土佐礼子 Vol.2

世界陸上女子マラソン、銅メダリストの土佐礼子は紛れもないアスリートです。
それはこのふくらはぎを見れば誰もが納得します。
女性のものでもない、ミセスのものでもない、走る為だけに鍛え上げられ、無駄をそぎ落としたアスリートの脚がそこにありました。
全身を、誰よりも早く走る為に創り上げた身体でライバルたちと戦う姿には、何の理由も無く心を打たれます。
アスリートから放たれるオーラのようなエネルギーを受け取った沿道の人達は、心からの応援の声としてエネルギーを送り返す。
そしてその応援をバネに、さらにアスリートはパワーをチャージする。
そんな熱いエネルギーの交換をウェーブのように重ねながら、42.195km走り抜けるマラソンは、陸上競技の中でも特別な存在なのかも知れません。

土佐礼子

輝かしい銅メダル。
土佐礼子の渾身の走りが、日本中の心に響きました。
レースのラスト39㎞地点、先頭集団から脱落し始め5位の位置へ大きく離された時、応援している自分の中で「メダルはダメか…」と諦めた気持ちになっていました。
ここまで熾烈なレースを走り抜き、もう追い上げは無理と思われるほどの過酷な気温の中で、誰よりも諦めていなかったのが、土佐自身でした。
公園外でケニアを抜き、40km地点で中国の朱暁琳を捕らえたあとは、信じられないことに、更に上を目指して走りに力が入りました。
スタジアムに入る手前、歯を食いしばって追いつこうとするこの姿を目にした、沿道全ての人たちの気持ちが、土佐の背中を強く、強く押し続けているようでした。
久しぶりに心が熱くなった、暑い大阪の一日でした。