噛みつき評論 ブログ版

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期限切れ食品の安売りに80%が賛成

2008-12-11 09:34:04 | Weblog
 『賞味期限が切れて2年が過ぎた炭酸飲料が10円、1年過ぎたチューブ入り調味料は38円――。東京都江東区の食品スーパーが、「モッタイナイ商品」と称して賞味期限切れの格安商品を専用コーナーに陳列している。
 保健所から指導を受けても、「まだ食べられるものを捨てる方がおかしい。今の日本人は無駄をしすぎ」と撤去を拒否。「期限切れ」と明示しているので、日本農林規格(JAS)法違反には問えないという。(中略)「期限切れ品」「試飲済みです。風味OK」と添え書きもある。』(08年12月5日14時36分 読売新聞記事より)

 この記事に対しYAHOOニュースが『「モッタイナイ商品」販売に賛成? 反対?』とアンケートを募ったところ、次のような結果となりました(投票総数 60206票)。
 賛成        80 %
 反対        12 %
 どちらともいえない 10 % (合計が100になりませんが、理由は不明)

 賛成が80%というアンケート結果は意外なもので、モッタイナイという伝統的な価値観は依然として健在であることを示しています。

 一方、11月19日付日本経済新聞には「安全求めて食材買出し」と題して手間暇をかけて遠方へ買出しに行く主婦たちを紹介し、その中に「食品の安全性への不安感」に対する調査結果(08年)を載せています。

 非常に不安である   25.2 %
 やや不安である     54.6 %
 あまり不安ではない  17.6 %
 まったく不安ではない   2.0 %

「非常に不安である」と「やや不安である」の合計は約80%に達し、これは前年より4ポイントの増加で、男性より女性の不安感が強いと解説されています。4人に1人が「非常に不安である」と思っていることになります。そんな気分で食べていてはきっと楽しくないことでしょう、お気の毒ですが。

 賞味期限切れ食品の販売に80%の人が賛成する一方、食品の安全性に不安をもつ人が80%、どう理解すればいいのでしょう。設問も調査の対象も異なる二つの結果を比較するのは無理がありますが、食品への信頼に関するあまりの違いにとまどいます。ただ女性に不安感が強いのはワイドショーを視聴する時間の長さと関係があるかもしれません。

 食中毒による死者は1955年の554人から減少傾向が続き70年には23人、ここ10年間はほぼ数人となっています。原因物質もほとんどがフグ、キノコで、少数の感染症が含まれます。統計上、安全性が低下している事実はなく、不安の増加は根拠があるものとは思えません。不安はメディアの誇大報道の結果と考えられ、非常に不安な気持で毎日を送っている25%の人の生活の満足感(QOL)は大きく低下するでしょう。

 食品スーパーの経営者は、「戦時中は落ちているものも食べた。今の日本人はまだ食べられる食品を大量に廃棄しているが、犯罪に等しい行為」と話しているそうです。この試みが、食品に対する過剰な不安が広がる状況に一石を投じることになればと思います。