静聴雨読

歴史文化を読み解く

「政治的アパシー」と無党派・2

2009-07-25 01:00:00 | 社会斜め読み
「政治的アパシー」が現われる典型は、投票行動における「棄権」です。
「政治的アパシー」は、地方よりも都会地でより激しく観測される、といわれます。都会地の方が、例外なく、投票率が低いのです。
また、「政治的アパシー」は、若年層により顕著に見られることが実証されています。

さて、「無党派」ということばがあります。特定の政党の支持層ではなく、投票ごとに、投票先を決める人たちのことを指します。かつては、「浮動票」ということばが充てられましたが、現在では、侮蔑感が漂うという理由で、使われなくなったようです。

実は、「無党派」には2種あります。「棄権する無党派」と「投票ごとに、投票先を決める無党派」とです。この2つは一緒くたにできません。

先日の東京都議会議員選挙では、投票率が54%に上がりました。前回が44%ですから、10%も上がったわけです。
その原因は、「棄権する無党派」が減り、「投票ごとに、投票先を決める無党派」が増えた、というところに求められます。「政治的アパシー」に沈むだけの有権者が確実に減少しているようです。

今年に入って何度かあった世論調査では、例えば、「定額給付金」の施策に賛成しない人が60%以上いたり、「世襲政治家」の制限を求める人が過半数いたり、民主党党首に「政治と金」の説明責任を果たすよう求める意見が70%を超えたり、というように、わが国の国民が急に賢くなったような印象を受けます。

その究極の選択が、「一度は政権交代させてみよう」という「民意」のようなのです。政権与党がどうだ、民主党がどうだ、との議論は措いておいて、一度政権交代させてみて、その結果を見てみよう、という考え方は、今まで見られなかったものです。このような「民意」の形成に、「投票ごとに、投票先を決める無党派」の力が与っていることは間違いないでしょう。

8月30日に衆議院選挙が行われます。  (終わる。2009/7)