1630年代にオープンしたというバー
9月29日~10月3日、お仕事でオランダに行ってまいりました。
お仕事以外で現地で会ったオランダ的なものを点描したいと思います。
なんか、こうやって書いてみると、出張報告よりテキスト量あったりしてw(そんなことはありませんキリッ)
それはさておき・・・
時差ぼけ解消で毎朝10kmほど走っていました。後日、お客さんの運転する車で市内をドライブしていると、
「あっ。この交差点右ね。」「何で知ってるの。」
「あっ。ここ今朝走りました。」「えっこんな遠くまで走ったの。」
朝ランしていたことが速攻でバレました。やはり、見知らぬ土地に来たら出張ランに限りますね。
・・・朝ラン風景・・・
自転車カフェなるものが
PSVアイントホーフェンのスタジアム
浮かぶ自転車専用ラウンドバウト
<国民性>
そんな朝の住宅街を走っていると、興味深い光景が・・・
住宅の窓という窓に、カーテンがかかっていないのです。つまり、外から丸見え。
どうやら、カーテンを閉めると逆に良からぬことをしているかもしれない、と疑われてしまうそうです。
仕事中も、オランダ人のGMやVPが、
「私たちはDutchだから、論点は全部卓上に広げてオープンにしましょうよ。」
「私たちはDutchだから、大国のような考え方はできません。」
と何度も繰り返していたのが印象的でした。
オランダ人とビジネスをする(かもしれない?)点で国民性への理解は大切ですね。
<ストループワーフェル>
朝市をやっていました。オランダ人の同僚が、ワッフルのスタンドを見つけるや否や、一直線に突撃。
「娘が好きなんだよ~。アメリカでは入手困難だから、大人買い。」と大量に買っていたのがオランダ風ワッフル、「ストループワーフェル」。ワッフルはベルギー語。ワーフェルはオランダ語。ゴーフルはフランス語。
ストループワーフェルは蜂蜜やキャラメルをキメの細かいワッフルで挟んでいます。そのままで食べても美味しいですが、コーヒーの上に蓋のようにしておいて、1分ほど蒸らしてから食べると中のキャラメルが糸をひいてトロ~リ。この食べ方は、オランダ航空でもそうやって出るらしいです。帰国時に5パック(50枚)ほど空港でお土産に買いました。職場でも絶賛されるこの旨さ。
嫁曰く「知らなかったの?かっぺね~厚木人はw」「スタバにあるよ。」とのこと。
でも、日本にストループワーフェルのお店は神戸に一軒しかないのよね。
50枚といわず、500枚位買ってくればよかったよ・・・
<コロッケ>
先ほどのオランダ人の同僚と行動していたので、オランダ的食べ物をたくさん、紹介してもらいました。
庶民にとってのソウルフードはコロッケ
(そしてニシンの酢漬け)。
もちろんホカホカのフライドポテトを添えて。
市場など、たくさんの人がファストフード的にコロッケを食べていました。
駅のキオスクにはコロッケの自動販売機もありました。
いかぬ。お腹がグー
また、朝市ではチーズ工場の名を冠したトラックが広場にどかんと横付けし、トラックの荷台全部チーズというお店もありました。
③自転車レーン
オランダは、言わずと知れた自転車の国。
といっても、走っているのは実用車ばかりで、ロードバイクは3%いくかどうか。しかも全てオランダ製の自転車です。どうやら、国策として自転車産業が保護されているらしく、中国や台湾製の自転車で溢れているわけではありません。また、ここ数年で電動自転車の普及が急速に進んだ模様。
電車の車窓から見える田園地帯を蛇行するサイクリングロード。風の強い日でしたが子供たちはパックになって風除けローテをしているように見えました。ママチャリにのったおばちゃんが、横風区間でエシュロンを組む光景は見ることが出来ませんでしたが、
坂で普通のママチャリにのったお姉さんに抜かれ、その後電動自転車に乗ったおじいちゃんに抜かれ、下りで踏んでも追いつかず、オランダの競技レベルの高さを肌で感じることが出来ました。
道路は、少なくとも市内は車道あるところに自転車道あり、ということで塗装の色をかえた自転車レーンがどこまでも続きます。この自転車レーン、対面通行なので結構怖い。しかもスクーターは自転車レーン見たいです。街中では自転車が結構なスピードでかっ飛ばしています。ロードバイクは全然見ませんでしたが、高速でチーム練するときは、どっちを走るのでしょうかね。
最終日に半日暇が出来たので、アルンヘムの町を2時間ほどママチャリで走ってきました。
レンタル自転車も充実しているのでお勧めです(デポジットで50ユーロとられるので、キャッシュは潤沢に。)心拍計持っていってよかった。
④マーケットガーデン作戦
最終日に半日ほど、自由時間が出来ました。
さて、どこ行こう。考えていたのは自転車ショップ訪問。ですが、めぼしい店がない。
町の自転車屋はママチャリばかり。
次に考えたのがフランダースやルーべの石畳。これはちょっと遠すぎる。またの機会に。
そして、ミリタリーおたくの血が騒ぎ出す。なにせここ、アイントホーフェンはマーケットガーデン作戦の舞台の1つ。
マーケットガーデン作戦とは・・・
++ウィキぺディアより++
第二次世界大戦中の1944年9月に行われた連合国軍の作戦。 連合軍がドイツ国内へ進撃する上で大きな障害となるオランダ国内の複数の河川を越えるために、空挺部隊を使用して同時に多くの橋を奪取する作戦であった。
連合軍は途中のナイメーヘンのライン橋の占領までは成功したものの、空挺降下計画の稚拙さと強引さ、補給の途絶など悪条件が重なり、損害が予想以上に拡大した。作戦の最終到達点であったアルンヘムの最後の橋は、イギリス軍の第1空挺師団が壊滅するなどしたために確保できず、作戦は失敗に終わった。
私のいたアイトホーフェンは、アメリカの101空挺師団の担当で、比較的スムーズにドイツ軍を駆逐し、市民に解放軍として花束を持って迎えられます。
とはいえ、爆撃で町は灰塵に帰していますが。
もうひとつ北の町ナイメーヘンも同様に陥落。
Band of Brothersでも
解放シーンがありました。
最も援軍から遠く、長い日数敵の前線の後ろで持ちこたえなければならなかったアルンヘムの街そして、鉄橋の奪取はイギリス第一空挺師団の担当区域。しかし、イギリス空挺兵が降下した町には、いないはずのドイツ軍エリート機甲師団がいた・・・
徒手空拳でタイガー戦車と戦うイギリス兵の運命やいかに。
興味があったらロバート・レッドフォードさん主演の「遠すぎた橋」を見てくださいね。ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ローレンス・オリヴィエ、エリオット・グールド、マイケル・ケイン、ショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンスなど、往年の名俳優がオールスターキャストで出演していますよん。
というわけで、目指すは激戦地アルンヘム。その郊外の町、ウーステルベックにある空挺師団博物館であります。
アルンヘムの駅の地下の駐輪場でレンタルサイクルを借りて、5kmほど郊外へ。
博物館につくと、対戦車砲(これはグライダーで運んだ)とシャーマン戦車がお迎えしてくれました。
司令部になっていた旧ホテルを改装して博物館にしていました。展示物を見て、映画を見て更に当時の状況に思いをはせます。
うわぁ・・・
本物だわ~
作戦自体については、既に知っていたこともあり、ミリタリー的にはあくまで確認、という博物館訪問だったのですが、その中で現地に来ないとわからなかったことが二つありました。それは、イギリス兵と現地市民との関係です。
その1つがこれ。
To the people of Gelderland
50 years ago British & Polish Airborne soldiers fought here against overwhelming odds to open the way into Germany and bring the war to an early end. Instead we brought death and destruction for which you have never blamed us. This stone marks our admiration for your great courage, remembering especially the women who tended our wounded. In the long winter that followed your families risked death by hiding Allied soldiers and airmen, while members of the Resistance helped many to safety.
ゲルダーランドとはアルンヘム地域のこと。
イギリスとポーランド兵は、ドイツ軍との戦場となったゲルダーランドに破壊と死をもたらしたが彼らは決して連合国兵を責めなかった。多くの女性が傷病兵を看病し、イギリス軍撤退後に敵占領地に取り残された連合国兵を死を賭して匿い、安全に敵の前線から返した。われわれはあなた方との友情を決して忘れることはないだろう・・・
まぁこんなことが書いてありました。
作戦が失敗し、一度は奪ったアルンヘムの町は1944年の冬から終戦まで再びナチスドイツの手に落ちます。
既に市街戦が始まる前から、アルンヘムの数万の市民は市街地から強制退去させらて、酷い体験をしていました。
それに追い討ちをかけるように、1944年は飢饉がオランダを襲います。ドイツは被占領国民のオランダ人の面倒をみる余裕はありません。この年オランダでは2万2千人が餓死したといいます。この苦難のなか、アルンヘム市民はイギリス兵を匿ったのです・・・
こういった戦災にあった市民の経験、口述は日本にいて本を読むだけでは決して知りえないこと。貴重な訪問となりました。
このあとすっかり厳粛な気分になり、3000人の兵士が眠る共同墓地の前で1時間ほど、風の音を聞きながら黙祷していました。
風が吹いていました。
これが、死闘の場所となった「遠すぎた橋」の現在の姿
⑤オランダ鉄道
日本の新幹線にあたるICE (Inter City Express)は、私の滞在した地方都市には来ていませんでした。
それでも、速達型のIC (Inter City)で十分速い。最高速は160kmでオールダブルデッカー。
出張中なので、空いている1等車にしました。社内ではWiFiも使えてとても快適。
最終日に、直接アムステルダムに向かわず、アイントホーフェン - スヘルトーヘンボス - ナイメヘン – アルンヘムと移動しました。
スヘルトーヘンボス - ナイメヘン間はSprinterという丸鼻の普通列車。
一部コーチのような団体向けの座席もあって、旅情が深まります。各駅なので、沿線の乗客も細かく観察することができてよかったな。
ドイツもそうですが、欧州の鉄道は日本のように常に決まった路線を走っているわけではありません。
駅の表示を良く見て、どの電車がどこに行くのか、接続は、そして今プラットフォームにいる電車が定刻どおりか、確認する必要があります。JRのように駅や電車に親切な行き先案内表示をそこかしこにあるわけではないですが、慣れの問題かと。しかし、迷ったときのために、土地勘はあったほうが安心かな。GPSを使って、都市間の相対的な位置関係が頭に入っていると安心でしょうか。
私はミリタリー&歴史&自転車おたくなので、このエリアは意外と知ってました。