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 物質は「原子」でできていますが、原子の中には「中性子」をつかまえて分裂するものがあります。例えば、ウラン235がそれです。ウラン235は中性子をつかまえて分裂するのですが、そのときに中性子を放出します。すると、その「中性子」が別のウラン235を分裂させることになります。これが核分裂の連鎖反応です。

 核分裂ではエネルギーが放出されます。この熱エネルギーを運動エネルギーに、さらに電気エネルギーへと変換し、利用するのが「原子力発電」です。核分裂からエネルギーを取り出すには、核分裂反応を自由に制御できなくてはなりません。核分裂反応の引き金になる中性子を制御することで核分裂反応を制御することになります。

 原子力発電所の多くは、「水」を用いて中性子の速度を減速し、中性子をよく吸収する炭化ホウ素などでできた「制御棒」で中性子の数を減らすことで、核分裂反応を制御しています。ウラン235などでできた「燃料棒」を水中に浸し、その間に制御棒を差し抜きすることで、中性子の制御を行なっています。

 福島第一原子力発電所では、燃料棒の間に制御棒が差し入れられ、核分裂連鎖反応は止まっています。

 原子力発電の厄介なところは、人間などの生命体に強い傷害を与える放射線を出す物質を扱うことです。燃料棒の中の「ウラン235」は核分裂を起こして消費され、セシウム133、ヨウ素135、ストロンチウム90などといった「核分裂生成物」へと変わっていきます。この核分裂生成物も熱エネルギーを出し、また放射線も出しています。これを原子炉という限定された場所で行なうことで、放射線による環境への影響を少ないものにしています。

 福島第一原子力発電所では、地震の被害で燃料棒を浸している水の供給装置への給電が損なわれて新たな水の供給ができず、残っていた水も蒸発で失われたことから、現在は海水を注水して、原子炉の温度を下げる努力と給電の復活の努力が並行して行なわれているようです。

 この作業には放射線の被曝を避けられず、健康被害が出ることが充分に考えられ、志願して作業に従事されている方々への感謝の気持ちは言葉に表せません。

                  (この項 健人のパパ)

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