No615『夏時間の庭』~受け継がれる美と輝き~ - パラパラ映画手帖
goo blog サービス終了のお知らせ 
goo

No615『夏時間の庭』~受け継がれる美と輝き~

京都駅ビルでのフランス映画祭の最終日の最終回。
緑の木漏れ陽のなんと美しいこと。

母が住んでいた田舎の家には、
著名な画家だった大おじさんの集めた家具や絵画が
山のようにあり、
母は大切にそれらを慈しみ、管理していた。
映画は、母の誕生日に、兄妹弟が久しぶりに集まり
食事を楽しむシーンから始まる。

そして、その母が亡くなる。
外国で暮らす妹弟を前に、
長男のピエールは、家を手放す決断に迫られる。
そんな家族の姿が、とても温かく、率直で
正直だからこそぶつかったり、仲直りしたり、
とてもいい感じだった。

家は売られることになったとはいえ、
貴重な家財は、美術館で展示され、
新たな人々に見つめられ、出会いが生まれていくだろう。

家は、かつてと同じように
暖かい太陽の光に包まれ、木々が心地よい木漏れ陽を生み出す。
ピエールの娘が、たくさんの若者を呼んで
パーティを開く。

娘が恋人を、家の近くのお気に入りの場所に連れていき、
寂しさを口にするが、
友達に呼ばれて、家の方に帰って行き、映画は終わる。

絵画や、家具、花瓶などの芸術品を
次世代へと受け継いでいくことの尊さ。

高価な花瓶だって、ちゃんと花を生けて
日々の生活の中で使ってこそ、より輝くという考え方もある。

そんな深い問いをはらみながらも、
受け継がれていく生の営みのようなものを感じさせる、
美しい作品。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« No614『悪人』... No616『男と女... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。