in my room

静かなパラダイス

風に吹かれて…

2007年08月01日 | Weblog
「Blowin' in the wind」
公民権運動、反戦を歌ったボブ・ディランの名曲。



「時間があれば観た方がいいですよ」と薦められて、
『アヒルと鴨のコインロッカー』という邦画を観てきました。
これは伊坂幸太郎原作の仙台が舞台の青春?ミステリー?映画です。

これがなかなか面白い。
僕はオッサンなので感受性が劣化してきている部分があり、
モロ手を挙げて“傑作!”とは言えないんだけど、
余韻というのかな、しばらくは心のどこかに残りそうな映画でした。



最初はユル~い学園物かな、と思いきや
だんだんとシリアス、辛い状況が露呈してきて
「アレ?アレレレ?そうなんだ?」という風にいろんな伏線が繋がって
「そういうことだったのね!」ということになる。
オチもしっかりと用意されていて緻密に計算された良くできた映画でした。

原作は読んでいませんが、伊坂さんはなかなかの書き手だと思います。

ボブ・ディランの「風に吹かれて」が全編で使われていて
この映画の核となっているのですが、少々引っ掛からないこともない。
ボブ・ディランは誰もが知っている偉人だし、この歌は超有名。
ということは “ディラン>映画の内容や登場人物”
という図式に陥ってしまう可能性が強い。
少し時間が経ってこの映画を語る時に
「あっ、ディランの映画だよね!」ということになりかねない。
だから有名な歌を使用するのは考えものだ、というのが僕の意見です。
結局、ボブ・ディランの一人勝ちということになってしまう。

それからブータン人と山形県人を映像で見せてしまうところも
OKなんだけどちょっと惜しい。
「広辞苑」と「広辞林」の差もちょっとツラいですね。
全然違う辞書(本)なら解るんですが…
あまり言うとネタバレになってしまうのでこのへんで止めときます。



日本人は緻密で丁寧な仕事をする。
それは素晴らしいことなんですが、何もかもが「いたれにつくせり」。
「干渉過多」と僕は言っているんだけど、省くことも必要だと思うんです。
例えば電化製品を買うと
「熱くなりますので火傷にはお気をつけください」
などのシールが張ってある。デザイン的には不要です。
取説などもくどい程に懇切丁寧に書かれているけど、
分量がかさばって結局、肝心な部分がどこにあるのか解らない。
この映画に関しても「説明的」な部分が目につきます。
このあたりがちょっともったりとした印象を受けるし、
(スピード感、躍動感の欠如)
シュールな話の魅力を少々奪っているように感じました。

「百聞は一見にしかず!」
まだ観ていない人にはお薦めです。