日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

JRAはイコール農水省の立場で、競馬のガラパゴス化を見直すべきと思う件

2013-11-29 | 経営
先週は競馬の世界では、国際G1レースのジャパンカップが開催されました。近年はなぜか出走メンバーは非常に低調。外国馬招待レースながら、海外からの参戦はわずか3頭。レベル的にもイマイチ。原因と思しきは、日本特有の日本馬に有利な硬くて高速な芝コースに尽きるのでしょう。

確かに日本馬のレベルアップはありますが、ここ10年で2着までに入った外国馬がわずか1頭では、例えアゴ足付きの招待レースといえども有力馬はわざわざ汚点を残しに来ないのです。同じことは今週末開催のジャパンカップ・ダートにも言え、ダート競馬の本場アメリカとは大きく異なる深く重い砂に、外国馬は嫌気して近年では3年連続外国馬の参戦なしなどという事態にも陥っているのです(ちなみに今年は1頭のみ参戦予定)。

日本の馬のレベルが低かった間は、日本特有のレース条件下でも外国馬の活躍が目立ちあまり問題視されることはなかったのですが、ここ約20年、海外名種牡馬大量輸入による日本馬のレベルアップにより、はからずも日本競馬のガラパゴス化が脚光を浴びることになったと言えるのではないでしょうか。

蛇足になりますが、有力日本馬の凱旋門賞参戦によるジャパンカップ出走日本馬のレベルダウンの問題もレースの価値を半減させてもいます。今年も、現役最強馬オルフェーヴルや本年のダービー馬キズナは凱旋門賞出走を選択し、ジャパンカップ出走の日本馬は二番手グループのトップ争いの様相を呈してもいます。日本の馬は一層国際化して海外の最高峰レースにチャレンジしていく中、我が国の競馬の国際化は取り残されてしまった感が強く漂っているのです。

ちなみに今週末に開催されるジャパンカップ・ダートは、聞くところによれば来年度より大幅に改編され、ジャパンカップの冠は遂にはずされることになると言います。本家ジャパンカップも、外国参戦馬の減少と日本馬を含めた出走馬のレベルダウンが続くなら、ジャパンカップ・ダートと同じ運命を辿るのは確実であるのではないでしょうか。

さて私が、なぜこの問題をことさらに取り上げたのかです。なによりJRAという団体の立ち位置が気になるのです。JRAは農林水産大臣の監督を受け政府が資本金の全額を出資する政府直轄の特殊法人。言ってみれば、誰が見てもイコール農林水産省と言っていい団体であり、その団体が取り続ける「見かけ上は国際化その実ガラパゴス」という偽りの国際化姿勢が、我が国の農林水産分野の象徴として海外に伝播される懸念を感じるわけなのです。杞憂に過ぎないのかもしれませんが、TPP交渉に悪影響を及ぼすことがありはしないかとは老婆心ながら思うところであります。

競馬のおもしろみ云々は別にしても、JRAは政府関連機関の立場の重要性に鑑み、競馬レース条件のガラパゴス化を早期に解消し、国際社会に向けてのフリー、フェア、グローバルな日本のイメージをメッセージできるよな改革に乗り出す段階に来ているのではないでしょうか。