アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

月末の報告

2009-06-02 09:11:29 | インポート
先月の活動報告や、諸情報に関してはおいおいUPさせて頂くことにして、先週の5月29日(金)、30日(土)の報告をします。
って、こんなに字が多ければ読みたくなくなりますね(しかも、大した内容もなくスミマセン)。
29日夜は北海道大学アイヌ・先住民研究センター講演会として、「WiPCE(World Indigenous Peoples' Conference on Education)参加報告会」に行って来ました。

WiPCE(ウィプシー)とは、3年に1度おこなわれる教育のための世界先住民族会議。各国から3,000人もの先住民が集まり、教育について様々なテーマで分団に分かれて議論するようです。
今回は、昨年12 月に開催されたオーストラリア・メルボルン会議に参加されたメンバーからの報告でした。参加者の皆さんはそれぞれ違う分団に参加されたようで、その発表内容などを聞かせてくださいました。

特に川上将司さん(北大アイヌ・先住民研究センターアイヌ文化担当職員)の報告に興味を持ちました。
オーストラリアのクーリー民族は失われた言葉を自分たちで作り直しをしているとのこと。
2年をかけて自分たちで文法書を作り、それらを増やし続けているそうです。言葉をつくりだす際に4つのこと、①ことばへの思いやり、②熟考、③意味をつなげる、④多言語からの借用を重視して作業をしているのだそうです。奪われた言葉を自らで作り上げるとはすごいことですね。

アオテアロア(ニュージーランド)のマオリ・ワイカト民族では、「言葉に関する公開討論会」を大学で定期的に開催するそうです。その会場になるのが「マラエ(marae)」と呼ばれる建物で、その場はこの世的な上下関係(年齢、職種、学歴、貧富)は発生せず、みな平等だというのが原則だそうです。祈りからはじめ、すべてマオリ語のみで2時間ほどの議論をし、最後に食事をして終了だそうです。みな自分の言葉で話せることを喜ぶのだそうです。このようにして自らの民族性を伝えていくようです。
みな平等で最後に食事を共にするというのがいいですね。

川上さんはご出身の二風谷で行なわれている事業「アイヌ文化環境保全対策調査」で学んだアイヌ文化やアイヌ語について発表されたようです。そして、一番いま力を入れていることは、アイヌ語で日常会話をされることとか。いいですね~



翌日、石井ポンペさん(テケカラの会会長)のお誘いで、他国の先住民族の方が来られて植林作業があるというので、ご一緒させて頂く約束をし、朝7時に待ち合わせしました。午前中はしっかり汗をかこうと手ぬぐいを巻いていざ、会場へ。
そこにはポール・コールマンさん(アースウォーカー)、ジュネス・パークさん(NGO「Food And Trees For Africa」代表)、そして、上田札幌市長が来ているではありませんか。30人ほどで、今後始まる植樹作業の開催イヴェントとして、数本の木を植樹しただけでした。状況を察したわたしは首に巻いた手ぬぐいをすぐにリュックの中へ。そして、写真撮影へ・・・


時間が十分にあまったので、予定通り、北海道開拓記念館の第153回テーマ展「北海道開拓記念館所蔵アイヌのよそおい展」に向かいました。素晴らしい紋様の着物や装飾品が50点ほどあったでしょうか。旧い年代のもあり感動。
その後、少し歩いて「開拓の森」へ。地図を見ると、ありました! 浦河へ「入植」したキリスト者グループ赤心社の最初の礼拝堂が移転されて。40人ぐらいでいっぱいになりそうな、こじんまりとした可愛らしい会堂でした。講壇が50センチ以上高く、権威主義的な感じで違和感を持ちましたが、組合教会的なのでしょうかね?今度どなたかに聞いてみます。





午後はあわてて北海道立文学館に行き、その日から始まったテーマ展「語り、継ぐ。アイヌ口承文芸の世界」を観て、中川裕(千葉大学教授)、本田優子(札幌大学教授)おふたりの講演と対談「アイヌ口承文芸のなかの“恋愛”」を聞いてきました。

今回の企画展は
「アイヌ語・アイヌ文化の研究に大きな足跡を遺した知里真志保の生誕100年に当たる本年、「知里ノート」を所蔵する北海道立文学館・(財)北海道文学館、「久保寺逸彦文庫」を所蔵する北海道立アイヌ民族文化研究センターが共催し、知里真志保が在職した北海道大学の特別協力を得て本展示を開催」(文学館HPより)
とのことで、北海道立文学館、北海道立アイヌ民族文化研究センター、北大アイヌ・先住民研究センターのスタッフの皆さんが前日遅くまでかかって準備されたようです。ご苦労様でした。


展示は、「金田一京助(1882~1971)、久保寺逸彦(1902~1971)、知里真志保(1909~1961)ら研究の先達が遺した膨大な録音テープ、ノート、写真等の記録資料を中心に、現代まで語り、継いできた人々の営みを紹介することを通して、アイヌ口承文芸の豊かな世界を伝え」(案内説明より)てくれます。開催は7月20日まで。以下の文学館URLを参照のこと。
http://www.h-bungaku.or.jp/

講演では本田優子さんからは金成アシリロさん(登別)が語った「鹿の腹の中で赤ん坊が泣く」のエッセンスを解説つきで読み聞かせ頂き、中川裕さんからは木村キミさん(沙流川)が語った物語をいくつか紹介いただきました。

ウエペケレなどの物語の伝承者は多くは女性ですが、それらの物語には恋愛を重視した作品が多いことや、女性が積極的であること、女性の英雄も空を飛んだり術をかけあったりとかっこよく描かれていたり、というお話や、それぞれの男性性、女性性について語ってくださいました。

物語の中での男性は「純朴・単純」、女性は「現実的・狡かつ」と、いくつかの例を挙げられての説明でしたが、
お話のニュアンスからは、「そんな感じがする」という曖昧な表現だったので疑問に残りました。きちんといくつもの物語を聞かれて比較をされているのでしょうね、きっと。対談だったこともあるでしょう。

わがままを言えば、もう少し、こころが熱くなる“恋愛”物語を多く紹介くださったらよかったです。最近、恋愛に縁遠いですから、物語だけでも熱くなりたかった・・・

今日は数年ぶりの友人が北海道に研修に来られていると聞いたので午後に会い、夜はさっぽろ自由学校「遊」の講演を聞きに行きます。

「先住民族の権利に関する国連宣言」を読むⅡ アイヌ民族の権利回復に向けて
2009年6月2日(火)18:30~20:30
樺太アイヌの歴史と現状~先住民族の「越境権」を考える
●田澤 守(たざわ まもる) 樺太アイヌ協会会長
 日本とロシアの国境策定により、分断と強制移住を余儀なくされた樺太アイヌの歴史をひもときながら、先住民族の「越境権」について考えます。



『ウコ イソイタク 2009』 & 『マウコ ピリカ 音楽祭』

2009-06-02 09:05:39 | インポート
昨年の6月6日に衆参両議会でアイヌ民族を日本の先住民族と求める決議が可決しました。
それから一年です。有識者懇談会についてはまだ書きたいことも書けていませんので急ぎたいと思います。
(昨日は天塩の教会員訪問の後、名寄の道北センター理事会に出席して帰宅)。

ひとつだけ、新聞報道にも出ていますが、北大アイヌ・先住民研究センターで昨年行なわれた、
アイヌ民族の生活実態調査(速報版)が、センターURLで公開をはじめました。
センターURLは以下のとおりです。トップ頁に案内が出ています。

http://www.cais.hokudai.ac.jp/



さて、アイヌ民族は日本の先住民族と認められての一周年記念として講演会とコンサートが行なわれます。
土曜日なので牧師仲間の都合があわず、お預かりしているチケットが売れずに困っています。どなたかいかが?

2009年6月6日(土)  
『ウコ イソイタク 2009』 & 『マウコ ピリカ 音楽祭』@ヤマハミュージック北海道(札幌)

『ウコイソイタク 2009』
14:00-16:55(開場13:30)
入場無料

パネルディスカッション:「先住民族として認められた意義」
【パネリスト】
 佐々木和利(人間文化研究機構・国立民族学博物館教授)
 上村英明(市民外交センター代表・恵泉女学園大学教授)
 阿部ユポ(北海道アイヌ協会副理事長)
【コーディネイター】
 小野有五(北海道大学地球環境科学研究院教授)



『マウコ ピリカ 音楽祭』 Mauko Pirka Music Fes.
Starts:18:00 p.m.
Fee: 2,500/door (2,000/adv.)

【Performing Artists】
宮永天龍バンド with デボ
アイヌ・アート・プロジェクト
toytoy(Tonkor)
Menoko Team (from AINU REBELS)
マ-キー・ジョモラ(Degeridoo)
and MORE!


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[会場]
ヤマハミュージック北海道  札幌市中央区南10西1ヤマハセンター2F (011)512-6133
[お問合せ] 世界先住民族ネットワークAINU 札幌事務局:090-2056-0272
阿寒事務局:090-9519-9392



サクランボの花