大勢のファンに追いかけられて
スーツ姿のビートルズが走る、こける、また走る…
冒頭のこのシーンだけでこの映画は☆☆☆☆☆。
なんと瑞々しい映像なんだろう!
「ア・ハード・デイズ・ナイト」(1964年・モノクロ作品)。
コメディ・タッチが利発な4人組(ビートルズ)に
ピッタリな愉快な映画です。
途中で「ア・ハード・デイズ・ナイト」が
ジャズのアレンジで流れるシーンがありますが、
このあたりのセンスが何とも素晴らしい。
60年代のロンドン、登場人物はビートルズ以外は
全員大人、そしてお爺さん一人(笑)。
コメディだけどチャチじゃない…
リチャード・レスター監督、冴えてます!
「ヘルプ」(1965年)
予算がついた大作でカラーになりました。
この映画もリチャード・レスター監督、コメディです。
物語が増えて大掛かりになった分、支離滅裂で散漫な印象に…?!
歌や演奏シーンも入れないといけないので、ちょっとキツいかな?
しかし、アルプスでのスキーやバハマで歌うシーンは
「はっ!」と息を飲むほどの素晴らしい映像感覚…
CM出身の監督だけあって“ツボ”はしっかり押さえています。
演奏シーンはメチャメチャ格好いいなぁ!
「マジカル・ミステリー・ツアー」(1967年)
この映画は大失敗作と酷評されました。
映画としてはダメですね、まるで素人作品です。
しかし、この頃のビートルズは
リバプールのアマチュア時代から兄と慕っていた敏腕マネージャーの
ブライアン・エプスタインが急死して(薬?32歳!)、
人気絶頂で巨大化するビートルズの舵取りを
自らでやらざるを得なくなった時期なのです。
ですからこの映画のプロデュース、監督はビートルズがやってます。
映画としては×ですがミュージック・ビデオとして見れば…
当時はもちろんミュージック・ビデオなど存在しない時代。
時代を先取りした先鋭的でクリエイティヴな映像表現として
再評価されるのも頷けます。
映画科の学生だったスピルバーグも注目していたそうです。
僕はサイケ&(薬で)ラリったビートルズが見れるだけで大満足。
何といっても曲のクォリティは素晴らしいですからね!