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ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

ジュライ・フォース

2010-07-05 | アメリカ


「7月4日に生まれて」という映画以降、独立記念日がこの日であることが日本人にも有名になったようです。
アメリカ人は今日の題の様に「ジュライ・フォース」と言います。


その日が近づくと、町中に国旗が翩翻と翻ります。
一般の家も、国旗を飾り、ムードが高まります。
星条旗は実に美しいなあ、と思います。
(日本人も、もっとちゃんと国旗を掲揚するようになってほしいです)
ここはボストン・ティーパーティーもあった、独立革命の中心地。
人口比率としても、西海岸よりコケイジャン(ヨーロッパ系アメリカ人、特にイギリス系)が多いので、おそらくアメリカで一番独立記念日を盛大に祝う地方の一つではないかと思われます。

そういえば、昔住んでいたところには、実際そこで戦闘があったという広場があり、そこでまるで京都葵祭のごとく(?)当時の衣装に身を固めた人たちが、空砲まで持ち出して、臨場感あふれる模擬戦闘を芝居形式で見せてくれるのです。当たり前の話ですが、皆無茶苦茶似合っていて、これを脱いだらTシャツと半ズボンでどこにでも行く人種には見えませんでした。
史実にのっとった展開だったのだろうとは思いますが、外国人の私たちにはさっぱり理解できなかったのが今も残念です。


これは、息子の学校の前の道に飾ってある、独立戦争当時のキャノン。
これを撮った日、誰かが亡くなったのか、国旗がどこに行っても半旗になっていました。


街角にある「この街出身の戦死したベテラン(戦争に行った人たち)を讃える碑」。
記念日に間に合うように、今回なにか補修工事をしていましたが、それが終わったところ。

国のために戦って死んだ人たちをこうして悼むという、ごくごく当たり前のことが、町単位でも行われています。

そういえば、我が家がボストンに住みだしたのは2001年。
ご存知でしょうが、この年の9月11日、同時多発テロが起こりました。
その日、ボストンで見たことについてはまた別の日に書くこともあるかと思います。
その次の年、私たちがアメリカに着いて最初の7月14日のことです。

朝、いつもの道を散歩していました。
6時ごろで人通りのほとんどないマサチューセッツアベニューの舗道。
エリス中尉の歩く10メートルほど先にいて地面をついばんでいた鳩に、空から舞い降りてきた鷲が襲い掛かり、目の前でまさにわしづかみにしたかと思うとさらっていってしまったのです。

あまりの出来事に一瞬立ち止まって鷲の行方を眼で追ったエリス中尉でしたが、次の瞬間あることに気がつきました。

「インディペンデンス・デイに、鷲(アメリカの象徴)が鳩(平和の象徴)を・・・」

それがただの偶然というには、そのころのブッシュ大統領の動きはキナ臭く、同時多発テロをきっかけに「悪の枢軸」発言などもあり、つまりはイラク侵攻を着々と準備していたころだったわけです。
ある意味このアネクドートじみた小さな出来事が、後から考えても、実に象徴的にその後の経緯を語っていたと思われ、いまだに忘れられません。

アメリカ人はいい奴が多いし、アメリカ社会はある意味風通しがよく、よそ者には入っていきやすく、現にこうやってフリークーエント・トラベラーとして何度も立ち寄るほどに好きな国ではありますが、アメリカのこういう大国主義的な面は日本を追い詰めた戦前から全く好きになれません。
ジャイアニズムというのでしょうか。
911も、つまりはイラクに侵攻するためのの自作自演、という説が、アメリカ人の中にもいまだに色濃くあるようです。

しかし、どんな国であっても、自分の生まれた国を愛するのは、これまた当たり前のこと。エリス中尉も、現政権に満足したことは一度たりともなく、日本人の嫌な面もいっぱい知っているつもりですが、それでも日本人でよかったと思うし日本に生まれたことに誇りを持っています。

アメリカも、国としていかがなものかと思う面は多いとしても、彼らの愛国心の発露をこうやって垣間見ると、実に羨ましく感じます。そして、どんな国であっても自国を愛している国民が一番その国民らしく思える。
国、そして国旗国歌を愛することを素直に表明できない今の日本って、何なんでしょうね。
(その諸悪の根源はアメリカの『敗戦国に対する壮大な実験』であると思っていますが・・長くなるのでまた別の日に)


その日、この辺りでは、チャイコフスキーの「序曲1812年」に合わせてチャールズリバーに打ち上げられる花火に涙したり、恒例のホットドック大食い選手権をTVで見たり(チャンピオンはここのところずっと有名な日本人です)友人親戚を呼んで大好きなバーベキューを湖のほとりや自宅の庭でしたりするのです。

どんな方法でも、国を愛する気持ちさえあれば結構。
各自それなりにその日を楽しく過ごして下さいな、と異邦人の身としては敬意をもちつつ申し上げる次第です。
それでは、ハッピー・フォースと描かれたケーキで



お祝いしてください。

(-_-;)まずそう