映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
レイモンド・カーヴァーの短編を読んでみた。
山の辺の道で、鶏を見たので、
最近読んだ本のことを書こうと思う。
「羽根」というタイトルで、
レイモンド・カーヴァーの短編集「大聖堂」の一篇。
図書館でたまたま「頼むから静かにしてくれⅠ」と一緒に
カーヴァーを2冊借りたものの、積読で、
もう返さなきゃと枕元に置いてあった。
他に読む本もなく、短編集という読みやすさも手伝って、
寝っ転がりながら、10日間くらいかけて、
ちょこちょこと読んだ。
とっつきにくい作家で、
いまひとつ、クライマックスとかもなく、
共感できる登場人物も現れず、
淡々と終わって、
結末も投げ出されたかのようだったりして、
いまひとつ、面白さを感じなかった。
といいつつ、訳が村上春樹ということで、
最後まで読了したのだけれど、
この「羽根」が一番好きかもしれない。
鳥といっても、孔雀である。
名前まである。
ジョーイという、年老いた、でかい鳥。
家の中に入ってきたりして、とてもユニーク。
主人公夫婦が夕食に招かれた同僚が飼っているのだ。
孔雀が、家の中を駆け回るのが目に見えるようで、
飼い主の家族がジョーイのことを愛しているのも伝わり、
皆、どこかイキイキしている。
主人公夫婦は
「あの臭い鳥」、「考えただけで気色わるい」と悪口放題だけれど、
どこか愛情を感じる。
次に「ささやかだけれど、役にたつこと」。
これは文句ない大傑作。
パン屋さんに息子の誕生日ケーキを予約にいった主婦の話。
まさに映画的で、
ふたつの人生がたまたま交わった夜明けに
焼けてくるパンのにおいが涙を誘う。
「頼むから~」の中で好きな短編は、
「サマー・スティールヘッド(夏にじます)」。
たまたま川で出会った少年と二人がかりで
大きなにじますをとらえる。
どうやって分けるか。。。
分けたにじますを持って帰った時の家族の反応は。。。
シュールだけど、すごく人間的と思えるとき、
腑に落ちる。
何年後か、小説のことは忘れても、
孔雀が走り回ったり、鳴いているシーンや、
にじますを追い詰めようと躍起になっている少年たちの姿は
覚えているような気がする。
それでふと思い出したのだけれど、
数年前に、ドストエフスキーの小説の訳をしている
ドイツの女性のドキュメンタリー映画を観た。
とてもよかったので、自分を鼓舞する意味で、
リンクをはっておきます→
No1166『ドストエフスキーと愛に生きる』~翻訳家の老女のたたずまいの美しさ…その半生をたどる~
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