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 厚生労働省は9月4日、インフルエンザA(いわゆる「新型インフルエンザ」)のワクチンについて、接種対象者の優先順位案を発表しました。診療に当たる医療従事者を最優先とし、次いで妊婦と持病のある人、小学校就学前の小児、1歳未満の乳児の両親の順で優先グループとしました。優先グループは約1900万人おり、接種の開始時期は10月下旬になるようです。インフルエンザワクチンを製造する国内4社が来年3月までに製造可能なワクチンは約1800万~3000万人分にとどまる見通しなので、優先グループにまず割り当てられます。

 小中高校生と高齢者も優先接種の対象に加えました(約3500万人)が、国産が足りないため輸入ワクチンを用いるとしています。接種の開始時期は、12月下旬以降となるようです。しかし、この優先接種の対象者に「肥満者」が加えられていません。日本ではまだ「肥満者」のインフルエンザによる死亡者は出ていませんが、海外では高齢者より肥満の人の死亡者が多いのです。

 アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、 CDC)の「ミシガン州からの報告(Intensive-Care Patients With Severe Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection---Michigan, June 2009, July 10, 2009)」によって、重症入院患者の10例(年齢-21歳~53歳、中央値46歳、性別-男9、女1、基礎疾患-3例、喘息2、肉芽腫性慢性肺疾患1)を見てみます。

 まず気づくことは、10例中9例が肥満であったことです(28歳男性、ボディマス指数 34.2、喘息、死亡/21歳男性、50.5、基礎疾患なし、回復/48歳女性、58.9、喘息、回復/35歳男性、51.5、基礎疾患なし、回復/43歳男性、48.7、基礎疾患なし、死亡/44歳男性、50.2、基礎疾患なし、死亡/51歳男性、39.7、慢性肉芽腫性肺疾患、調査時入院中/53歳男性、38.5、基礎疾患なし、回復/53歳男性、38.5、基礎疾患なし、回復)。BMI指数が30以上の者が9例(残り1例は体重は72kgであったが、身長が不明なため算出できず)、そのうち40以上の者が7例もいました。

 BMI(Body Mass Index, ボディマス指数)は、体重と身長の関係から算出する、人の肥満度を表す指数です。体重(kg)を身長(m)を2乗したもので割って求めます。例えば、体重60kgで、身長が170cmならば、170cmをメートル単位の1.7(m)にして2乗します(1.7×1,7=2.89)。体重の60(kg)をこの2.89で割ります。60÷2.89=20.76となり、BMIは29.76です。日本では、18.5未満を「やせ(underweight)」、18.5以上~25未満を「標準(normal range)」、25以上~30未満を「肥満(overweight)」、30以上を「高度肥満(obese)」としています。

 米国ミシガン州からの報告では、重症入院患者の10例中3例がなくなっています。その1例を見てみると、Age (年齢)-43歳、Sex(性別)-M(男性)、基礎疾患(underlying conditions)-なし(none、例えば喘息(asthma)ではないということ)、初期症状(initial signs or symptoms)-発熱、咳、不快、寒気、発汗(Fever, cough, malaise, chills, sweats)、ボディマス指数(BMI)-48.7、発症から受診・入院までの日数(the number of days between onset and first hospitalization)-4日(10例の中央値は6日 (範囲1日~7日))、発症からICU入室までの日数(the number of days between illness onset and surgical Intensive Care Unit admission)-5日(10例の中央値は8日 (範囲5日~16日)) 中央値8日 (範囲5日~16日)、人工呼吸(advanced mechanical ventilation)-高周波振動換気(high-frequency oscillatory ventilation)から、膜型人工肺体外循環治療(エクモ、extracorporeal membrane oxygenation)へ、症状(diagnosis)-肺塞栓(pulmonary emboli)(注-肺塞栓症は、血栓が肺動脈に詰まって酸素を取り込めなくなる病気。肥満体型の人は発症しやすい。)、多臓器不全症候群(multiorgan dysfunction syndrome)、昇圧薬(vaso-pressors)-使用(Yes)(注-敗血症性ショックの場合に使用される)、結果(outcome)-死亡(death)です。

2009年8月22日配信の読売新聞の記事からです。

 肥満などメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や妊娠は、新型インフルエンザによる死亡の危険性を高める恐れがあることが、フランスの研究チームの分析で明らかになった。肥満は、これまでの季節性インフルエンザでは死亡の危険因子とは考えられておらず、新型の特徴である可能性もある。研究論文は欧州の専門誌(電子版)に掲載された。
 研究チームは、世界保健機関などが発表したデータをもとに、4月~7月に新型インフルエンザで死亡した27カ国の574人を分析。生前の健康状態が分かる241人のうち9割に持病があった。最も多かったのが、そのうちの3割を占める肥満や糖尿病などのメタボ患者。妊婦は、死亡した20~39歳の女性の3割で、季節性インフルエンザと同様に新型でも死亡の危険性が高まるとみられる。


 外国での例を見ると、日本で肥満者の死亡が出ていないのが不思議にも思えます。肥満の人は感染予防対策をしっかりととって、インフルエンザに感染しないようにして、できれば肥満を本格的流行期以前に解消しておくのがいいでしょう。私たち、「ハイリスク群」にも小中高校生にも属さない者たちはワクチンの接種は、来年以降を待たなくてはならないのです。重症化する可能性は私たちは低いですが、肥満の人はその可能性が高いのです。それでも優先順位には入れられていません。どうぞ十分に気をつけて下さい。

 石ちゃん、インフルエンザウイルスに狙われてますよ。

                  (この項 健人のパパ)

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