アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

自由学校「遊」講座最終回「アイヌ民族が本当に求めている政策とは」報告  

2012-10-03 17:59:16 | インポート
9月25日、さっぽろ自由学校「遊」の前期講座「日本がアイヌにしてきたこと~アイヌ民族が本当に求めている政策とは」最終回はアイヌ民族党代表の萱野志朗さんでした。
講演はアイヌ民族党の政策としてではなく、萱野さん個人の意見(今、実際に何をしなければならないかの主張)だと前置きしてのお話でした。萱野さんは優先的に解決するべき課題として、以下を指摘。
①日本政府の「アイヌ民族政策に対する」総括が必要。
②アイヌ民族には国会における特別議席を認めるべき。
③アイヌ民族議会(仮称)の設置が必要。
④アイヌ民族の「自治権」が認められるべき。


いずれも重要な課題ですが、特に印象に残ったのはアイヌ民族として国政の場で意見表明できる機会をつくらなければならないといわれた事。
吉田邦彦著『アイヌ民族の先住補償問題』(2012/08/04自由学校遊発行)にも、民族としての集団的権利を認めていると紹介。
(補足・前掲書P10参照。そこで吉田さんは奥野恒久『アイヌ民族の文化享有権と日本国憲法』(法律文化社)の、個人の権利を害しない限りで集団的権利を認めてもよいとする考えを紹介しています)。

そして、アイヌとしての高度な「自治権」を求めるといわれたこと。「自治権」については、かつて野村義一北海道ウタリ協会理事長(当時)が1992年、国連「世界の先住民の国際年」開幕式典に招待された際の記念演説の中でアイヌ民族として自決権の要求をされたことに触れ、それが指針になると。
野村元理事長の講演内容は過去ブログ参照(http://pub.ne.jp/ORORON/?entry_id=1222432)

さて、「遊」の後期の連続講座の案内が届きました。

テーマは「アイヌ先住権とは何か?」。講師は市川守弘弁護士。先住権を法学から4回に分けて取り扱うとのこと。
①12/5 アイヌ問題を法的に考える
②1/16 アメリカ先住民法から学ぶこと、特に主権論
③2/6  アイヌ先住権を具体的に考える
④3/6  国の政策との対決、今後どう取り組むか (10/4訂正)
この講座も楽しみです。時間は19:00より、会場は「遊」。詳しくは下記へ。
http://www.sapporoyu.org/modules/sy_course/index.php?id_course=325




あまり見ない鷹の種類です。イヌワシでしょうか?


遺骨返還訴訟の訴状内容を続けます。
北大が盗掘したご遺骨を返還する意志があることをご遺族みなさんに伝えられていたかという点に関して前回記したように、多くの方は知りませんでした。
それ以前に、自分の先祖のご遺骨が盗掘されたこと自体も知らない方がおられたのです(あるいは、泣き寝入りしている方も)。

このような状況の中、原告のおひとりである小川隆吉エカシは北大に対して、関連資料を開示請求するのですが、そのきっかけは隆吉エカシから伺ったところ、とある一本の電話からなのです。
それは、2008年1月10日、小川エカシへ北海道大学医学部の一学生から、『北海道大学医学部児玉作左衛門収集のアイヌ遺骨台帳』(これを仮に『原本台帳』と付けます)を見つけたという電話が入りました。
小川エカシはその後、北大副学長と面談。その際に副学長はそれを認め、小川エカシに「このままではあまりにアイヌにとって差別的だから待ってくれ」と述べた、と。
小川エカシはどうしても開示させたいとの思いをもって、同年1月17日から北大に対し開示請求を始めます。
はじめに日本語のワープロで打たれたと見られる「アイヌ人骨台帳」1点のみが開示されました。小川エカシは「元となる台帳があるはず」と、北大に質問を出します。これに対し、北大側は「把握していない」と回答。さらに小川エカシは、開示文書は不完全と異議申し立てを行いつつ、一方で、副葬品およびその保管に関する文書一切の開示請求を展開。
その後、北大は数回に分けて計35点を開示しました。中には児玉作左衛門教授が担当していた「医学部解剖学第二講座」によるリスト「アイヌ民族人体骨発掘台帳(写)」(作成年不明)など、初公開資料も含まれていますが、当時の諸資料に照らして精査すると、遺骨人数や副葬品数などに多くの矛盾点が見つかったのです。
開示公文書を精査したした中、浦河町杵臼におけるアイヌの遺骨の発掘の事実及び発掘された遺骨数についてある程度の情報を得ることができ、小川エカシと城野口さん他一名のご先祖のご遺骨の情報を得ることが出来たのです。
訴状はこう述べます
「本件訴訟は、この被告(北大)による誠意のない情報開示によって得られた情報を基に提訴するものである」。

(北大開示文書研究会は、こられの開示文書を精査し、当時「研究」の名目で道内外にて行われたアイヌ墳墓「発掘」の真実を明らかにすることを目的に、2008年8月5日に発足)

北大開示文書研究会のWebサイトおよびブログにて、シンポ当日に使った資料および集会決議文をUPしています。
原告の小川隆吉さん、城野口ユリさんの発言も映像で見ることが出来ます。
http://hokudai-monjyo.cocolog-nifty.com/blog/


天塩在住の教会員の牧場 近所

<オスプレイ>が沖縄に強行配備されました。
沖縄の民意を国家権力が踏みにじる(またもや沖縄が犠牲になる)行為に怒りを覚えます。
毎日新聞(10月3日)に、ハワイ先住民族のアルバティーニさんが「我々の神聖な土地を踏みにじる侵略行為だ」とオスプレイの着陸訓練に反対し、計画撤回に追い込んだことが報じられていました。
そして、「それだけの住民が反対しているのに配備したり訓練したりするのはおかしい」と両政府の対応をハワイ住民が疑問視していることも。
http://mainichi.jp/select/news/20121003k0000m040157000c.html


最新の画像もっと見る