかからないように窓をすっぽり覆って、全く外が見えない状態でした。

「日本のホテルなら平身低頭、ってところだけど・・」
「外が見たいよ~」
なんとチェックインしてまるまる一週間、窓をふさがれた状態でした。



ところが最初の日曜日、かけられたビニールが下からはがれてきて・・・。



おじさんが作業を。
この日以来、一応外は見られるようになりました。

掃除は一週間に一度、足りなければ何でも自分で取りに行かなくてはいけない、
ディスポーザーは壊れているしコーヒーメーカーは水が漏る。
去年はなんと部屋の隅からアリが出てきて、「アリが(アント)いるんだけど」と電話すると、
「アント?アントって何?ああ、エァーントね」
って、ああどうせ発音の悪い日本人ですよーだ。

まあ、そんなこんなで、フロントの面々にもほとんど会わないまま20日過ごし、
チェックアウトのためにフロントに行くと、「あらーまだいたの」
まだいて悪かったね。
というかホテルの従業員が客に向かって言うセリフかしら。
というようなところではありますが、まあ、長年のよしみで、気が楽なんですよ。

そして、今日「また来年ね~」とチェックアウトしました。
次のホテルに行く前に、例の「ハウザー砲」のあったところに行ってみました。



教会の近くのいかにも歴史のありそうな墓地を見ておくためです。
思った通り、ここは非常に古い墓石ばかりで、ほとんど墓碑銘も読めなくなっているくらい。
墓の横に立てられているのは、いわゆる「ベッツィ・ロスの旗」。
そういう名前の女性が独立戦争のときに裁縫して作った旗です。
つまり、これが立てられているのが、独立戦争のベテランのお墓なのでしょう。



例えばこれですが、墓碑の文字は全く読めなくなっているのに、VETERANと、
明らかに後世に刻印された部分が見えます。
独立記念日には、この13星旗を横に立てることが慣習化されていることが分かりました。
この旗の多さを見ると、この墓地は、独立戦争のヴェテランのために作られたのかもしれません。

次のホテル、マリオット・レジデンス・イン。




名前は一緒ですがあの超高級JPマリオットではなく、長期滞在型キッチン付きバージョンです。

フロントに行ったところ、なんと、
「あなたは昨日チェックインの予定です」(^O^)/
「え?今日木曜日じゃなかった?」(?_?)
「金曜日です」(^O^)/
「・・・・・一日間違えてた」((+_+))
「昨日の宿泊代はすでにチャージされています」(^O^)/
「・・・・・・はい」(ToT)

というわけで、国際免許に続き、やってしまいました。
JPマリオットでなくて、ほんっとーに良かった。
皆さん、これは別にブログネタのためにわざとやっているんじゃないんですよ。

気を取りなおして部屋に入ります。

  

ここは前のホテルの二倍のお値段。
でも、日本でこの広さ(二部屋でワンベッドルーム)の部屋を借りることを考えるとタダみたいなもの。
そうですね、東京のシティホテルシングルの値段くらいかな?
それだけに毎日掃除が入りますが、今年は
「連泊する人のシーツは毎日替えません」というお報せが部屋に貼られていました。



朝食はコンプリメンタリーのちゃんとしたものがロビーで食べられますし、例年、
夕方もサラダとちょっとした一品が出され、小食の我々などそれですませていたものですが、
今年はそういう食事サービスが無くなっていました。

うーん・・・。

今回、実はアメリカに来て、この一年で経済の悪化による変化を色々感じてはいましたが、
ここもまた、どうやらかなり苦しいようです。
そういえば、従業員の数がめっきり少なくなっているようでもあります。

息子の学校のサマースクールの参加人数も少ないみたいだし、
ダウンタウンに出てもウィークエンドだというのに活気が感じられないし、
相当数のお店が無くなっていたり、別の店に変わったりしていました。

世界中が今そんなもんだよ、と電話でそれを言うと、TOはそう言いました。
勿論日本だけではないし、むしろ日本などまだましな方、というのも分かっていたつもりですが、
今までわりと「安定的に豊かなアメリカ」を見てきただけに、何かとても残念な気がします。